サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
Google I/O
nazology.kusuguru.co.jp
底引き網漁が与える壊滅的なダメージ底引き網漁は、巨大な網を金属製のビームやチェーンで海底に押し付けながら曳航し、魚介類を根こそぎすくい上げる漁法です。 この過程では、漁の対象としていないサンゴ礁や底生生物までもが破壊されます。 底引き網漁が海にもたらしている被害は宇宙からも確認できるほどです。 漁船が網を海底に下ろし、海底を引きずるたびに、大量の堆積物が巻き上げられ、破壊の痕跡となって衛星写真で捉えられます。 一部の堆積物の跡は数十キロメートルにも及び、それぞれの生態系が回復するには数年もの歳月がかかります。 2017年の研究では、底引き網漁により最大41%の海底生物が失われ、その回復には6年以上かかることが報告されました(PNAS, 2017)。 毎年、天然の魚介類の約4分の1は底引き網漁によって漁獲されており、破壊の規模の大きさを物語っています。 しかし衛星画像から見えるもの以上に衝撃
現代の錬金術です。 CERNのALICE実験コラボレーションによる国際研究チームは、LHC(大型ハドロン衝突型加速器)で鉛イオンのビーム同士をほぼ光速ですれ違わせることで、億単位の金原子核を生み出すことに成功しました。 生成された金原子核の寿命は一瞬でしたが、中世錬金術の夢を現代物理の力で実証した例と言えるでしょう。 いったいどのような原理で鉛から金が作られたのでしょうか。 研究内容の詳細は2025年05月07日に『Physical Review C』で発表されています。
巨大化の次は“思考強化”──推論エンジン誕生の舞台裏巨大化の次は“思考強化”──推論エンジン誕生の舞台裏 / Credit:Canva近年、AI研究の焦点は単純にモデルを巨大化することから、「推論力」を高める方向へとシフトしています。 従来のGPT-4系モデルがマルチモーダル(テキスト・音声・画像対応)や高速化を追求してきた一方で、OpenAIのoシリーズは複雑な問題解決や論理的思考、コード生成など「考える力」を強化するために設計された系統です。 なぜ推論力の強化が目指されたのでしょうか? 背景には、大規模言語モデル(LLM)が高度な知識を持ちながらも、複数ステップにわたる推論や論理的整合性を要する場面でミスを犯しがちだったことがあります。 モデルを大きくすれば精度は上がるものの、ある段階からは「考え方」を工夫しないと得られる成果に頭打ちが見え始めたのです。 その打開策として生まれたのが、
量子力学の世界では、電子がとれる状態を厳しく制限する「パウリの排他原理」という重要理論があります。 この原理を見つけ、1945 年にノーベル物理学賞を受けたヴォルフガング・パウリは、理性と計算の権化のような存在でした。 ところが彼は、“偶然の一致”や“夢と現実のつながり”という一見非科学的な現象にも強い関心を抱き、無意識と象徴を研究していた心理学者カール・グスタフ・ユングと交流がありました。 物質の最小世界を解き明かした物理学者と、心の深層を探る心理学者。この二人の意外な出会いが生んだのが「共時性(シンクロニシティ)」という概念です。 ユングは集団的無意識など特殊な理論の数々を発表していますが、証拠がなく基本的には正式な科学としては扱われていません。 しかし、現代においても彼の提言には多くの人々が関心を寄せています。 ユングとパウリ。まるで異なる分野の二人は、一体どのようにして出会い、どん
ヒルベルト第六問題ついに崩れる:粒子から台風まで“一本の数学的鎖”で貫通ヒルベルト第六問題ついに崩れる:粒子から台風まで“一本の数学的鎖”で貫通 / Credit:clip studio . 川勝康弘研究チームは、このミクロからマクロへの橋渡しを二段階のアプローチで実現しました。 ニュートンの粒子力学(左)からボルツマンの運動論的方程式(中間)を経て、流体力学の方程式(右)へと至る論理の連鎖。 今回の研究では、この図に示されたミクロ→中間→マクロのすべての段階を一貫して証明した。 ミクロから中間(ニュートン力学 → ボルツマン方程式)まず研究チームは、無数の粒子が飛び交い衝突するミクロな系から、ボルツマン方程式という統計的な記述が現れることを証明しました。 彼らが扱ったのは、直径が極めて小さい硬い球(ビリヤード玉のような粒子)同士が弾性的に衝突する理想化された気体模型です。 粒子数を非常に
