定期検査で運転停止中の関西電力高浜原子力発電所3、4号機に関し、福井地裁が再稼働差し止めを命じる仮処分を決定した。 関電が決定を不服としているのは、もっともである。 原子力規制委員会は2月、高浜3、4号機の再稼働に向けた合格証にあたる「審査書」を関電に交付した。東京電力福島第一原発事故後に厳格化された新規制基準を満たしていると結論づけた。 新基準は、地震や津波の想定を拡大し、これを大幅に上回った際の対策を求めている。 ところが、樋口英明裁判長は新基準の考え方を否定し、「これに適合しても安全性は確保されていない」と断じた。ゼロリスクを求めた非現実的なものだ。 1年7か月にわたる高浜原発の安全審査で、関電は想定地震の規模を引き上げた。 旧基準時の2倍近い揺れに耐えられるよう、配管などを耐震補強し、最高6・7メートルの津波に耐えられる防潮堤を設けた。非常用の電源や冷却設備も整備した。 樋口裁判長