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9月初めに、私は自分の所属先の研究費の問題を取り上げ、その窮状を広く世間に知ってもらうために、以下のポストをしました。 来年度,ついにゼロになりました。 学振/SPRINGにアクセスできない修士学生の旅費が,もう出せなくなった。どれだけ研究成果を出しても,教育を丁寧にやっても,これ。 https://t.co/aR301krPUB — 九州大学 下地理則 (@shimojizemi) September 3, 2025 このポストをきっかけに色々な見解が飛び交い、研究者と非研究者の間の対立や、研究者と「納税者」の対立とも取れる議論も見られました。とりわけ、「社会の役に立つ研究をしていないなら、研究費の削減はしょうがない」という意見と、それに対する研究者側の反論、という(いつも見られる)図式が目立ちました。 このエッセイでは、「研究が社会の役に立つ」とはどういうことかについて、私見を述べてお
研究用に(あるいは他の用途でも)地図を描画する際、著作権の問題や、正確性の問題を考慮する必要がある。以下では、国土交通省・国土数値情報を用いて、自力で描画できるようにする方法を紹介する。なお、R言語を想定しているが、Pythonでも(ほぼ)同様にできる。 Required packagesinstall.packages("tidyverse", repos="http://cran.rstudio.com/") install.packages("sf", repos="http://cran.rstudio.com/") library(tidyverse) library(sf)日本全体の地図日本地図(県境あり)を描く最もシンプルで効率的な方法はnaturalearthのデータを使ったやり方。国土地理院のウェブサイトからAdmin 1 states and provincesのセクシ
宮古語しりとりには「負け」がない?宮古語の単語には、日本語の表記に直せば「ん」で始まるような単語が山のようにある。以下は伊良部島方言の例。 ンキャーン /nkjaan/「昔」 ンナマ /nnama/ 「今」 ンス /nsɨ/「北」 ンーディ/nndi/「うん」 (1) カナ表記は小川編(2015)の中の下地(2015)に従う https://www.9640.jp/book_view/?675素朴な疑問として、日本語の「しりとり」遊びが成り立たないのでは、と誰もが思うだろう。実際、日本語のしりとりルールは無効化されているかに見える。 カン /kan/(カニ)→ンキャーン /nkjaan/(昔)→ ンス /nsɨ/(北)→スタ /sɨta/(舌)→タカ /taka/(サシバ)→振り出しに戻る と延々と続行可能だからである。 宮古語しりとりに「負け」を設定することはできるのか?この話を先に進め
この原稿は、令和6年度10月13日開催、シンポジウム『シマクトゥバ継承で研究者がなすべきこと』で、私が講演した部分の書き起こし原稿をもとに、修正加筆し、また当日のスライドで使用した音声や画像を加えたものです。このシンポジウムの全体の様子は『しまじまのしまくとぅば6』(令和6年度 消滅の危機にある方言の記録作成および啓発事業)に収録されていますが、一般に流通しない報告書なので、私の講演部分のみ、ここで公開します。 シンポジウムの詳細 シンポジウム『シマクトゥバ継承で研究者がなすべきこと』 令和6年度10月13日開催@沖縄県立博物館 【パネリスト】 下地賀代子(沖縄国際大学総合文化学部 教授) 「地域と研究者との協働による継承活動の実践」 下地理則(九州大学大学院人文科学研究院 教授) 「言語学者が継承のためにできること:自然談話を記録する営み」 狩俣繁久(琉球大学戦略的研究プロジェクトセンタ
本エッセイは、アドヴェントカレンダー「言語学な人々」の記事として公開しているものである。 (2025/2/21 追記:Xの#国際母語デーで紹介するために、加筆しています) 私はフィールド言語学者である。消滅の危機に瀕した少数言語を対象に、現地調査を行いながらその言語の全体像を記述・分析・記録保存していくことを専門にしている。特に専門にしているのは琉球諸語、その中でも宮古語の、さらにその中でも伊良部島の言葉であり、2008年に博士論文として総合的記述文法を完成させ、2018年にその和訳・改訂版を出版した。 伊良部島方言は私の母語ではなく、父方の親族の言語である。私は伊良部島方言の話者である父、沖縄語(本島中南部の)の話者である母の間に生まれた。これらの言語はお互いの意思疎通ができないほど言語差があるため、家庭では地域共通語(後述するウチナーヤマトグチ)が使われていた。地域共通語が使われていた
2023年12月25日(月曜)〜28日(木曜)の4日間、フィールド言語学に関する集中講義を行いました。九大下地ゼミ主催で、私の大学院の授業を一般に公開した形です(科研費の研究会とのコラボ企画も併せて行なっています)。写真はその最終日の集合写真。画像使用の許可を明示的に得られた方だけ、顔出ししてます(ボカシ画像になってしまった皆さん、ごめん) 講義の内容25日:基礎語彙調査と音素分析なんのために基礎語彙調査をするのか 音素分析の実際(伊良部島方言を例に) 音節構造と音素分析(伊良部島方言を例に) 26日(午前):科研費コラボ企画「大学院生ゲストの研究発表」(科研費基盤B 23H00634、基盤A 22H00007の補助を受けているもの) 尹 熙洙氏(総合研究大学院大学) モラリウス・ミッラ氏(大阪大学大学院) 溝口玲奈氏(神戸松蔭女子学院大学大学院) 26日(午後):形態素分析基底から表層を
大学院生の最強の味方は指導教員である。しかし,皮肉なことに,指導教員が最大の敵になることも,ままある。「馬鹿な大将,敵より怖い」と言うではないか。 このコラムを読めば,指導教員を選ぶ,という視座が,大学院進学において極めて重要であることがわかるはずである。これから大学院(特に筆者が想定するのはいわゆる人文系と呼ばれる分野の大学院)に進学しようと考えている者にぜひ読んで欲しい。また,自身が誰かの指導教員であるという研究者も,自問自答しながら読んでみて欲しい。 なお,私自身は,修士・博士ともに指導教員に恵まれ,そのおかげで研究者として自立できるようになったと信じている。とりわけ修士課程時代の指導教員は,私の研究者としての基礎を作ってくださった方で,この人のようになりたい,と日々考えながら,研究や勉強を続けていると言っても良いほどである。以下に書くことは,誰もが言いたいけれどなかなか言えないこと
このコラムは,『春秋』(2017年7月号,8/9月合併号)に連載した内容に,リンクをつけたり加筆修正したりして,さらにイントロを書き足したものです。 言語が減ることって問題ですか?私は言語学者である。琉球列島の言葉を専門にしている。 下地理則の研究室 冒頭の問いは,これまで何十回も,話者の人たちから,学生たちから,講演会での聴衆から,そして同業者たちから,投げかけられた問いである。同じような問いをされた言語学者も多いと思うし,自問している人もいるだろう。だから,この問題に対する私なりの回答を書き留めておくのは意味があることだと考えて,コラムにすることにした。 かなり前からのことではあるが,とりわけ21世紀に入って,言語学の世界では言語の消滅危機が大きな問題になっている。以下で述べるように,世界には7000近くの言語があるが,これが今世紀中に,50〜90%消滅する可能性がある。 さて,ここで
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