LINEやSNSのメッセージで、いつもカラフルな絵文字を欠かさない人、あなたの周りにもいませんか? 実はそうした「絵文字多用派」の人々には、ある共通した性格上の特徴が見られるかもしれません。 アメリカのオクラホマ州立大学(OSU)で行われた研究によって、SNS投稿で絵文字をたくさん使う人ほど、否定語が多く語彙が少なく抽象的な話題が少なく、新しい経験や物事への開放性が低い傾向があることが示されました。 絵文字の賑やかな様子から外交的な人が多用すると思われていましたが、最も関連性が強かったのは開放性の低さでした。 なぜ絵文字を多用する人はこのような特性があるのでしょうか? 研究内容の詳細は『Frontiers in Psychology』にて発表されました。 Emoji use in social media posts: relationships with personality trai
100年以上解けなかった物理学の難問が、ついに数学の力で解けました。 アメリカのミシガン大学(U-M)で行われた研究によって、原子一粒の衝突から台風規模の渦までを貫く“一本の数学的な鎖”を初めて構築し、流体力学における3つの主要理論を統合することに成功したのです。 これまでの物理学では個々の粒子レベル、粒子の集団レベル、巨大な流体レベルを異なる数式で記述しており、まるで別々の法則のように扱われていました。 しかし今回の成果により3つの理論を連結させ、1900年から数学者たちを悩ませてきた「ヒルベルトの第六問題」の重要な部分を解決する大仕事となりました。 三つの理論を連結する“数学的鎖”は、どのように鍛え上げられたのでしょうか? 研究内容の詳細は2025年03月3日に『arXiv』にて発表されました。
天文学者たちの間で、ある“ちっぽけな天体”が静かに波紋を広げています。 発見されたのは、星の数わずか60個。質量は太陽16個分。そして直径は20光年という超小型の構造体。 しかし、この天体は単なる星の集まり(星団)ではなく、銀河の可能性があるというのです。 もし「銀河」であると確認されれば、それは人類が観測した中で史上最小の銀河ということになります。 「UMa3/U1」と名付けられたこの天体は果たして、銀河なのか、それとも星団なのでしょうか? Did astronomers just discover the smallest galaxy in the universe? https://www.livescience.com/space/astronomy/did-astronomers-just-discover-the-smallest-galaxy-in-the-universe
脳の「思考」だけでYouTube動画を作成この驚くべき映像を公開したのは、アメリカ在住のALS(筋萎縮性側索硬化症)患者、ブラッド・スミス氏です。 ALSは筋肉を動かすための神経が次第に壊れていく病気で、筋肉の萎縮や麻痺を引き起こします。 あの有名なイギリスの理論物理学者であるスティーヴン・ホーキング博士がALSを患っていたことで有名です。 スミス氏も全身の運動機能を失っており、以前までは話すこともできましたが、すでに声も出せない状態になっているといいます。 スミス氏とその家族/ Credit: Bradford Smith – Elon Musk makes ALS TALK AGAIN || Nonverbal ALS Patient Uses Neuralink to Create & Narrate Video(2025) それでもスミス氏は家族の懸命な支えとともに、Neurali
コウイカは非常に高い知能を持つ海洋生物です。 そしてこのほど、仏・高等師範学校(ENS)、米セントルイス・ワシントン大学(WashU)らの研究で、コウイカが腕のジェスチャーを使って仲間とコミュニケーションを取っていることが明らかになりました。 その「腕ふり」には主に4つのタイプがあったとのこと。 さらにコウイカの腕ふりは視覚的にだけではなく、腕ふりで発生する「水中の振動」によってもコミュニケーションを取っている可能性が示されました。 さて、彼らの腕ふりはどのようなものだったのでしょうか? 研究の詳細は2025年5月5日付でプレプリントサーバー『bioRxiv』に公開されています。 Cuttlefish Wave at Each Other, And It Could Be a Mysterious Form of Sign Language https://www.sciencealert
