サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
インタビュー
www.nippon.com
海洋での救難に特化した日本の飛行艇が世界から熱い視線を浴びている。海上自衛隊が保有する水陸両用のUS-2型救難飛行艇は、2022年4月、米軍幹部の視察を受けるなど、その存在がクローズアップされている。なぜ、ここに来て注目を集めるようになったのか、その理由を探る。 米国空軍副司令官の視察 「米国空軍特殊作戦コマンド(AFSOC)副司令官のエリック・ヒル少将が2022年4月6日、岩国航空基地(山口県)を訪れ、海上自衛隊の救難飛行艇US-2に体験搭乗されました。AFSOCのウェブサイトには記事も掲載され、『US-2は素晴らしいプラットフォームで、我々は自衛隊から学びたいと強く思っている』というヒル副司令官のコメントも紹介されていました」 こう語るのは、US-2の製造元、兵庫県内に本社を構える輸送用機器メーカー、新明和工業株式会社航空機事業部長の田中克夫氏。 US-2は飛行機と船の両方の特徴を持ち
ネットスラングで「無敵の人」と呼ばれる、失うものが無くなって犯行に何の躊躇(ちゅうちょ)もない人たちの凶行が増えている。2022年も安倍晋三元首相銃撃や埼玉の立てこもり医師銃殺事件など、残忍な「劇場型犯罪」が発生している。背景にあるのは、安定した雇用も家族も望めず、生きる希望を見失った人々が増え続ける現状だ。彼らの暴走を止めるにはどうすればいいのか。長らく格差社会の研究に取り組んできた社会学者の山田昌弘・中央大学教授に聞いた。 山田 昌弘 YAMADA Masahiro 中央大学文学部教授。1957年東京生まれ。86年東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。2008年4月から現職。専門は家族社会学、感情社会学、ジェンダー論。著書に『パラサイト・シングルの時代』(ちくま新書)、『希望格差社会』(ちくま文庫)、『家族難民』(朝日文庫)、『底辺への競争』(朝日新書)、『日本の少子化対策は
「全ての批判は諸刃の剣」日本の旧統一教会が反論… “日本は経済部隊”発言の旧統一教会元ナンバー2主張に Newsfrom Japan 社会 2022.07.20 16:11 安倍元首相の銃撃事件をめぐって、19日、旧統一教会の元ナンバー2が韓国で会見。日本の教団について「正道から外れている」と痛烈に批判し、さらに「日本の教団は献金を作り出す“経済部隊”だ」と語りました。これに対し、日本の教団の見解は? 旧統一教会・元ナンバー2が会見「申し訳ない」 19日、韓国で開かれた記者会見。報道陣のカメラの前に立ったのは、旧統一教会の元ナンバー2とされ、教団内の争いの末、教団を追放されたカク・ジョンファン氏です。 旧統一教会 元ナンバー2 カク・ジョンファン氏: ご存じのように、安倍元総理を狙撃した動機が“統一教会”に対する恨みのためだという話を聞き、私は大きな衝撃を受けました。私は”統一教会“で最も
ロシアのウクライナ侵攻で注目を集めたドネツクやルハンシク、沿ドニエストル(モルドヴァ)といった旧ソ連の非承認国家。これまでロシアが影響圏形成のために利用してきたが、その相互関係に変化の兆しが見えてきた。 紛争が生みだした未承認国家 旧ソ連地域では多くの戦争・紛争が発生してきたが、それらの中には「凍結された紛争(Frozen Conflict)」ないし「長期に及ぶ紛争(Prolonged ConflictないしProtract Conflict)」となり、「未承認国家(Unrecognized States)」を生み出してきた。未承認国家は、簡単に言えば、「ある主権国家からの独立を宣言し、国家の体裁を整え、国家を自称しているが、国際的に国家承認を受けていない」エンティティ(政治的な構成体)である。現在、もっとも説得力を持つ未承認国家の定義は、ニーナ・カスパーセンによる以下5項目から成るものだ
