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ブックマーク / kaikaji.hatenablog.com (12)

  • 文化大革命の「新常識」 - 梶ピエールのブログ

    今年は文革50周年ということもあって、文革をテーマにしたシンポジウムや雑誌の特集、書籍など、地味ではあるが様々な再検証の試みが行われてきた。その中でも、12月23日にNHKBSで放送されたドキュメンタリー「文化大革命50年 知られざる“負の連鎖”〜語り始めた在米中国人」は画期的な内容だった。番組のベースになっているのは、徐友漁らアメリカ在住の「文革世代」のリベラル派知識人の証言と、スタンフォード大のアンドリュー・ウォルダー教授による、中国の地方誌に記された情報を丹念にデータベース化する中で得られた研究成果である。近年の文革研究は、明らかにアメリカを中心に進められてきた。彼ら在米の研究者たちによって、従来の常識を覆す新事実が次々に明らかにされてきたからである。日でも、ウォルダー教授の研究チームに加わっていた神戸大学の谷川真一氏らが近年精力的に研究成果を発表しており、その内容は研究者の間では

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  • 戸籍改革における「噛み合わせ」の重要性 - 梶ピエールのブログ

    NHKBSドキュメンタリーWAVEの番組「1億人が漂流する〜中国・都市大改造の波紋〜」の再放送をビデオでみた。 先日四川省の農村と地方都市の都市化に着いて調査をしてきたところなので、非常に興味深かった。番組では河南省鄭州市における農民工に居住証を与える代わりにスラムから追い出して再開発を行うという改革を扱っていた。農民工にとっては、居住証を手に入れることは社会保障や教育などの権利を手にする一歩になるが、同時に保険料の負担も大きくなるのであえて居住証を取らない者も多い、という状況を番組は描いていた。 番組を見ながら、僕はこれは農民工の送り出しを行う地域と、受け入れを行う地域の改革が噛み合わないために生じている現象だな、と思った。どういうことか。農民と都市住民の間の社会保障や住宅に関する差別をなくすための戸籍改革は、四川省の農村のような農民工の送り出し地域でも同様に行われている。そして農民工に

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  • ウルケシをウアルカイシと呼ぶ勿れ。 - 梶ピエールのブログ

    さて、趙紫陽が死んだわけだが、日ごろ特に政治問題を熱心にヲチしているわけでもないし、17日付けの各新聞を読み比べてその扱い方の違いが興味深かったくらい(産経は「信念貫いた真の改革者」と偉人扱い、読売は中国批判モード全開、朝日・毎日はビミョー)でこの件について取り立てて言いたいことはない。ただ、一つだけ気になったというか言っておきたいのは、この件で各紙がコメントを掲載していた、王丹などと並ぶ天安門事件の学生運動のリーダーの一人だったウルケシ(ウアルカイシ)氏のことだ。 このウルケシという人は、事件の後フランスやアメリカへの亡命を経て台湾で実業家になっている。王丹などに比べてどうも単なる目立ちがり屋というかもともとそんなにモノを考えている人ではなく、長らく世界のマスコミからも忘れ去られていたのだが、最近になって陳水扁が僅差で勝利した台湾総統選の結果に反・民進党の立場から抗議してハンストを行うな

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  • 習近平政権が恐れているものは何か。 - 梶ピエールのブログ

    変わる中国 「草の根」の現場を訪ねて ジャンル: ・雑誌・コミック > 人文・地歴・哲学・社会 > ノンフィクション > その他ショップ: ぐるぐる王国 楽天市場店価格: 1,512円 著者の麻生さんよりご恵投頂きました。ありがとうございます。 「中国:新公民運動の中心・許志永氏に懲役4年 秩序騒乱罪『毎日新聞』2014年01月27日 北京市第1中級人民法院(地裁)は26日、中国で憲政の実現などを訴える「新公民運動」の中心的人物で、公共秩序騒乱罪に問われた著名活動家、許志永氏(40)に懲役4年を言い渡した。 新公民運動は中国憲法の範囲内で市民の権利擁護を求める動き。許氏の弁護士によると、公共秩序騒乱罪の最高刑は懲役5年。習近平政権下で、平和的な手段で民主活動を主導してきた許氏がどう裁かれるかが注目されていた。 起訴状などによると、許氏は12年から13年にかけ、出稼ぎ労働者の子が教育を受け