深海とは水深200メートルより深い海域を指し、地球表面の66%を占める最大の生態系です。 特に深海底は多様な生態系を維持しながら、酸素の供給や気候調整を行い、地球の健康を保つうえで欠かせない役割を担っています。 しかし米スクリップス海洋研究所(SIO)らの最新調査で、人類は深海世界をほとんど知らないことが浮き彫りになりました。 研究チームによると、1958年以降に実施された深海探査で、視覚的に観測済みの深海底は全体の0.001%にしかすぎないことが明らかになったのです。 研究の詳細は2025年5月7日付で科学雑誌『Science』に掲載されています。 We’ve Only Glimpsed 0.001% of Earth’s Deep Seafloor, Study Reveals https://www.sciencealert.com/weve-only-glimpsed-0-001-
ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。 量子もつれが最強な理由量子もつれが最強な理由 / Credit:clip studio . 川勝康弘量子もつれとは、たとえ粒子同士が遠く隔たっていてもその性質が切り離せないほど密接に絡み合った状態を指します。 エンタングルメントとも呼ばれるこの奇妙な結合では、一方の粒子を観測した瞬間にもう一方の粒子の状態が即座に決まります。 アインシュタインがかつて「遠隔での不気味な作用」と評したように、距離に関係なく影響し合う様子は古典常識を超えた謎めいたものです。 しかし、この相関がいかに強力でも、情報を光より速く伝えるこ
「子どもは欲しいと思わない」 そんな言葉を耳にする機会が、昔よりずっと増えてきました。 経済的な不安やキャリアの優先、ライフスタイルの多様化など、子どもを持たない理由はさまざまに語られていますが、実はもっと深い心の動きが関係しているのかもしれません。 アメリカのイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(UIUC)の研究チームが、18,000人以上を対象とした大規模調査を行い、ある重要な傾向を明らかにしました。 それは、「親との感情的な距離感」が、将来的に子どもを持つかどうかの判断に影響しているというものです。 研究の詳細は、2025年3月28日付の『Personality and Social Psychology Bulletin』誌に掲載されました。 Avoidant attachment to parents linked to choosing a childfree life, st
――10 mほどの水深に素潜りで潜り、時には妊娠末期まで漁を続ける――。 そんな“超人”ぶりで知られる韓国・済州島の海女さんに、遺伝子レベルでの進化の足跡がある可能性が、アメリカのユタ大学(U of U)で行われた研究によって示されました。 妊娠期の血圧上昇リスクを抑える特定の遺伝子変異が数百~千年スケールで増えてきた結果、本来やや高めになりがちな島民の「下の血圧」を平均10 mmHgほど和らげ、妊娠中に潜水を続ける母体と胎児を守ってきたと考えられています。 一方で、心拍を瞬時に落とす“省エネモード”は、遺伝的なものではなく長年の鍛錬によって身に付けた能力だといいます。 海女さんの進化は人類に何を教えてくれるのでしょうか? 研究内容の詳細は2025年5月2日に『Cell Reports』にて発表されました。
学生時代の勉強方法といえば、「書いて覚える」だったという人は少なくないでしょう。 しかし、デジタル機器が普及した現代、子どもたちは幼い頃からタイピングに触れ、鉛筆で文字を書く機会は減少しています。 では、本当に「書く」ことは学習においてメリットがあるのでしょうか? タイピングとの違いはあるのでしょうか? スペイン・バスク大学(UPV)の研究チームは、識字能力の発達に重要な5~6歳の時期に、手書きとタイピングが及ぼす影響の違いを科学的に検証しました。 研究は2025年2月4日付で『Journal of Experimental Child Psychology』に掲載されました。 New study shows handwriting boosts early reading skills more than typing https://www.psypost.org/new-study-
