日本語で育まれる思考はどのようなものか。元内閣府事務次官の松元崇さんは「縄文時代のように1万年以上にもわたって戦乱のない時代というのは、世界の歴史にはおよそ記録されていない。その縄文時代のDNAを受け継ぐ日本語には、人々を幸せにする力があるはずだ」という――。 主語を持たない日本語の原点を思い出す 「世間」の中での自分の位置を確認し、その上で様々な相手と相対的な関係を臨機応変に取り結ぶ機能を持つのが日本語ですが、その過程で相手との心理的な距離をうまくコントロールし、相手と感情を共有する構造が創り上げられていきます。 その際、様々な人から受け取ることが期待される思いやりの集合体が自然と出来上がりますが、それを日本語の持つ「寄り添い機能」と筆者は呼んでいます。そのように日本語の言語空間がはぐくんできた「寄り添い機能」が、西欧文明の流入がもたらした「自我」によって失われていきました。 日本語の持