  • ウイグル人とナイフ - 梶ピエールのブログ

    http://kok2.no-blog.jp/tengri/2008/07/bb82_f6d7.html http://kok2.no-blog.jp/tengri/2008/07/post_f087.html 公式報道は中国公安がアパートで火器や爆弾を発見してはいないが何ものナイフを発見したことを主張している。しかし伝統的ウイグルナイフはウイグル居住地のどこにでも発見できるものであることを表記するべきである、そしてその種のナイフは一般的に文化的伝統的な目的の為に保持されるのであり、他者へのどのような危害の意思で保持されるのではない。 イリ事件のあった1997年夏、「危ないからやめとけ」という漢人たちの忠告を無視してふらっと新疆に旅行したことがあった。ウルムチからカシュガルまで、二泊三日で走るバスに乗っていたときのことだ。夜中の二時ごろだったろうか、すっかり深い眠りにおちていたところ、突

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    unyounyo
    unyounyo 2013/07/06
  • 会社派、土着派、エセ和僑−日中を語る際の「もう一つの倫理」− - 梶ピエールのブログ

    この記事は「「中国論」の論じ方」および「「普遍性」をいかに追求するか、という課題」の続きです。だいぶ間が空いてしまいすみません。 和僑 農民、やくざ、風俗嬢。中国の夕闇に住む日人 作者: 安田峰俊出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2012/12/15メディア: 単行 クリック: 26回この商品を含むブログ (12件) を見る 安田峰俊著『和僑』は、一作ごとに力をつけてきた若手ライターによる、やくざ、風俗嬢、農民など、中国にかなりディープに根を下ろして生活する日人を取材した、格的なルポルタージュである。書で安田がインタヴューを行った対象、すなわち共感を持った日人に共通する特徴とは何だろうか。一言でまとめるなら、「日社会では生きがたい人々」これに尽きるだろう。それが望ましい結果をもたらすとか、新たな日中関係を切り開くとか、そういったお題目ではなく

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  • 大阪府警による下地さんたちの逮捕・拘留に抗議します。 - 梶ピエールのブログ

    twitter等ではよく流れている情報なのでご存じの方も多いと思いますが、阪南大学准教授の下地真樹さんともう一人の方が、12月9日に「威力業務妨害」などの容疑によって自宅で逮捕され、現在も拘留が続いています28日付で下地さんともう一人の方が処分保留で釈放されました。ただ、同じ件で(別件で拘留中に)逮捕された別の方が起訴されたとのことです(下記の抗議署名サイト参照)。 下記のウェブサイトは、彼が積極的にコミットしてきた大阪の震災がれき広域処理反対運動に関わる人達による、(11月にも起きた逮捕劇への抗議として立ち上げられた)支援サイトです。 http://blog.goo.ne.jp/garekitaiho1113 また、ネットでの署名活動も始まっています。 http://keepcivicactivity.jimdo.com/ 上記のサイトにおける説明によれば、10月17日に、下地さんたちが

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  • 中国農民はなぜ「土地改革」を受け入れたのか - 梶ピエールのブログ

    中華人民共和国誕生の社会史 (講談社選書メチエ) 作者: 笹川裕史出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/09/09メディア: 単行(ソフトカバー) クリック: 2回この商品を含むブログ (6件) を見る ここのところのブログ記事を読んでもらえれば、僕が最近明清中国の社会経済史について関心を深めていることには気がついてもらえると思う。これはもちろん、こういった「伝統中国」に関する理解を深めること現代の中国を理解するのに不可欠だという問題意識による。 たとえば、中国農村が封建的な階級対立のアリーナだった、という議論は「農村革命論」という公式イデオロギーの成立に大きな役割を果たした。しかし、先日紹介した足立啓二氏の著作でも示唆されているように、伝統的な中国農村では、貧しい農民が経済的に地主(が経営する土地)に従属するケースはあったかも知れないが、経済外の身分的な制約によって土地に縛り付