人間は40歳を過ぎたあたりから、お腹まわりに特に脂肪がつきやすくなってきます。 食事に気をつけ、運動もそこそこ続けているのに、この部分の脂肪がじわじわと増えてきて悩んでいる人も多いでしょう。 これまで私たちは、この現象について、「成長が止まった大人はエネルギー消費量が減るため、若い頃と同じ食生活を続けるとエネルギーが余り、脂肪として蓄積されてしまう」と言われていました。 実際、医学界でも、成長期の終了後に基礎代謝量(Basal Metabolic Rate)が低下し、筋肉量も減少することで、エネルギー収支の不均衡が肥満やメタボリックシンドローム(Metabolic Syndrome)を引き起こすと考えられていました。 ところが、最新の研究が、この見方に一石を投じました。 アメリカの医療研究機関City of Hope(シティ・オブ・ホープ)が発表した成果によれば、単なるエネルギー収支の問題
意識の二大理論:「統合情報理論」対「グローバル神経ワークスペース仮説」意識の二大理論:「統合情報理論」対「グローバル神経ワークスペース仮説」 / Credit:Canva統合情報理論(IIT)とグローバル神経ワークスペース仮説(GNWT)は、意識が生まれるメカニズムをそれぞれ次のように描きます。 統合情報理論(IIT)は脳内の情報が強く統合されてひとつのまとまり(システム)になったときに意識が生じると考えます。 多数のニューロン群がまるでチームワークのように結びつき、情報をやり取りしている状態を重視する理論です。 この理論では特に脳の後部(後頭葉や側頭・頭頂部あたり)のネットワーク、いわゆる「ホットゾーン」で情報が統合されることが意識を支えるとされています。 グローバル神経ワークスペース仮説(GNWT)では脳内の情報がグローバルに放送(ブロードキャスト)され、広範囲の領域で共有されるとき意
一見ただのプランクトンにしか見えない小さな透明生物「オタマボヤ」。 成体になってもオタマジャクシのような姿で海中を漂うというユニークな生活史を持ち、その体のつくりは脊索動物の中でも極端に単純であり、そのサイズの小ささから海洋プランクトンに位置付けられています。 ゲノムサイズもゾウリムシと同じ程度しかなく、脊索動物としても最小クラスです。 しかしその正体は実は私たち人間と同じ脊索動物の仲間です。 鹿児島大学(KU)で行われた研究によって、この不思議なオタマボヤは体を作る遺伝子の働きと言う点でも他の生物と大きく異なっており、基礎的なステップをいくつか省略していたことが発見しました。 なぜオタマボヤはこんなにも奇異な存在になってしまったのでしょうか? 研究内容の詳細は2023年3月18日に『Development』にて発表されました。 Transcriptomes of a fast-devel
真夏の森でセミの大合唱が突然あの有名なクラシック曲「パッヘルベルのカノン」を奏で始めたら――まるでSFのワンシーンを可能にする研究が行われました。 筑波大学(筑波大)で行われた研究によって、セミに電極を植え付けて鳴き声の高さ(ピッチ)を自在に操り、実際に音階を奏でさせることに成功したのです。 もしこの技術が普及すれば、セミだけでなくキリギリスやコオロギなどさまざまな虫たちに好みの曲を歌わせる虫のオーケストラが実現するかもしれません。 研究内容の詳細は2025年04月23日にプレプリントサーバーである『arXiv』にて公開されました。 Insect-Computer Hybrid Speaker: Speaker using Chirp of the Cicada Controlled by Electrical Muscle Stimulation https://doi.org/10.4
