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言語差別を議論しよう わたしは日本の識字問題について研究している。識字問題を個々人への教育で解決するのではなく、社会環境をバリアフリーにしていくことで解決したいと考えている。そのような理念をわたしは「ことばのバリアフリー」や「言語権」という用語をつかって議論している。 社会言語学という研究分野では言語権の議論が活発である。そしてその理念はある程度社会的にも共有されているように感じられる。日本語が(あまり)わからないひとに多言語情報を提供すること、言語継承を支援することが重要だと認識されつつある。しかし一方で、言語権の侵害をうみだす「言語差別」を問題化する議論は主流になっていない。つまり、言語権の理念は多くの場合、多言語支援や母語教育支援のように「マイノリティ支援」という位置づけで理解されている。言語の不平等、規範主義、書きことばのハードルなど、支配的な価値観をゆさぶること、多数派の特権を問
TOP 資料館 ニュース・イン・ブリーフ 国連人権理事会、第4回UPR審査の勧告に対する日本政府の回答結果文書を採択②_「受け入れない」編(7/10) ニュース・イン・ブリーフ サイト内検索 Powered by Google ニュース・イン・ブリーフ Archives UPR(普遍的定期的審査)は2006年の国連人権理事会の創設に伴って新たに作られた制度であり、約4年半に一度のペースで、国連加盟国193カ国すべての国の人権状況が審査される。第4回審査(2023年1月31日)で前回を大きく上回る300の勧告が出されていた[1](第3回審査時は217)。 その勧告に対する日本政府の回答結果文書が7月10日、国連人権理事会で採択された。 勧告に対する回答は4つに分類される。以下、分類とその対象となる勧告の数である。 フォローアップすることを受け入れる(Accept to follow up)
構造的差別を教えない教育 差別の心理学を教える授業で大学生が書いた数百人分のリアクション・ペーパーをじっくり読み、分析したことがあった。その中から見えてきたのは、学生が想像する差別とは、「マイノリティが傷つくような言動をうっかりしてしまう」ことであった。「自分は気づいていないだけで、マイノリティの人たちを思いのほか傷つけてしまっているのではないか」といった感想がとにかく多いのだ。 このような言葉からは「私はひょっとしたら『いい人』ではないかもしれない」といった自分の「いい人」像が崩れることへの不安や恐怖も垣間見える。一方でマイノリティへの差別が人権侵害の問題であるとか、マイノリティが経験する差別は制度・構造・歴史に基づいたものである、といった視点が限りなく少ないのである。 差別の問題を「情緒」や「気持ち」の問題として捉えることしかできない薄っぺらな想像力は、日本社会全体の問題であろう。学生
4度目の勧告 2018年8月30日、人種差別撤廃条約に基づく人種差別撤廃委員会は、日本政府に対して条約の実施のための改善勧告を出した。 委員会による日本政府報告書の審査は8月16・17日に、ジュネーヴの国連人権高等弁務官事務所が入るパレ・ウィルソンの会議室で行われた。 日本政府報告書審査に向けて、NGOは「人種差別撤廃NGOネットワーク」という連絡組織を作り、共同でNGOレポートを委員会に提出し、審査当日には約30人のメンバーがジュネーヴに集まった(NGO活動については本誌・小森恵報告参照)。委員会の審査の様子は私のブログに現地レポートを詳しく紹介している(前田朗Blog「人種差別撤廃委員会・日本報告書審査」)。 委員会の勧告は多数あるが、その一部は次のようなものである。 直接差別も間接差別も禁止する包括的な人種差別禁止法の採択 パリ原則に従った広範な権限をもつ国内人権機関の設置 条約第4