新型コロナウイルスを封じ込めるため、徹底したPCR検査と隔離、都市封鎖を進める中国政府の「ゼロコロナ政策」。北京や上海などの大都市では感染拡大を抑え込んでいるように見えるが、東部などの地方都市では新規感染者が依然目立つなど、先行きは不透明だ。私権を厳しく制限し、経済活動への犠牲を強いる習近平政権に対し、市民の鬱憤(うっぷん)は日増しに高まっている。 「これからの5年」を不安視する人々 中国政府は6月28日、海外からの入国者に義務付けている隔離施設での滞在期間を、従来の2週間以上から1週間に短縮することに決めた。だがその一方で、ゼロコロナ政策は堅持するとも強調している。 北京日報(電子版)は、北京市トップの蔡奇・市共産党委員会書記が6月27日の演説で、北京市は感染の再拡大を防ぐため、ゼロコロナ政策を今後5年間堅持すると表明したと伝えた。これに対して、ソーシャルメディアには「あと5年なんて!」
Home トピックス なぜか建物の名前が「村上春樹」や「桜木花道」―台湾社会に溶け込む日本語 :課金、激安、炎上もすっかりおなじみ 日本語の漢字と台湾の繁体字はよく似ているので、台湾人は日本語に親近感がある。意味もなんとなく分かるので、台湾で日本の単語がそのまま使われるのは自然なことなのだ。商品のキャッチコピーになることもあれば、中国語と組み合わせて新たな「日台ハーフ」の名詞が生まれることもある。また音が近い中国語を当ててネットスラングが生まれることも。 戦後、台湾にはとても排日的な時期があった。特に国民党政権による戒厳令期は戦争と植民地の歴史に関連することから、戦前に日本語教育を受けた世代であっても、日本語の使用にはよく注意を払う必要があった。 しかし、最近では日本語をそのまま使ったり、中国語と組み合わせた「台製和語」がちまたにあふれている。日本のアニメ、ドラマなどのエンタメが台湾に入り
見知らぬ人々を巻き添えにして自殺を図る「拡大自殺」事件が、急増している。なぜ他人を道連れにして死のうと思うのか? 狂気の引き金となる「心のメカニズム」を精神医学の見地から読み解く。 「拡大自殺」と考えられる事件が続発しており、連鎖が起きているようにも見える。そもそも、拡大自殺とは何か。これは精神医学用語であり、「自分はもうダメだ」と人生に絶望して自殺願望を抱いた人が「1人で死ぬのは嫌だ」「自殺するのは怖い」という理由から、他人を道連れに無理心中を図る行為を指す。英語圏やフランス語圏で1990年代に使われ始めた概念で、病名や診断名ではなく、あくまで現象名である。1999年に米国コロラド州のコロンバイン高校で無差別に銃を乱射した犯人が自殺を図る事件が起き、その背景を分析する際にこの概念が使われたことで一般に知られるようになった。 拡大自殺の連鎖 日本では2001年6月に起きた大阪教育大付属池田
ウクライナ侵攻をきっかけに、日本でにわかに「核共有」について関心が高まっている。ロシアのプーチン大統領が核兵器の使用をちらつかせたことが多大な影響を与えたと考えられる。とはいえ、唯一の戦争被爆国で核アレルギーが強い日本で今後、議論が進むかどうかは不透明だが、北大西洋条約機構(NATO)で取り入れられている事例を基に、核共有とは何か、安全保障上のリスクや課題について、核抑止戦略に詳しい防衛研究所防衛政策研究室長の高橋杉雄氏に聞いた。 高橋 杉雄 TAKAHASHI Sugio 防衛研究所 政策研究部 防衛政策研究室長。1995年、早稲田大学政治経済学部卒。97年、同大学院同研究科同課程修了(政治学修士)。97年、防衛研究所入所。2006年、ジョージワシントン大学コロンビアンスクール修士課程修了(政治学修士)。2009年、政策研究部主任研究官を経て現職。共同編著に『新たなミサイル軍拡競争と日本