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  • 「いやな感じ」の正体 - 梶ピエールのブログ

    ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて (g2book) 作者: 安田浩一出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/04/18メディア: 単行(ソフトカバー)購入: 12人 クリック: 372回この商品を含むブログ (72件) を見る 講談社『g2』で連載中からなにかと話題になっていたこのについては、これから活字メディア、ネット上を問わず多くの言及がなされていくことと思う。僕にとっては、なによりも拙著『「壁と卵」の現代中国論: リスク社会化する超大国とどう向き合うか』、特に第11章「村上春樹から現代中国を考える」で展開した問題意識に、あまりにドンピシャと響く内容だったので、とりあえず直接関連する記述を以下に引用しておきたい。 たとえば、2005年当時の激しい反日デモやサッカースタジアムにおける「小日」や「シャービー(=女性器を意味するスラング)日」の大合唱の映像をニュースでみ

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  • 梶ピエールの備忘録。 - さらにしつこくフェアトレードについて語る(下)。

    これは前回と前々回のエントリ、の続きです。 また、以下の関連エントリもご覧ください。 http://d.hatena.ne.jp/kaikaji/20061123 http://d.hatena.ne.jp/kaikaji/20061125 http://d.hatena.ne.jp/kaikaji/20061127 正直言って今回はあまり自信ないのでツッコミを歓迎します。 さて、前回はフェアトレードの認証ラベルがより高度な品質を保証する認証ラベルに対する「脅威」となる可能性について論じた。最後に、フェアトレードの根幹ともいうべき価格保証制度の経済学的な根拠と、その問題点について考えてみよう。 言うまでもないことだが、価格体系をゆがめる個別産業への補助金や最低価格保証は経済学的には最も評判のよくない政策の一つである。それよりも、貧困ラインを定めて所得がそれを下回る家計に対して差額を補填した

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  • 梶ピエールの備忘録。 - ■[グローバリズム]新春もフェアトレード。

    今年最初のブログ更新と言うことで、当は違うネタで行こうと思っていたのだけど、折角山形さんやfuku33さんからコメントを頂いて議論が盛り上がった(たぶん)ので、どういったところが対立点になっているのかここで改めて整理しておこう。 まず、議論の前提となっているのは、世界的に農産物価格が下落傾向にある中で、コーヒー農家に代表される途上国の農民の多くが貧しい生活から抜け出せないでいる、という認識である。その上でそういった途上国の生産者に対する援助としてどのような方法がありうるか、と言った時に、次の二つが代表的なものとして思い浮かぶだろう。 (1)生産者がより付加価値の高い商品を生産して「自立」できるよう信用・技術面でのサポートを行う。 (2)生産者がグローバル市場における農産物の価格変動による打撃を受けないよう、「公正な価格」で買取りを行う。またコストの上昇分は何らかの形で消費者に転化する。

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  • まっとうなフェアトレードの経済学 - 梶ピエールのブログ

    フェアトレード運動については今までどちらかと扱うのを避けていたのだが、前回予告したので、頑張って論じてみる。一般的にはフェアトレード運動も反スウェットショップ運動と同じく先進国の「倫理観」に支えられた理想主義的な運動だと思われがちである。しかし当のところはどうか、ということを考えてみたい。 さて、フェアトレードの対象となる商品は工芸品や衣類も含め多岐にわたっている。しかし最も影響力が大きく、市場浸透率も高い商品はというと、それはコーヒーだということに意義を挟む人はあまりいないだろう。もちろん、コーヒーがフェアトレードの主力製品になっていることにはきちんとした理由があるし、したがってフェアトレードの存在意義を論じるうえでもコーヒーは最適の題材であるはずだ。 で、世界のコーヒー貿易とフェアトレード運動の関わりについて、僕が知っている限り最も明確な説明を行っているのが、すでにあちこちで話題にな

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