TOP 資料館 国際人権ひろば 国際人権ひろば No.133(2017年05月発行号) ヘイトスピーチ規制の法的問題点 憲法と国際人権法の視点から 国際人権ひろば サイト内検索 Powered by Google 国際人権ひろば Archives 問題の所在-背景と広がり 世論と司法の動向にようやく国会議員が動き,超党派的なヘイトスピーチを縮減させる施策として,いわゆるヘイトスピーチ解消法[正式名称は「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」(平成28年6月3日法律第68号)]が制定された。自由権規約には,政治的権利に関する外国人「区別」を肯定する解釈を許す規定があり,他方で,人種差別撤廃条約の規定が要請する憎悪言論規制に関して,条約批准当初から日本政府は,表現の自由(憲法21条)との関係で問題があると主張して留保してきた。 こういった事情に鑑みて,ヘイト
TOP 資料館 国際人権ひろば 国際人権ひろば No.133(2017年05月発行号) 「部落地名総鑑」出版とネット公開は禁止!~鳥取ループ・示現舎との裁判~ 国際人権ひろば サイト内検索 Powered by Google 国際人権ひろば Archives 「鳥取ループ(ブログ名)のM」は、「『同和はタブー』だと思い込んでいる人をおちょくる」ためとして、10年程前から各地の自治体に部落の所在地情報の開示請求をおこない、非開示になると訴訟を繰り返してきた。同時に、ネット上に部落の地名リストや地図、解放同盟員の自宅住所・電話番号・生年月日などの個人情報を晒(さら)してきた。また、「示現舎」という出版社を立ち上げ、同和行政や解放同盟を批判する書籍などを発刊してきた。 2016年2月上旬、示現舎は『全国部落調査・復刻版~部落地名総鑑の原点~』を出版・販売するためAmazon(通販サイト)で予約受
誰もが自分の権利について学び、「権利の主体」としてエンパワメントすることにより、民主主義社会の担い手となることをめざし、国際社会が人権教育に取り組み始めたのは1990年代のことである。世界各地の人権教育者の努力が、人権の実現に寄与したことは言うまでもない。 だが一方で、目を背けるわけにはいかない事態も進行している。人権教育者は、人権について教え続けることはもちろんだが、それだけでは不十分である。人権を後退させようとする挑戦的な言説や行動に抗する手段もまた、教えるべき重要な課題となったことを自覚しなければならない。 「自由」に対する挑戦 しばらく前に、フィリピンの大学で教鞭をとる友人に、大統領についてたずねてみた。「麻薬撲滅戦争」を掲げる大統領が就任してから、麻薬犯罪の取り締まりを名目とする、超法規的殺人がエスカレートしていたからだ。1980年代、ピープルパワーによってマルコスの独裁体制に終
TOP 資料館 ニュース・イン・ブリーフ LGBTIの人の権利に関する文書「ジョグジャカルタ原則」10年ぶりに更新(2017年11月) ニュース・イン・ブリーフ サイト内検索 Powered by Google ニュース・イン・ブリーフ Archives ジョグジャカルタ原則とは、性的指向および性自認に関して国際人権法がどのように適用されるかをまとめた国際文書です。人権諸条約に掲げられる権利は普遍的であり、すべての人に平等に認められるものでありながら、LGBTIの人たちが世界各地で差別や暴力にさらされていることに対して、2006年、元国連人権高等弁務官をはじめ、国連人権機関などの専門家によりつくられた文書です。
TOP 資料館 国際人権ひろば 国際人権ひろば No.133(2017年05月発行号) 差別に対する無関心を関心に変えるためのマジョリティに向けた教育 国際人権ひろば サイト内検索 Powered by Google 国際人権ひろば Archives 差別に向き合うきっかけを作ってくれた学生の言葉 差別のない社会を実現するためには、マジョリティ(社会的に強者の立場にいる人たち。多数派という意味合いもあるが、この文脈では社会的に「ふつう」とみなされている人を意味する)側の人々の力添えが不可欠だ。しかし、大部分のマジョリティは差別に対して無関心である。差別問題は他人事で、自分自身の問題であるという認識がない。差別をする人は「悪い人」であり、差別をしない人が「いい人」だと教わる以上、「自分はいい人」だと思っており、「差別などしていない」と信じている。かつての私も「自分は差別なんかしていない」と思
