マンキューのいう経済学の10大原則のうちの第8原則は、「一国の生活水準は、財・サービスの生産能力に依存している」というものである。すなわち、ある国の持続可能な経済的豊かさは、その国の労働生産性の水準によって決まってくる。一時的には資産を取り崩したり、借り入れを行うことによって、高い消費水準を実現することができる。しかし、そうしたやり方での高い消費水準はいつまでも持続可能なものではなく、持続的に高い消費水準を達成しようとすれば、それに見合う高い労働生産性の水準が不可欠である。 ここでいう労働生産性は、労働者が一定時間内に生産できる実質GDPの大きさのことである。この意味での労働生産性は、資本蓄積の結果として労働者一人あたりの資本量(これを「資本装備率」という)が上昇すれば増加する面があるが、資本装備率を一定としたときには、経済学のジャーゴン(専門用語あるいは隠語)で「全要素生産性(TFP)」