地道な捜査で容疑者に行き着いた警察の労は多としたいが、サイバー犯罪に弱い社会の重大な課題は残されたままだ。 遠隔操作ウイルス事件で警視庁などの合同捜査本部は、威力業務妨害容疑で、東京都内在住の男を逮捕した。 男は自己顕示欲のせいか、証拠に直結する記録媒体を江の島のネコの首輪に仕込んだ。その映像が防犯カメラに残され、逮捕につながった。 現実空間に身をさらした敵失を逃さなかった捜査といえる一方、容疑者がネット空間に潜み続けていれば、逮捕に至らなかったことになる。犯罪者が安穏とできる場所がある社会は、正常とはいえない。時代の変化が生んだ新たな犯罪に対応するための態勢づくりと法の整備は喫緊の課題だ。 事件は、パソコンの遠隔操作を通じて爆破や無差別殺人の犯行予告などが送信され、パソコンの持ち主4人が誤認逮捕された。 「真犯人」を名乗る犯行声明は「(警察に)醜態をさらさせてやりたかった」と動機を記した
沖縄密約判決 ずさんな文書管理を指摘した(9月30日付・読売社説) 沖縄返還に関わる「密約」の文書は、「秘密裏に廃棄された可能性が否定できない」。東京高裁はそう認定した。 密約関連文書の漏えいに関わったとして、有罪が確定した元毎日新聞記者の西山太吉氏らが起こした民事訴訟の判決だ。 訴訟自体は、「文書は存在しない」と主張した国の逆転勝訴となった。同時に、外務省などによる外交文書のずさんな管理を指摘した判決である。 西山氏らは、米軍用地の原状回復補償費400万ドルや、米短波放送中継局の国外移転費1600万ドルを日本側が肩代わり負担することを日米間で申し合わせた文書などの開示を国に請求した。 しかし、「不存在」を理由に開示されず、訴訟で不開示決定の取り消しなどを求めていた。 1審は、外務省などが文書を十分に探しておらず、「国民の知る権利をないがしろにしている」として、国に開示を命じた。 これに対
東京都渋谷区で平成9年、東京電力の女性社員が殺害され現金を奪われた事件で、強盗殺人罪に問われたネパール国籍の受刑者に対する無期懲役の確定判決の根拠が揺らいでいる。 受刑者の再審請求審で東京高検が行ったDNA鑑定の結果、被害者の体内から検出された体液のDNA型が、現場に残された受刑者以外の男性の体毛と一致した。被害者が第三者と現場の部屋に行ったことは「考えがたい」とした2審有罪の論拠に疑問が生じたことになる。 大阪地検特捜部による郵便不正事件と押収資料改竄(かいざん)・犯人隠避事件を検証した最高検は、「検察再生」のキーワードに「引き返す勇気」をあげた。判決に影響を与え得る鑑定結果が出た以上、改めて審理を尽くすべきではないか。 受刑者は、捜査段階から一貫して犯行を否認していた。現場には受刑者の体液、体毛が残されており、DNA型も一致していた。 1審は第三者が犯人である可能性を指摘し、無罪とした
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