フランスでは2004年に制定された公立学校におけるヒジャーブ(スカーフ)禁止の法律に続き、2011年4月11日、公共の場で顔を覆うものを着用することを禁止する法律が施行された。推進派は「ヴェールは治安を脅かす」「顔や表情を見ながら人とのコミュニケーションをはかる社会において、妨害になる」と擁護し、反対派は「個人の自由を侵害する」と反対した。法律は、路上、店舗、美術館、公共輸送機関、公園などの公の場所で顔を覆うヴェールやマスクの着用禁止を定めている。唯一例外となるのは、個人の車の中と礼拝場所である。また、体だけを覆うチャドル(マント)や頭髪部だけの被り物であるスカーフなどは対象外とされた。法律は男女問わず適用され、フランスに旅行中の外国人にも適用される。違反者は最高150ユーロ(約2万円)の罰金および/あるいは市民性教育の受講が科せられる。他人に顔を覆うヴェールやマスクの着用を強要した場合、
TOP 資料館 国際人権ひろば 国際人権ひろば No.137(2018年01月発行号) Intersectionality(交差性)の概念をひもとく 国際人権ひろば サイト内検索 Powered by Google 国際人権ひろば Archives 最近の女性差別撤廃委員会の勧告など国連文書において、マイノリティ女性に関連する箇所で「複合差別/交差的な差別(multiple/intersectional forms of discrimination)という文言が出てくる。このintersectionality(交差性)とは、人種、エスニシティ、ネイション、ジェンダー、階級、セクシュアリティなど、さまざまな差別の軸が組み合わさり、相互に作用することで独特の抑圧が生じている状況をさす。マイノリティの中でも女性は、人種やエスニシティに基づくカテゴリーとジェンダーによるカテゴリーの両方においてマ
TOP 資料館 ニュース・イン・ブリーフ 国連人種差別撤廃委員会、日本報告審査を開催(第2日目・8月17日) ニュース・イン・ブリーフ サイト内検索 Powered by Google ニュース・イン・ブリーフ Archives 国連人種差別撤廃委員会(CERD)は8月16日に続き17日、ジュネーブで人種差別撤廃条約の実施状況に関する日本報告審査を行いました。委員たちからの質問やコメントを受けて、日本政府代表団が日本の取り組みや立場を説明するなどの対話が行われ、2日間の審査を終えました。委員会は、今会期の最終日である8月30日をめどに日本政府への勧告などを含む総括所見(最終見解)を採択する予定です。
1993年、人権の普遍性に真っ向から対立する主張が起こりました。冷戦後、はじめて開催される「世界人権会議」の準備のため、アジアで開かれた地域会合で、いくつかの国の政府代表者が「アジアには欧米とは異なる人権の考えがある」と強力に主張したのです。その結果、 人権とは相対的なもので、 アジアでは社会権の実現が優先され、個人より集団の発展の権利が優先されるべきで、 人権は国内問題であるから外部の介入は許されるべきではない、 という主張が盛り込まれた「バンコク宣言」が採択されました。これらが「アジア的人権論」と呼ばれる考え方です。 「発展の権利」と「アジア的人権論」の関係 2、3の主張は、1960年代に提起された「発展の権利」の考え方とも、大きく重なります。そこで、ここでまず「発展の権利」について紹介したいと思います。 発展途上国の貧困と低開発という問題は、現在先進国と呼ばれている国々の、長年にわた
