社会主義はとっくに崩壊したと思っていたら、電波行政の世界では、ほとんどの人の知らないところで、社会主義が密かに復活しているようだ。 3月10日に、総務省の「携帯端末向けマルチメディア放送サービス等の在り方に関する懇談会」の第9回会合が非公開で行なわれたが、関係者によれば、VHF帯のアナログ放送を止めた「跡地」には、現在のワンセグの延長上の技術であるISDB-Tmmが採用される方向らしい。しかも、これを提案しているのはテレビ局なので、電波の割り当てを受けるのもテレビ局の子会社になりそうだ。彼らは「VHF帯はもともと放送局のものだ」と主張しており、この懇談会も最初から「携帯端末向けマルチメディア放送」という用途を総務省が決めている。 この案には、根本的な疑問がある。第一に、2011年にVHF帯が空くという想定は、非現実的だ。地上デジタル放送「対応」テレビは、今年2月で3100万台に達しただ
防衛省の守谷元事務次官の逮捕により、日本にも防衛利権という巨大な闇が存在することが次第に明らかになってきた。そもそも我々は防衛政策に対して余りに純粋無垢であり過ぎたのではないか? そもそも近代において戦争とは利権そのものであり、それに比べれば、戦後日本の道路利権や土建政治の話などかわいい問題に過ぎない。それなのに戦後の日本人は防衛問題を崇高なイデオロギー問題に祭り上げてしまった。そして道路族の族議員などを手垢に塗れた利権政治家と蔑む一方、防衛族議員を日本の国家のあり方を考えていらっしゃる崇高な政治家であるかのように一目が置かれていた。ここで明らかになったのは、防衛族も道路族と同様の利権政治集団であり、実際はかなり醜悪であるということである。 そもそも現代行われている戦争は例外なくすべて利権であり、それ以上の崇高な理念など存在しない。ただそのような意見を言うものをすべて「サヨクだ」と切り捨て
農業政策は次期政権の重要課題の1つだ。格差論議が高まる中、農家戸別所得補償を打ち出して参議院選挙で大勝した民主党に対抗して、このところ自民党内でも公共事業拡大を求める声が強まっている。しかし、農業問題に詳しい神門善久・明治学院大学教授は「農家保護策では根本的な問題は解決しない」と指摘する。(聞き手は、日経ビジネス オンライン記者=谷川 博) NBO 農業政策は次期政権の重要課題です。参院選ではマスコミや野党が格差問題に絡めて「零細農家、切り捨て」と政府を批判し、民主党は農家戸別所得補償を打ち出しました。選挙で民主党が大勝したことで、自民党内でも同様の農家保護策を求める機運が高まっています。一連の動きをどう見ますか。 神門 まず、「零細農家、切り捨て」などという論議は、農業問題に長年取り組んできた私のような立場からすれば、ちゃんちゃらおかしい話です。第一、あれは大衆迎合的なマスコミが作り上げ
遠藤農水相が辞任した。その原因は3年前の100万円あまりの補助金水増しで、辞任するほどの大事件のようにはみえないが、この問題の根は深い。象徴的なのは、会計検査院から2度も指摘を受けながら、返還していなかったことだ。つまり、この手の不正は、それぐらい当たり前なのだ。 私はかつて、「農民ひとりあたり補助金受給日本一」という愛媛県の農協を取材したことがある。その農協(豪華な高層ビル)は、二つの町の境界をまたいで建っており、すべての補助金を二重取りしていた。組合長は、いかに制度の裏をかいて補助金をだまし取るかのテクニックを自慢げに語ってくれた。補助金制度が、もう普通の人には理解できないぐらい複雑化しているため、役所にもチェックできないのだ。 この複雑怪奇で政治的利権のからんだ制度を「改革」することは不可能である。長谷川熙氏もいうように、農水省そのものをいったん解体し、ゼロからやり直すしかない。
産科崩壊 「看護師利権」がお産の場で母子を危険にさらし、産科崩壊を促進 看護師と助産師さえいれば産科は成立するのか「内診問題の真相」 産科を閉じたオーク産婦人科院長の告発 今年の4月から、定評のあった産婦人科が、分娩の取り扱いをやめた。その時の話は、以下に書いた。 2007-04-09 産科崩壊の立役者田村やよひ氏 女の敵は女 臨床の現場に二年半しかたたなかった看護師出身行政官が「看護師の内診禁止通達」の黒幕 出身高校のサイトで自慢→追記あり http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2007/04/post_6237.html オーク住吉産婦人科の院長である中村嘉孝先生が 看護師内診に関する通達が引き金となって産科を閉じざるを得なかった と、ここではっきり述べられていた。 先ほど、TBをいただいた「ある町医者」先生のblog ある町医者の診
今日、家に帰ってみると、Georgia Institute of Technology (ジョージア工科大学)から、Inventors and Their Inventions: Understanding the Innovation Process というアンケート型の質問状が届いていた。過去数年間に、米国・ヨーロッパ・日本でパテントを申請した人の中からランダムに抽出したサンプルだという。 質問の内容は、なぜパテントを申請したのか・その発明にどのくらいの時間をかけたのか・その発明は実際の商品に活用したのか、などのありきたりのものだったが、最後に自由にコメントを書いてほしいという欄があったので、そこでソフトウェア・パテントに関して徹底的な批判を加えておいた。 前にもこのブログで書いたことがあるが、ソフトウェア、ユーザー・インターフェイス、そしてビジネス・プロセスに関してのパテントは認める