ADHDと診断されると、ファストフードの消費量が増加ADHDは、不安定な集中力や落ち着きのなさ、思いつきで行動してしまう衝動性などを特徴とする発達障害の一つです。 その多くは12歳以前の小児期に発覚することが多いですが、大人になってからでもADHDと診断される人は少なくありません。 ADHDについては常に多くの研究がなされており、これまでの研究では、ADHDのある子供が学校での集中力に欠けたり、対人関係でトラブルを起こしやすいことが知られていました。 その一方で、小児期に診断されたADHDが「運動」や「食習慣」といった長期的な健康行動に及ぼす影響についてはあまり明らかになっていません。 そこで研究チームは今回、ADHDと診断された子供が成人後に、どのような食習慣・運動習慣にあるかを調査しました。 Credit: canva 研究者らは、アメリカの青少年を長期間にわたって追跡した大規模な全国
韓国・浦項工科大学校(POSTECH)の研究者たちは、ドローンが苦手としてきた「急停止」を、まるでムササビのような滑空膜によって実現する新型ムササビドローンを開発しました。 このムササビドローンは通常の4枚プロペラのクアッドコプターとして飛びますが、必要なときだけ翼を展開し、空気抵抗を使って瞬時にブレーキをかけられるという驚きの機能を持っています。 さらに滑空も可能という柔軟な飛行スタイルも備えています。 研究の詳細は、2025年4月13日付で『arXiv』にて公開されました。 Flying-squirrel-inspired drone uses extendable wings … to STOP flying https://newatlas.com/drones/flying-squirrel-inspired-drone/ A highly maneuverable flying
重力といえばリンゴを木から落とすあの引力ですが、最新の研究ではまったく新しい見方が提案されています。 イギリスのポーツマス大学(UoP)のメルビン・ヴォプソン博士は、「重力は宇宙が情報を整理整頓する過程で生じる副産物ではないか」という大胆な仮説を打ち出しました。 簡単に言うと、宇宙そのものが巨大なコンピューターのように振る舞い、自身の中のデータをきれいにまとめようとする(情報を圧縮しようとする)結果として重力が生まれる、というのです。 このアイデアは一見突飛に思えますが、新たな研究ではその可能性が示されることになりました。 私たちが常識としてきた“万有引力”は本当に情報整理の副産物へと書き換えられてしまうのでしょうか? 研究内容の詳細は2024年03月14日に『AIP Advances』にて発表されました。
有名な二重スリット実験でスクリーン上に現れる明暗のしま模様(干渉縞)は、これまで「光が波として互いに打ち消しあう現象」だと教科書で説明されてきました。 しかしドイツのETHチューリッヒ、テュービンゲン大学、マックスプランク量子光学研究所、そしてブラジルのサンカルロス連邦大学(UFSCar)からなる国際研究チームによって行われた研究によって、二重スリット実験のしま模様が、フォトンという粒子が取りうる二つの量子状態――検出できる“ブライト状態”と検出できない“ダーク状態”――の巧みな切り替えだけで描ける可能性が示されました。 言い換えれば、「光が波だから生じる」と思われていた縞模様を、光の波動性に頼らず粒子としての性質だけで再現できる可能性が示されたのです。 この大胆な再解釈は、量子力学の難問「波と粒子の二重性」に新たな光を当てるものとして注目されています。 研究内容の詳細は2025年4月3日
あなたがVRの中で異性の体を手に入れ、自分とは違う性別として生活してみたら、一体どんな気分になるでしょうか? 鏡に映る自分の姿も、周囲からの扱われ方もガラリと変わります。 そのとき私たちの心にはどんな変化が起こるのか――この不思議な問いに、近年の研究が少しずつ答えを出し始めています。 たとえば夜の地下鉄ホーム、薄暗い明かりの中で電車を待つあなた。 突然、背後から男たちの笑い声が聞こえ「可愛いねーキミ」と軽薄な声が投げかけられ「ヒューヒュー」と口笛が響いたらどう感じるでしょうか。 このような男性からの呼びかけはキャットコーリングと呼ばれており、女性にとっては男性から受ける代表的な不快な言動とされています。 日本語にはなかなか対応する表現がないのですが、セクハラの一種で「性的なヤジ」あるいは「ストリートハラスメント」という言葉が近いでしょう。 ですがイタリアのボローニャ大学(UNIBO)で行わ