インド洋に浮かぶ小さな島国、スリランカが今、経済破綻の危機に陥っている。アジア最悪のインフレや食料・燃料不足に見舞われており、現政権の退陣を求める抗議活動が頻発。その波は世界各国の同胞たちにも伝わっている。日本でも在日スリランカ人によるデモが行われた。コロナ禍による観光業収入の激減よりもっと重大と彼らが糾弾する危機を招いた真因は何なのか。 1日13時間の停電、まきで調理 2022年4月24日、雨の東京・渋谷駅ハチ公前広場に50人を超えるスリランカ人が集まり、何ごとかと遠巻きに眺める日本人に訴え始めた。 「スリランカといっても、あまりピンと来ないかもしれませんが、インドの南にある小さな島国です。セイロン紅茶の国です。日本とは、ずっと友好関係がある国です」 マイクを手に、日本語で切々と訴えるのは、カピラ・バンダラさんだ。留学生として来日してから20年、いまでは都内でスリランカ料理レストランを経
イサム・ハムザ氏は中東・アフリカ圏で最も日本情報に通じた学者の一人だと言われている。技術・産業を支える思想、政治、経済、行政制度など幅広い分野で総合的に日本研究を行うことの意義を聞いた。 イサム・ハムザ Isam HAMZA エジプト日本科学技術大学のリベラルアーツ・カルチャーセンター長。専門は、日本思想史。1956年、エジプト生まれ。カイロ大学文学部日本語日本文学科卒業後、1978〜91年、大阪大学大学院に留学。博士(文学)。エジプト・ミスル科学技術大学言語・翻訳学部学部長、カタール大学日本語・日本文学部長、カイロ大学文学部副学部長などを歴任。『明治、変革を導いた人間力』『竹取物語』など日本語文献のアラビア語への翻訳も多数手がける。令和3年度外務大臣表彰を受賞。 エジプト人は東洋人 イサム・ハムザ氏は、アラブ世界で日本語教育・日本研究の中心的な役割を担うカイロ大学日本語日本文学科の第1期
鎌倉幕府の初代将軍・源頼朝の没(1199年)後、2代将軍・頼家の治世になると、有力御家人や文官13人による合議制に移行した。いわゆる「鎌倉殿の13人」である。しかし、これだけ登場人物が多くなると、理解のハードルは高い。おおよその展開をつかむには、このうち最低5人に絞って関係性を押さえればよいのではないか。 「2代目は無能」のウソ なぜ頼家の時代に有力御家人の合議制に移行したのか。以前は「2代目の頼家は能力不足で遊びほうけているから」と言われていた。よく取り上げられるエピソードとして、御家人同士の土地争いに立ち会った頼家のいい加減な裁定ぶりがある。鎌倉時代の史書『吾妻鏡』には、頼家の発言としてこんな記述がある。 「土地の広狭は、その身の不運によるべし。使節の時間を費やして現地を実検することは無駄である」 『吾妻鏡』の1200年=正治2年=5月28日条より(国立公文書館所蔵) 頼家はこう言って
米国のインターネットサイトThe Journal of Democracy に2022年2月22日に公開された標記の論文(原題はWhat Putin Fears Most)を翻訳し、日本語版読者の皆さんにお届けする。 ロシアによるウクライナ侵攻が始まった。ロシアのプーチン大統領は皆さんに、侵攻はNATO(北大西洋条約機構)のせいであると信じてもらいたいと考えている。動員された19万人に上るロシア兵や海兵ではなく、NATOの東方拡大がこの危機の主因であるとしばしば(この侵略が始まった際のロシア国民に向けた演説を含めて)主張してきた。 「ウクライナ危機は西側諸国の過ちにより引き起こされた」と主張する米国の政治学者ジョン・ミアシャイマーの2014年の『フォーリン・アフェアーズ』の挑発的な論考以来、NATO拡大に対するロシアの反動という物語がウクライナでこれまで継続してきた戦争を説明するための(正