TOP 資料館 ニュース・イン・ブリーフ 人種差別撤廃委員会、ヘイト・スピーチ規制や朝鮮学校への就学支援金など日本に勧告(8月29日) ニュース・イン・ブリーフ サイト内検索 Powered by Google ニュース・イン・ブリーフ Archives 2023 12月 11月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月 2022 12月 11月 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月 2021 12月 11月 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月 2020 12月 11月 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 2月 1月 2019 12月 11月 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月 2018 12月 11月 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月 2017 12月 11月 10
TOP 資料館 主要な人権条約 委員会の一般的勧告 人種主義的ヘイトスピーチと闘う 主要な人権条約 一般的勧告35 人種主義的ヘイトスピーチと闘う一般的勧告33 ダーバンレビュー会議のフォローアップ一般的勧告32 人種差別撤廃条約における特別措置の意味と範囲一般的勧告31 刑事司法制度の運営および機能における 人種差別の防止一般的勧告30 市民でない者に対する差別一般的勧告29 世系一般的勧告28 人種主義、人種差別、外国人嫌悪および関連のある不寛容に反対する世界会議のフォローアップ一般的勧告27 ロマに対する差別一般的勧告26 人種差別に対する救済(第6条)一般的勧告25 人種差別のジェンダーに関連する側面一般的勧告24 異なる人種、民族的/種族的集団 または先住民に属する者に関する報告 (第1条)一般的勧告23 先住民族に関する一般的勧告 主要な人権条約 国内人権機関 人権教育の推進
ヒューライツ大阪のセミナー情報や、人権に関わるタイムリーなニュースをEメールで月2回ペースでお届けします(無料)。 障害者権利条約とは? 基礎の基礎 ◎はじめに~「障害者権利条約」と聞いて、難しそうだと思うあなたへ~ 障害者権利条約のこと、ご存じですか? 今このサイトを見てくださっている方は、「聞いたことあるけど、中身はよく知らない」という方が多いのではないかと思います。 日本政府は2014年1月、ついに「障害者権利条約」に批准しました。(批准=「条約の内容に見合う国内法を整備したり、他の必要な措置をとって実施していくことを国際社会に約束した」)。とはいえ、そのニュースはテレビや新聞でもほとんど報道されていません。まだまだ知られていないし、知っていても自分には関係ないと感じる人も多いでしょう。条約を批准したからといって、障害のある人が日常感じている暮らしにくさ(街の中の段差、偏見、無理解な
「狂気」を巡る歴史の中で、多くの国では「家・地縁」から「隔離」、「隔離」から「共生(地域ケアシステム)」へと変遷を辿っている。イタリアにはマニュコミオと呼ばれる巨大な精神科病院がかつて多数存在し、ローマには欧州最大と言われた2,600人の患者を収容した病院もあった。しかし、あらゆる閉鎖収容所の歴史と同じく、人間を一つの所に閉じ込めるシステムでは、人権が保障されない状況が必ず発生し、マニュコミオにおいてもまた、屈辱的で人間の尊厳を奪う現実があった。しかし、イタリアはこの現実に目を向け、1970年代に脱精神科病院を掲げて政策転換し、1998年には全ての精神科病院が機能を停止した。つまり、世界で唯一、精神科病院が「過去になった国」となったのである。 幻覚や妄想が主症状となる「統合失調症」は、100人に1人は発症する疾患である。この疾患は、家族や友人、地域社会といった生活環境によって悪化もすれば、