教室の壁に掛かるお馴染みの周期表。 しかしその並び方を大胆に組み替えることで、時間計測の未来が拓けるかもしれません。 ドイツのマックスプランク核物理研究所(MPIK)で行われた研究によって、原子核中の陽子数ではなく残りの電子の数で元素を配置し直した全く新しい「周期表」が提案されました。 チームによれば、この方法で整理したところ、高電荷イオン(たくさんの電子を奪われて強い正電荷をもつ原子)の中に眠っていた700種類以上も「次世代の光格子時計の候補」が浮上したといいます。 従来の周期表からも多くの知見が得られたように、新たな周期表を作ると同時に大量の知識が一網打尽的に現れた訳です。 「新・周期表」は、これまでの周期表では見落とされていた原子の秘密を暴き出し、人類科学を新たな段階に高めてくれるのでしょうか? 研究内容の詳細は2025年4月16日に『arXiv』にて発表されました。
ついつい「ちょっとの運動で健康になれる」なんて甘い言葉に惑わされてしまうかもしれません。 しかし、現実はそんなに甘くないようです。 オーストラリアのシドニー大学(University of Sydney)の研究チームが、7万人以上を対象にした研究で、座りっぱなしの負債を軽減するために必要な「毎日の歩数」を明らかにしています。 この研究の詳細は、2024年3月8日付の『British Journal of Sports Medicine』誌に掲載されています。
私たち人間は、自分で試行錯誤しながら知識や技術を身につけることもできれば、周囲の人々から見よう見まねで学ぶこともできます。 では、複雑な現実世界で新しいことを学ぶとき、どのように「自分の勘」と「社会からのヒント」を組み合わせるのがもっとも賢いやり方なのでしょうか。 この問いに、実はまだはっきりした答えが出ていませんでした。 マインクラフトの仮想世界を舞台にしたこの実験では、参加者が資源ブロックを探す過程で、単独探索と他者の成功を追う行動を絶えず行き来し、その適応力の高い人ほど多くの報酬を得ることができます。 ドイツのチュービンゲン大学(UT)で行われたマインクラフトを用いた実験によって、仲間の発見に頼りすぎず、自分の勘だけに固執もしない――状況に応じて戦略を柔軟に切り替える適応力が最も高い成績を残すことが示されました。 自分流を貫くこと、他人からノウハウを盗み続けること、どちらかに偏ってい
量子真空・暗黒物質探査の新兵器量子真空・暗黒物質探査の新兵器 / 図は、まるで「宇宙エネルギー増幅装置」の設計図のように、金属シリンダが波をどう強くするかを3コマ漫画で示しています。左の輪っかは3つあり、①シリンダがない宇宙空間では波(紫の矢印ロケット)がそのまま通過し、②シリンダがゆっくり回ると波が吸い取られて消え、③シリンダが高速回転すると波が一気にパワーアップします。右側では実験に使った本物の装置を透かし図で示していています。/Credit:M. Cromb et al . arXiv (2025)このようにして、研究室内における史上初の「ブラックホール爆弾」の再現に成功したわけですが、これは一体どんな意味を持つのでしょうか。 まず第一に、50年来の物理学の問いに対するエポックメイキングな実証であることは間違いありません。 ゼルドビッチが予言し、誰もが「無理だろう」と思っていた回転体
半世紀の夢「回転エネルギー泥棒」の正体半世紀の夢「回転エネルギー泥棒」の正体 / Credit:Canvaブラックホールは強力な重力エンジンのような存在ですが、「そこからエネルギーを取り出せないだろうか?」という問いは古くから物理学者を魅了してきました。 その一つの答えが、英国のロジャー・ペンローズによる1969年の提案です。 ペンローズは回転するブラックホールの周囲で「エルゴ領域」と呼ばれる時空の引きずり込み領域に物体を投げ込むことを考えました。 うまくいけば、物体は二つに分かれ、一方がブラックホールに落ちる際に負のエネルギーを持ち去り、もう一方が追加のエネルギーを得て飛び去る――つまりブラックホールの回転エネルギーの一部を奪い取ることができるはずだ、と予想したのです。 難しそうに思えますが、回転する大きなコマの上にBB弾を落とすと、BB弾にコマの回転力が伝えられて「パチン」と勢いよくは
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『ナゾロジー - ふしぎな科学と最新ニュースを楽しく配信!』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く