最近、腸と脳が頻繁に情報を交換していることが注目されている。腸内細菌の働きも含めてそのバランスが崩れると、心身の健康を損ない、認知症やうつ、自閉症にもつながることが分かってきた。過敏性腸症候群の第一人者で東北大学心療内科教授の福土審さんにそのメカニズムを解説してもらった。 福土 審 FUKUDO Shin 東北大学大学院医学系研究科心療内科学分野教授・東北大学病院心療内科科長。1983年東北大学医学部医学科卒業、医学博士。米デュ-ク大学医学部研究員などを経て、1998年東北大学心療内科助教授、1999年より現職。専攻は心身医学・行動医学。機能性消化管障害国際ローマIII, IV, V委員会委員。著書に『内臓感覚──脳と腸の不思議な関係』(NHKブックス)など。 脳と腸の密接な関係 「腹黒い」「腹の虫が治まらない」「腑に落ちる」「断腸の思い」……。日本語には、内臓にまつわる慣用句が多い。怒り
この4月から成人年齢が「18歳」に引き下げられる。18歳の高校生にはすでに選挙権があるが(2016年改正公職選挙法施行)、「大人」として新たな社会的権利や責任が生じる。コロナ下で新成人となる10代は、どんな社会認識や悩み、将来像を持っているのだろうか。世代特有のメンタリティーを探る。 土井 隆義 DOI Takayoshi 1960年山口県生まれ。社会学者。筑波大学人文社会系教授。著書に『「宿命」を生きる若者たち』『若者の気分―少年犯罪〈減少〉のパラドクス』『友だち地獄―「空気を読む」世代のサバイバル』など多数。 減少する少年犯罪 ネット依存やいじめ、経済格差など、若者に関わるさまざまな社会問題の論考で知られる土井隆義教授は、もともと犯罪社会学が専門だ。 「少年刑法犯は1993年頃から急激に増えて2003年に1つのピークを迎え、それ以降は激減しました。決して社会環境が良くなったわけではなく
1972年2月19日、連合赤軍の銃を持った若者5人が「あさま山荘」に人質を取って立てこもった。当時は全共闘運動が勢いを失い、一部の過激派が武装化していく時代だった。あれから半世紀、「あさま山荘事件」とは一体何だったのか──。 「あさま山荘事件」は、今から50年前の1972年2月19日に起きた。銃を携えた5人の若い男が長野県軽井沢の河合楽器の保養施設・あさま山荘に侵入、管理人の妻(31歳)を人質にとり10日間にわたって籠城、包囲する警察・機動隊に対して発砲を繰り返した事件である。10日目の2月28日に警察側が強行突入に踏み切り、人質は無事救出されたものの、警視庁第2機動隊隊長と特科車両隊の中隊長が銃撃され殉職した。さらに4日目の22日に警備の虚をつき山荘の玄関に行った民間人が刑事と見なされて銃弾を受け、入院中の病院で3月1日に死亡、犠牲者は3人に及んだ。 28日の午後6時過ぎ、警察側からの催
インターネットの普及で紙媒体の衰退が著しい。中でも新聞業界の苦境は深刻だ。業界の雄として長年君臨してきた朝日新聞社とて例外ではない。2020年度決算では創業以来最大となる大赤字を記録、早期退職者の応募には数多くの社員が応じるなど、かつてない激震が築地本社を襲っている。一体、朝日新聞社の中で何が起きているのか。同社OBがその内幕を明かす。 デジタル化の波に乗り遅れた朝日 朝日新聞社に「エー・ダッシュ(A’)」という社内報がある。季刊で発行される60ページほどの冊子だ。新規事業の説明や職場の話題などが紹介されている。2021年の夏号は、新聞の電子版など同社が力を入れるデジタル事業の特集を組んでいるが、時代の波に翻弄(ほんろう)される大手プリントメディアの苦悩や窮状が紙背からじわりとにじみ出す内容になっている。 社内報の冒頭は、新社長が21年6月の株主総会に報告した20年度決算や個別の事業報告に
2021年からさかのぼること30年前の12月25日、ソビエト連邦大統領ゴルバチョフの辞任をもって、世界最大の帝国ソ連が崩壊した。その時、何が起こっていたのか? 国民の反応はどうだったのか? 日常生活はどう変わったのか? モスクワに在住し、歴史的転換期の目撃者となった国際関係アナリストの北野幸伯氏が当時を振り返る。 ソ連とは何だったのか? 「ソ連」と言われても、若い世代はイメージできないだろう。そこで、まずソ連について、簡単に触れておく。 1917年、ロシア革命が起こった。そして22年、ソビエト社会主義共和国連邦(略称ソ連)が成立した。ソ連はユダヤ系ドイツ人カール・マルクスの共産主義思想をベースに創られた最初の国である。 共産主義とは、何だろうか。いろいろ説明はあるが、「万民平等で豊かな世界を目指した思想」と言える。こう書くと、いい思想なのか?と思える。 しかし、共産主義は人類歴史を「階級闘
