日本企業が業績不振の中で、ユニクロやソフトバンクのような「独裁型」企業が強い。それはなぜか、というのは大事な問題だが、本書はビジネス書にありがちな生存バイアスで、話としてはおもしろいが一般化できない。 「中心の空洞化した日本企業」とか「トップに決める権限がない」などの話はよくある批判で、なぜそうなるかというメカニズムの説明がない。おもしろいのは孫引きしている『独裁者のためのハンドブック』という政治学の分析だ。 少数のコア支持層をつくり、信賞必罰でメンバーを入れ替える。 コア層の外側にはなるべく幅広い支持層をつくって動員力を確保する。 人事は100%掌握するが、いたずらに権力を誇示しない。 独裁者は意外に戦争に弱い。第3次中東戦争で、アラブの1/5の兵力しかなかったイスラエルが勝ったのは、国内が結束して戦争を支持したからだという。独裁者がふだん強いようにみえるのは、部下が権力を恐れて迎合して