ナショナル ジオグラフィック日本版 2011年12月号 取材現場から:写真家 デビッド・グッテンフェルダー 警戒区域に取り残されたペットを助ける 福島県大熊町の道端で肉を焼いているのは、動物の救出活動をしている浅沼馨(けい)さん(手前)と星礼雄(れお)さん。住民のいなくなった町に残されたペットを保護するため、においで誘い出そうという作戦だ。二人は、避難中の飼い主からイヌの救出を依頼され、福島第一原子力発電所から半径5キロ圏内にあるこの場所に入った。 ――マーガレット・G・ザコウィッツ レンズの裏側 ――ここは警戒区域ですよね。なぜ入ったのですか? グッテンフェルダー:当時、日本の報道陣は政府の決めた規制に従っていて、区域内を取材している人はほとんどいませんでした。でも私は、外から見えない現実を知らなければ、正しい判断はできないと思ったんです。現地には何度か足を運びました。正式に許可を得て入