手塚治虫に見いだされ、石ノ森章太郎、赤塚不二夫、藤子・F・不二雄らと共に、マンガ表現の地平を切り開いてきた水野英子さん。スケールの大きな物語と斬新な描写で人気を誇ったが、70年代以降、激変する業界の中で、働く“シングルマザー”として険しい道のりを歩んできた。その功績がいま再評価されている水野さんに、これまでの軌跡を聞いた。 水野 英子 MIZUNO Hideko 1939年生まれ。少女マンガ家の草分け的存在で、東京・豊島区のトキワ荘で若き日を過ごした日本の代表的マンガ家たちの中の紅一点。55年デビュー。代表作に『星のたてごと』『白いトロイカ』など。1970年『ファイヤー!』で小学館漫画賞、2010年日本漫画家協会賞・文部科学大臣賞。 手塚治虫の『漫画大学』に衝撃 水野さんが生まれたのは漁港の街、山口県下関だ。満州にいた父親は終戦後の混乱で行方不明になり、母親の実家で育った。その母も早く亡く
80年代半ば、レゲエ音楽にデジタル革命をもたらし、“モンスター・リディム”と称される「スレンテン」。その誕生の裏側には、カシオ計算機(本社:東京都渋谷区)の電子キーボードと新卒の女性開発者の存在があった。スレンテンのルーツ・奥田広子さんが、初めてベールを脱ぐ。 スレンテンのルーツはカシオトーンの音源 ジャマイカのシンガー、ウェイン・スミスの『Under Mi Sleng Teng(アンダ・ミ・スレンテン)』は、レゲエの世界に革命をもたらしたと言われる。友人のノエル・デイヴィーと2人で、カシオの電子キーボードを使って作曲したダンスホール・レゲエだ。1985年に大ヒットすると、デジタル音の心地よく、常習性のあるリズムは、またたく間に世界中に広がっていく。 レゲエでは、ドラムとベースのリズム体を「リディム」や「バージョン」、「オケ」などと呼び、これを繰り返すことで曲に鼓動を生む。同じリディムで複
安倍晋三政権に始まり、菅義偉政権へと継承されていた「アベノミクス」。しかし、「新しい資本主義」を標榜(ひょうぼう)する岸田文雄首相の登場により、その看板が下ろされようとしている。そこで、アベノミクスとは何だったのか、日本経済にどんな影響を与えたのか、安倍氏は所期の目標を達成したと言えるのか、経済評論家の加谷珪一氏が総括する。 岸田政権は所得の再分配を重視する「新しい資本主義」を掲げている。岸田氏は自民党総裁選の段階から「小泉改革以来の新自由主義的政策を転換する」と発言しており、安倍政権や菅政権の経済政策とは一線を画す方向性を明確にしてきた。だが、アベノミクスとは、そもそもどのような経済政策だったのか、この部分をはっきりさせなければ、岸田政権の新しい資本主義についても正しく評価することはできないだろう。 初期に打ち出された「3本の矢」の意味 安倍政権の経済政策であるアベノミクスの評価は真っ二
Home トピックス 新たな “越境作家” グレゴリー・ケズナジャット『鴨川ランナー』:「日本語と英語、“2人”の違う自分を生きる」 京都市が2019年、新人作家の発掘を目指して創設した「京都文学賞」は、「海外部門」を設けて留学生をはじめ外国籍の人が日本語で書いた小説にも門戸を開く。21年春、満場一致で「海外部門」のみならず「一般部門」でも最優秀賞に選ばれたのは、米国出身グレゴリー・ケズナジャットさんの「鴨川ランナー」だ。自らの体験を色濃く投影した作品が生まれた背景を聞いた。 グレゴリー・ケズナジャット Gregory KHEZRNEJAT 1984年、米国サウスカロライナ州生まれ。2007年、クレムソン大学を卒業後、外国語指導助手として来日。17年、同志社大学大学院文学研究科国文学専攻博士後期修了。現在は法政大学グローバル教養学部准教授。21年、「鴨川ランナー」で第2回京都文学賞受賞。
