◆感情対立を助長するメディア報道 残念ながら、日中間で外交関係が悪化しているだけではない。日本と中国の一般市民の間でも対立感情が高まっている。日本政府の外交に関する世論調査(2011年10月実施)によると、日本人の71%は中国にまったく「親近感」を持っておらず、反中感情を抱いている。他方、中国を好意的に見ている人は26%にすぎない。中国の世論調査も日本に関して同様の状況を示している。両国民の認識の行き違いは過去10年間、一貫して両者間の溝を深めてきた。 こうした経緯の最大の要因となっているのは、政治や外交の実際の展開というよりも、これらの出来事に関するメディアの報道ぶりではないかという印象をうける。東シナ海の岩礁の領有権をめぐる小競り合いが大々的に報道される一方、多くの分野における日中のパートナーシップの大局的な構図はしばしば見過ごされている。日本人の70%以上が中国への反感を抱いてい