「このままでは生活が立ちいかない。一日も早く仮払いを」(東京電力に抗議した福島県の農家)―。東京電力福島原子力発電所の事故から、50日以上が過ぎました。原発事故被害者の生活は苛烈をきわめます。原子力損害賠償紛争審査会が28日に発表した、原発事故の損害賠償の範囲に関する1次指針は住民の声に応えるものなのでしょうか。(清水渡) 精神的苦痛 「損害」と認める 「仮払い」でも、早急に 1次指針は、政府指示により避難を余儀なくされた人たちへの精神的苦痛を損害として認めました。1999年に茨城県東海村で起きた核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)の臨界事故では対象外とされたものです。今回は、「正常な日常生活が長期間にわたり阻害されたために生じた精神的苦痛は損害として認められる」と認定しました。 また、損害額について、「実費賠償」を原則としています。避難費用などについては、状況に応じて一定額を算出し