2021年は、1861年に江戸幕府とプロイセンの間に修好通商条約が締結されてから160周年となる。日本の近代化にはプロイセン、そしてドイツの果たした役割が大きい。医学や法学、軍事など幅広い分野でドイツからお雇い外国人を招くなど、日独の人的交流が近代日本の形成に多大な影響を与えた。160周年を機に、この日本とドイツの特別な関係について概観する。 ベルリンで起きた日本人の「胴上げ」 1914年7月28日、オーストリア=ハンガリー帝国(以下、オーストリア)がサラエボ事件(6月に起きたオーストリア皇太子暗殺事件)に抗議してセルビアに宣戦布告、ロシアがセルビアの支援に回ると、今度はドイツが8月1日にロシアに宣戦布告してオーストリア側に立った。 第一次世界大戦初期のこの緊迫した状況下、ドイツの首都ベルリンでは奇妙な出来事が起きていた。日本人が街頭で群衆に囲まれ、歓喜の輪の中で「胴上げ」されたというのだ
これらの即身仏を護持しているのは、いずれも江戸時代に湯殿山信仰の拠点となった寺院である。湯殿山の御宝前(ごほうぜん、明治以降は御神体)は山そのものでなく、温泉の湧き出る巨岩。温泉に含まれる鉱物が固まった「温泉ドーム」と呼ばれるもので、湯殿山は古来より出羽三山の奥の院として崇められてきた。 1641年に羽黒山が天台宗に統一されて以降、出羽三山では天台宗と真言宗の対立が深まった。徳川幕府の公認を得て巨大な勢力となった天台宗に対して、真言宗側は寺社奉行に訴訟を起こして、「三山のうち、羽黒山・月山は天台の山、湯殿山は真言の山」という裁定を得た。 即身仏となったのは一代限りの修行者を意味する一世行人(いっせいぎょうにん)で、門前集落の出身ではなく、外部から来た下層の宗教者である。真言宗側は、湯殿山で一世行人を修行させることで宗教的能力を体得させ、布教の前線で活動させて天台宗に対抗した。江戸時代に庄内
中国語の習得が、今、世界的にホットなトレンドの一つとなっている。米国に次ぐ経済大国として中国の存在感が高まっていることで、ビジネスチャンスに結び付けようという人も少なからずいる。そんな中で、あえて、「台湾華語」と呼ばれる、台湾なまりの中国語を勉強する日本人が増えている。2013年から日本で華語を教える筆者が教え子達とのエピソードからその背景を明かす。 北京語とは異なるアクセントの台湾華語 台湾華語教室で春連(新年を祝う張り紙)を書く学生。2017年撮影 「先生、お疲れさまでした」 授業の最後に、生徒たちが教師に深々と頭を下げるのを見ると、心が温くなる。2013年に中国語を教えるために来日して以来、いつも目にする光景だ。日本人は老若男女を問わず、教えを乞う相手に、常に礼儀正しく接してくれることに、心癒される。 今、中国語の習得が世界的なトレンドとなっているのは周知の通りだが、筆者が東京で教え
最近の傑作香港映画を紹介する「香港映画祭2021」が始まり、関西を皮切りに、名古屋、東京などで未公開作品を含む計4作(東京のみ7作を予定)が上映されている。大規模デモから国家安全維持法の導入まで、政治的な激動を経た香港。映画祭の上映作品の一つで、少年野球チームの伝説的活躍の実話をもとに制作された作品『最初の半歩』(原題:點五步)を紹介したい。 「香港のKANO」と呼ばれた作品 2016年に香港で制作された本作『最初の半歩』は、香港の学校で生まれた野球チームの物語だ。野球の経験がほとんどない落ちこぼれの学生たち10人が、野球を熱愛する校長の指導によって実力をつけ、香港の大会で「野球先進地」の米国人や日本人のチームとも互角に戦いながら、人生の転機をつかんでいく。 舞台は英中交渉で香港の返還が正式に決まった1980年代。大国の都合に翻弄される香港と、大人の都合に悩まされる若者たちの苦しみが重なる
