日本の死刑制度において、死刑執行は刑務官が行っている。刑法十一条一項「死刑は、刑事施設内において、絞首して執行する。」に基づいて、刑事施設の職員が行うという理屈からだ。しかし、死刑制度を採っている諸外国でも必ずしも刑務官が死刑執行の役割を負う訳ではなく、死刑制度上刑務官が行うべき必然性があるわけでもない。では、なぜ日本では刑務官が死刑執行を担っているのか?日本において刑務官が死刑執行人としての役割を果たすようになった歴史的経緯を、史料を元に丁寧に辿ったのが本書である。 タイトルは「死刑執行人の日本史」だが、取り上げられるのは江戸時代後期~現代なので「死刑執行人の日本近現代史」という方がしっくりくる。 江戸時代の死刑は身分ごとに斬首、死罪、切腹などその刑罰の内容が違うが、その執行は武士が行うものとされていた。その役割を担うのは牢屋の管理を行う囚獄(牢屋奉行)やその直属の打役同心(看守)ではな
![「死刑執行人の日本史―歴史社会学からの接近」櫻井 悟史 著](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/f13e067a4bc537d796a6ddbe09c92fa698256c01/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcall-of-history.com%2Fwp-content%2Fuploads%2F2014%2F04%2F61N5xukNQfL.jpg)