だからさあ槙野さんみたいな人は俺の嫁さんみたいな人に感謝してほしいわけよ。突然の大声に視線を向けるとすこし離れた席に私の嫌いな同僚がいて私の嫌いな笑いを笑っていた。この人と話をすると不愉快になると入社当初から思っていた。幸いなことにふだんの仕事で直接やりとりすることはごく少なく、あっても事務的なやりとりだけですむ。 私は情熱的に人を憎むことがあるが、それは戦うべき何らかの理由があるとき、あるいは嫉妬などがあるときだ。彼はその対象ではなく、ただいると不愉快なのでいないほうがいいと、そう感じている相手だった。そういう相手とは同じフロアに勤めていてもなぜだかあんまりすれ違わない気がする。そう言ったら昔、そりゃあ脳みそがよぶんなものを認識しなくていいようになにか処理しているんだ、と言われたことがある。私の脳にはそんなに便利な機能がついているのかなあと思った覚えがある。そんなだから今日も、その人がそ
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