新語・流行語・今年の漢字 コロナに翻弄された2021年、せめて「チルい」年末を : 三省堂の辞書編集者が選ぶ2021年の新語 言語 社会 2021.11.30 『三省堂 辞書を編む人が選ぶ「今年の新語2021」』の選考会が11月30日、都内で開催され、気持ちがゆったりした、身心の緊張を解くような心地よさを表す若者言葉「チルい」が大賞に選ばれた。 「ナウい」「エモい」の流れをくむ選び抜かれた外来語 年末に出版社や検索エンジン各社が発表する「今年の新語」や「最も検索された言葉」は、1年の総括として注目される。三省堂では、「辞書に収録するにふさわしい後世まで残る言葉」を選定しており、単なる流行語とは一線を画するのが特徴だ。 chill out(落ち着く)から派生した「チル」は2010年代後半から「チルする」「チルってる」「チルな」「チルい」など若者を中心にさまざまな品詞に活用されて使われてきてい
暗号資産(仮想通貨)市場の伸長が著しい。時価総額は今や3兆ドル(約342兆円)に達し、米国では初めてビットコイン(先物)連動型のETF(上場投資信託)が上場されるなど、存在感を高めている。こうした中、国内最大級の暗号資産取引所の売却交渉が密かに進められていた。売却先の候補には中国資本の企業も含まれており、経済安全保障面で危惧する声が高まっている。 時価総額300兆円を超えた暗号資産 日本最大級の暗号資産取引所「bitFlyer(ビットフライヤー)」が内外企業と売却交渉を進めている。その過程で明らかになったのが、日本の経済安全保障体制の立ち遅れだ。岸田政権は経済安全保障を進め、日本のデータ主権を回復できるかが問われている。 新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界各国の中央銀行の量的緩和政策で、内外の金融市場が活況を呈している。中でもインターネットを通じたデジタル資産である暗号資産は一時の不振を
中央アジア5カ国はそれぞれ、異なった外交アプローチでアフガニスタンを見ている。タジキスタンがタリバンを敵視する一方、ウズベキスタンとトルクメニスタンは「新しい現実」を受け入れ、経済交流の維持・発展を期待する。 国境の向こうの別世界 筆者はアフガニスタンに行ったことはない。しかし2006年にタジキスタンの国境沿いの道から見た風景は衝撃的だった。タジキスタン側も悪路だとはいえ舗装されていて、私が乗せてもらったランドクルーザーを含め、きれいな車が多く走っていた。しかしパンジ川(アム川上流)の向こうのアフガニスタン側には、未舗装の細い道と、日干し煉瓦造りで窓ガラスのない建物が見えた。まるで違う時代の世界が隣り合っているように思えた。 歴史的には、アフガニスタンと中央アジアは明確に区切られてはいなかった。バクトリア、サーマーン朝、ティムール朝など多くの王朝・国家が両方にまたがる領域を持った。しかし中
「ラノベ」の潮流:“無双チート”からスローライフまで「異世界転生」小説がかなえる“親ガチャ”大当たりの願望 文化 社会 暮らし 2021.11.10 若者向けのライトノベルでは、さえない現実を生きる主人公が「異世界」に「転生」して活躍する物語が次から次に生み出されている。その人気の秘密はどこにあるのだろうか。 不遇な主人公が「ナーロッパ」に転生 「ライトノベル」(略して「ラノベ」=軽い文体で書かれた若者向けの娯楽小説。多くがコミック化、アニメ化されている)には、“異世界転生モノ”と呼ばれるジャンルがある。2010年代以降「小説家になろう」という投稿サイトを中心に、次から次に生みだされた。ゆえに「なろう系」と称されることもある。 異世界転生の物語を大ざっぱに、いささか強引に説明すると、こうなる。現実世界で「不遇」な生活(ブラック企業で働いている、無職、“ぼっち”<=ひとりぼっちで友人がいない
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『nippon.com | 日本情報多言語発信サイト』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く