こんにちは。渡邊社長の連載記事は毎回興味を持って読ませて頂いています。私は医療、福祉の分野に勤務している管理職のものです。現在は親が経営しています。この世界に来て5年近くなりました。以前は、居酒屋、魚市場、建設工事現場、交通誘導など医療や福祉以外で飯を食っていました。医療や福祉の現場に来て思ったのが、2足のワラジを履く経営者が数える程度しかいない、ということ。学会などでも最高経営責任者である病院や福祉の理事長が収益の話しをすることは昔と比較して多くなったとはいえ、まだ少数です。医療の中で、最近お会いできた経営者でよかったのは、福島県の竹田綜合病院理事長http://www.takeda.or.jp/、埼玉の上尾中央総合病院理事長http://www.ach.or.jp/、長野県の相澤病院理事長http://www.ai-hosp.or.jp/、岡山県の赤穂中央病院理事長http://www
ご存じの著者による、政治家と官僚の関係の現状についての報告。彼は元政治学者だから、専門的な分析を期待したのだが、中身はよくも悪くも一般向けで、あまり深い議論はない。ただ少し考えさせられたのは、「最大の敵は『みのもんた』」という話だ。この「みのもんた」というのは、メディアのポピュリズムの比喩で、派閥が崩壊してしまった自民党では、「民意」が最大派閥になっているという。 著者が「みのもんた」の例としてあげるのが、貸金業法の改正だ。当ブログでも論じたように、上限金利を下げたら貸金業界が崩壊して消費者がかえって困ることはわかっていたのに、みのもんたは(規制強化を主導した)後藤田正純氏をゲストにまねいて、彼を正義の味方とたたえた。 当ブログで紹介してきた進化心理学の言葉を借りると、みのもんたが代表しているのは、感情をつかさどる「古い脳」である。同情は、人類の歴史の99%以上を占める小集団による狩猟
日経ビジネス・オンラインの後編の記事に読者からツッコミが入って、編集部が訂正した。最初のバージョンでは「(『あるある』の)番組制作費3200万円のうち、下請け、孫請けのところには860万円しか支払われていなかった」と書かれていたが、この表現はおかしい(私もウェブに出てから気づいた)。 関西テレビの調査報告書(p.109〜)によれば、約3200万円の番組制作費のうち、関テレが「プロデューサー費」として55万円とり、3100万円余を下請けの日本テレワークが取り、孫請けのアジトのVTR制作費が860万円ということになっている。したがって「番組制作費3200万円のうち、孫請けのところには860万円しか支払われていなかった」と書くのが正しい。 しかし、この調査報告書の数字はおかしい。局側の取り分が、わずか55万円ということは考えにくい。『文藝春秋』4月号の記事によれば、実態は次のようだ:花王が電
吉岡忍氏 「そのひと言いただき、が象徴する事実軽視の体質」 情報番組「発掘!あるある大事典II」の捏造(ねつぞう)問題は、4月初に関西テレビ放送が全国ネットで検証番組を流し、また社長が辞任したことで終息したかに見える。しかし、問題は関テレの1番組に限られたものではなく、「どのテレビ局にも起こりうる構造的なもの」と見る識者は多い。それは一体何なのか――。 「あるある問題」を詳細に調べた外部調査委メンバーだった吉岡忍氏(ノンフィクション作家)と村木良彦氏(メディアプロデューサー)の2氏に聞いてみた。まずは吉岡氏から。 (よしおか・しのぶ)1948年長野県生まれ。早大政経中退。日航機墜落事故をテーマにした「墜落の夏」で講談社ノンフィクション賞。 調査報告書を関西テレビに手渡した後の記者会見。右が吉岡忍氏、左が村木良彦氏(3月23日、東京・目黒で、時事) 3層構造の番組制作 ──調査委員会は3月2
デジタル放送番組の録画回数制限の緩和に向けた議論が紛糾している。総務省の「デジタルコンテンツの流通の促進等に関する検討委員会」では、“制限派”の著作権者や放送局と、“緩和派”のDVDレコーダーメーカーや消費者団体の主張が平行線をたどったままで接点が見えてこない。著作権保護の徹底か、消費者利益の重視かという対立構図だけからは見えてこない核心を、NHK出身で放送業界に詳しい池田信夫氏に聞いた。(聞き手は、日経ビジネス オンライン副編集長=水野 博泰) NBO DVDレコーダーなどの製品を売りたいメーカー側からの緩和要求に対して、著作権を盾にした著作権者や放送局の抵抗はかなり頑強のようです。正直言って、デジタル番組のコピー制限が「消費者利益を損なう」などと正論を振りかざして青筋を立てるほどのことでもないと思いますが、逆に、だからこそ、コピー回数ぐらいのことで一歩も前に進めなくなっている姿は、何だ
阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」 2006年12月 8日 [メディア論]インタビュー:池田信夫氏(2)「第2東京タワー」は全くムダ 昨日に引き続き、経済学者の池田信夫氏のインタビューを掲載します。 * * * * * 阿部 池田さんが著書「電波利権」でも書かれているように、田中角栄時代以降、電波は稀少性のある資源として国家が分配してきたましたが、政治の恣意が絡みおかしな配分になっています。現在、総務省では電波再配分の議論がされていますが、その動きをどうご覧になっていますか。 池田 問題になっているのは、NHKを8チャンネルから5チャンネルに減らすという竹中懇のNHK改革案(「通信・放送の在り方に関する懇談会 報告書」2006年6月)ですが、自民党内の協議が終わるまではどう転ぶかは分かりません。 むしろ考えるべきは、電波利用全体に占める放送の割合はごくわずかだという
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