近年多くの脊椎動物・無脊椎動物ゲノムが解読され、これらのゲノムを比較することで脊椎動物の”祖先ゲノム”を推定することが可能になってきた。われわれは、国立遺伝学研究所の小原雄治教授および東京大学大学院理学系研究科の武田洋幸教授らとともに、約3.7億年前の真骨魚類祖先からのゲノム進化の様子を2007年6月に報告したが [1]、今回はさらに進化を遡り6億年前の脊椎動物祖先ゲノムの状態をコンピューター上に再構築した。この結果、脊椎動物ゲノム進化の全体像が明らかになり、初期脊椎動物ゲノムに大規模な染色体の再編成が起きていたことがわかった。この結果は「なぜ脊椎動物がこれほどまでに適応・多様化し繁栄しているのか」という問題を明らかにする手がかりとなるだろう。 発表内容 これまでの研究でわかっていた点 ヒトゲノム上には2万個以上の遺伝子が23対の染色体に分かれて並んでいる。遺伝子の並び順は進化の過程で一部