ヒューライツ大阪のセミナー情報や、人権に関わるタイムリーなニュースをEメールで月2回ペースでお届けします(無料)。 人権とはなんでしょう 「人権」は、それがなくては人間が人間らしく生きることができないものです。 すべての人が人権を学ぶ機会を持つことーそれ自体も人権の一部といえるでしょう。 「学ぶ」コーナーは、これから人権を学ぶ人やもう少し詳しく知りたい人を対象にして、 人権の基本的な説明とよくある質問・疑問に答えます。 私たちは、毎日の生活でしばしば「人権」ということばを目にしたり、聞いたりすることがあります。「一人ひとりの人権を尊重しよう」、「人権侵害をゆるさない」、「子どもの人権をまもろう」など、人権ということばが出てくる場合は様々です。けれども「人権」ということばがどういうことをさしているか、はっきりしている場合ばかりではありません。その時々の雰囲気で、気持ちで、「人権」ということば
「人権教育と研修に関する国連宣言」第1条には、「すべての人は、人権と基本的自由について知り、情報を求め、手に入れる権利を有し、また人権教育と研修へのアクセスを有するべきである」と記されています。しかし「自らの人権を学ぶ」ことは、人権教育の根本的な部分でありながら、「学校で子どもに権利を教えると、自分勝手な主張が増えて、学校がまとまらなくなる」とか、「子どもにはまずは義務を教えるべき」という市民意識は根強く、それゆえ学校における人権教育は、表面的な憲法学習や「思いやり・やさしさ・いたわり」といった徳目的な価値の学習にとどめられてしまいがちです。こうした傾向は市民啓発にも共通するかもしれません。 人権教育において、「おもいやり・やさしさ・いたわり」といった言葉を使うとき、「パターナリズム」(保護主義、父権主義)との混同がないか、検証する必要があるでしょう。「弱者に対する配慮」や「温かな人間関係
TOP 資料館 ニュース・イン・ブリーフ 日本の社会保障、雇用制度に対して懸念、国連社会権規約委員会 ニュース・イン・ブリーフ サイト内検索 Powered by Google ニュース・イン・ブリーフ Archives 4月29日から開催されていた社会権規約委員会の第50会期が5月17日、今会期に審議された日本を含む7カ国に対する総括所見を採択して閉会しました。 日本への総括所見は、37段落あり、63段落あった2001年の総括所見よりも絞ったものになっているものの、社会権規約の実体規定全般にわたり、いまの日本の状況に対する懸念や勧告が出されています。 委員会はまず、社会権規約が、日本の裁判所で適用できないことについて懸念を表明し、自動執行力を有していないと考える規定については、必要な立法上の措置をとることを含め、社会権規約が国内法上の効果を持つよう必要な措置をとることを求めています。また
「クリーン・ハンズの原則」 「権利を主張する者は、自らの手もきれいでなければならない。」これを「クリーン・ハンズ(clean hands)の原則」といいます。具体的にいうならば、自分が借りた金は返さないのに、自分が貸した金の返済だけを求めることはできない、ということです。この原則は、「義務を果たさぬ者に権利は認められない」と言い換えることもできるのですが、この考え方は人権にも当てはまるのでしょうか。例えば、「勤労の義務」(憲法27条)や「納税の義務」(同30条)を果たさない人には、「表現の自由」(同21条)や「職業選択の自由」(同22条)といった人権は認められないのでしょうか。 人権の特殊性 人権も権利の一種ですが、しかし人権には「クリーン・ハンズの原則」は当てはまりません。つまり、義務を果たさない人であっても、人権を主張することは許されます。例えば、働けるのに仕事をせず、税金も滞納してい
まず、人権という言葉は、人間が人間であることから当然に有する権利を意味します。したがって、日本国憲法が「基本的人権」を定めていることは、外国人の人権も原則として保障しています。このことは、明治憲法が「臣民の権利」を定めていたのとは違います。臣民とは、帝国臣民、すなわち当時の天皇主権下の国民を意味し、明治憲法は、外国人の人権を保障していませんでした。日本にかぎらず、19世紀につくられた憲法では、一般に、外国人の人権を保障する必要はないと考えられていました。なぜならば、国と国との戦争が多く繰り広げられていた時代、ナショナリズムの高まりを反映して、国民を味方、外国人を敵と考える見方が当時は一般的だったからです。また、明治憲法は、厳密には、国民の人権も保障しておらず、人権とは違う、臣民の権利は、法律しだいで保障されたり保障されなかったり自由に決めることができるとされました。国会が治安維持法という法
