投資の世界には「卵は一つのカゴに盛るな」というリスク分散の鉄則がある。富裕層マーケティングを長く手掛ける西田理一郎さんは「これは金融資産や不動産に限った話ではない。時代はついに、国籍までもを分散して持つフェーズに入った」という――。 暗号資産で「国籍」を買う時代がやってきた 昔は国籍というものは、空気のようなものだった。あるいは水道の蛇口のようなもの、と言ってもいい。ひねれば出るし、止めようと思っても止まらない。生まれたときからそこにあり、日常ではまったく意識しない。けれど、蛇口を失ってはじめて、人は水がどれほど貴重なものかを知る。 いま、アメリカをはじめとする世界の富裕層が直面しているのは、まさにその「水枯れへの恐怖」である。 彼らは「国籍とは何か」を愛国心の言葉ではなく、供給不安に備えるインフラの言葉で考え始めた。祖国を信じないというより、祖国“だけ”を信じるには、世界があまりにも複雑