ヒューライツ大阪のセミナー情報や、人権に関わるタイムリーなニュースをEメールで月2回ペースでお届けします(無料)。 まず、人権という言葉は、人間が人間であることから当然に有する権利を意味します。したがって、日本国憲法が「基本的人権」を定めていることは、外国人の人権も原則として保障しています。このことは、明治憲法が「臣民の権利」を定めていたのとは違います。臣民とは、帝国臣民、すなわち当時の天皇主権下の国民を意味し、明治憲法は、外国人の人権を保障していませんでした。日本にかぎらず、19世紀につくられた憲法では、一般に、外国人の人権を保障する必要はないと考えられていました。なぜならば、国と国との戦争が多く繰り広げられていた時代、ナショナリズムの高まりを反映して、国民を味方、外国人を敵と考える見方が当時は一般的だったからです。また、明治憲法は、厳密には、国民の人権も保障しておらず、人権とは違う、臣
「ロヒンギャ」の人々とは? 日本国内におけるビルマ(ミャンマー)報道は現在、2010年後半にも軍部が強行しようとしている20年ぶりの総選挙、あるいはタイ国境のビルマ国籍のカレン人難民に対する「第三国定住」が中心となっている。もちろん、長らく閉ざされてきた軍事独裁国家(タンシュエ議長)ビルマは、その他にも民族問題・内戦・麻薬・核疑惑などの問題を抱えている。 いわゆる「ロヒンギャ問題」は、17年を費やしてビルマ全土を回ってきた筆者にも手つかずの取材課題であった。もちろん、この問題はビルマに関わることであるから、少なくともその関係資料には目を通していた。だが、複雑な民族問題を抱えるビルマにあって、このロヒンギャ問題は複雑さを通り越して、理解できない部分が多かった。 まず第一に、ロヒンギャについての呼称・数字・歴史に曖昧な部分が多すぎるのだ。その英語呼称「ロヒンギャ」(Rohingya)は、現地で
「参戦したくないものは、勉強をするか、自分の体を傷つけるしかなかったんです。兄は自ら眼を潰し、私は必死に勉強しました」。 徴兵逃れのため、歳をごまかし生きてきたグェン・ヴァンさん(53、実年齢は57)は、小さな声でゆっくりと語った。生まれも育ちもベトナム中部クアンガイ省。40年前、大量虐殺が行なわれたソンミ村(現ティンケ村)まで約30キロの田舎町で、妻と甥っ子の3人で暮らす。 ベトナムの戦争報道をする世界中のメディアを気にかけていたヴァンさんは、戦時中、ラジオから流れるイギリスのBBC放送によく耳を傾けていたという。 「BBCは当時、ソンミ村の事件を含め、ベトナムの戦争報道をきっちりとしていました。しかし、私自身が、ソンミ村のことをそれほど気に留めていませんでした。なぜなら、戦争で人が死ぬのは当たり前だと思っていたからです」。 米陸軍ウィリアム・カリー中尉率いる米兵部隊が、ソンミ村で504
ヒューライツ大阪のセミナー情報や、人権に関わるタイムリーなニュースをEメールで月2回ペースでお届けします(無料)。 人権はすべての人に保障される普遍的な権利です 何人もの人を殺したような凶悪な犯罪者は、他の人の人権を著しく侵害したのだから、人権を保障されなくてもいいのでしょうか。決してそうではありません。人権は、すべての人が生まれながらに持っている、侵してはならない普遍的な権利であり、凶悪な殺人犯でも人権を主張することができます。日本国憲法第36条、自由権規約、拷問等禁止条約は、拷問や残虐な刑罰を禁止していますが、それは凶悪な殺人犯も、拷問による取り調べや残虐な刑罰を受けない権利を持っていることを示しています。 人権は市民から国家に対する自由の主張です(国家VS市民) そもそも人権は、市民が国家に対して、抑圧・干渉の排除と自由を主張することから始まりました。国家権力の一方的な判断により、市
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