昨年も同じ9月中旬に、文化庁による「国語に関する世論調査」が発表された際に、「文化庁の「正しい日本語原理主義」が「姑息」である理由」というタイトルの下で、この欄で私は違和感を述べています。この年の場合は具体的には「寒っ」とか「姑息(こそく)」という表現、あるいは「ら抜き言葉」問題に関する議論で、要するに政府が「正しい日本語」を示しつつ「日本語の乱れ」について否定的な見方を表明するようなことは必要がないというのがその趣旨でした。 もっとも、調査そのものに関して言えば、解釈めいたコメントはないわけで、問題はその報道にあると言えます。特に新聞の社説などが「話題」として面白おかしく取り上げる中で、「若者の日本語の誤用」を非難したり、「日本語の乱れ」を嘆いたりするのが「お決まり」になっているわけで、調査の方でもそうした扱い方をされることを前提で発表している「ふし」があることは否定できません。その意味
経済ニュースゼミ 小笠原誠治の、経済ニュースを通して世の中の動きを考察するブログです。地球温暖化阻止のために石油・石炭産出権取引を提唱します。産出権取引は排出権取引とは違います。みんな勘違いするのです。 ようこそ「経済ニュースゼミ」へ。当ブログにアクセスして頂き、ありがとうございます。私は2004年以降、一般の方々に経済ニュースを分かりやすく解説する仕事をしております。経済のニュースは難しいことが多いですし、それに誤解を呼びそうな報道も多いからです。皆様が、このブログをお読みになって、ご自分で考えることができるようになることを望んでおります。当方へのご連絡先は、次のとおりです。seiji+cj9.so-net.ne.jp (+を@にして下さい) 最近、19兆円にも上るとみられる復興予算の流用が国民の批判の的になっています。 復興予算、ご存知ですよね? 大震災が起こり、そして津波が押し寄せ、
きのう與那覇さんとニコ生で話したことだが、最近の中韓との騒ぎには、民主党政権で日米同盟がゆらいできたという背景があるような気がする。そこでも紹介したが、孫崎享『戦後史の正体』が20万部を超えるベストセラーになっている。私は手の込んだギャグとして楽しく読んだのだが、世の中にはこれを信じる人もいるようなので、まじめにコメントしておこう。 この本は「アメリカが日本の政治をコントロールして政権を従属させ、独立派の政治家を失脚させてきた」という陰謀史観である。終戦直後については当たっている部分もあるが、ほとんどは著者の被害妄想だ。たとえば鳩山由紀夫氏や小沢一郎氏が失脚したのは、アメリカがマスコミや東京地検を使って彼らを追い落としたためだという。橋本龍太郎も細川護煕も宮沢喜一も竹下登も、すべてアメリカが失脚させたことになっているが、その根拠は著者の妄想だけだ。 こういうチープな陰謀論が多くの読者の共感
銀座でiPhone5を求めて徹夜の行列ができたこともあって、メディアもiPhone5でまるでお祭り騒ぎのように賑わっていました。米国でもニューヨーク、ボストン、ミネアポリスなどでiPhone4Sの発売時を上回る行列ができ、iPhone5フィーバーが起こったようです。今日iPhone5が発売後の最初の3日間の売上が発表されると思いますが記録を大きく塗り替えることはもう確実です。 さて、今回のiPhone5の薄さ、軽さは文句なしにアンドロイド勢、とくにサムスンのGalaxy S IIIを抜いています。しかしiPhone5が人気がでそうなことに危機感を感じたのか、サムスンがアンチiPhoneの比較広告を出しました。この比較広告は、”It doesn’t take a genius. The Next Big Thing Is Already Here.” (「誰だってわかること。次の(iPhon
私は派遣労働者や契約社員など非正規労働者として長年働いてきたが、正社員至上主義者の主張には常々疑問を感じていた。 彼らは非正規労働者がいかに差別されているかを強調し救済を唱えているが、「悲惨な非正規労働をなくすために正社員を増やすべきだ」という主張は全くもっておかしい。 なぜなら深刻な不況期に突入した現在の日本では多くの企業が業績悪化に陥り比較的低コストな非正規社員ですら雇用が困難な状況だ。 この状況で正社員を増やせば更に失業者が増えるのではないか?(こんな事は経済学者でなくても小学生でも分かりそうなものだが・・・) 格差や貧困に反対すると言いながら現状より更に格差や貧困が拡がる事が確実な方法を押し付けるのはおかしくないか? 非正規労働者の中には非正規労働が無くなれば失業する人も多いから自分がなれれば別だが、必ずしも正社員増加を好んでいる訳ではない。 それではなぜ上述の様な矛盾する論理がま
今回の事件を日中関係全体の悪化と捉え、その先の議論へ走るのは誤りである。まずは、今回の事件の原因、もたらされた現象、今起きている事柄について考え、その後で、対処法を考えるべきである。 今回の問題は、すべて石原都知事の責任である。 彼が、なぜか、選挙のためでも何でもなく、自分のかっこよさに酔いしれるために行った、東京都による購入の意図の宣伝が、すべてをもたらしているのである。 尖閣の問題は解決しようがない。 日本が譲ることはあり得ないし、国際社会でも理論的には日本側に立つのが圧倒的多数派だ。しかし、中国は、日本に対してだけでなく、すべての領土拡張戦略を採っているから、ここで譲るはずがない。 だから、尖閣は、この事件の前でも後でも、争いは残る。 問題は、ことさら島の購入をぶち上げたために、中国政府も強硬姿勢を示さざるを得なくなったことだ。 これは誰も得をしない。 次に動いたのは、両国の国民感情
2012年09月23日 日本の「ネトウヨ」を中国紙が紹介するとこうなるという記事 中国共産党機関紙『人民日報』の電子版『人民網』が「蒋丰:日本“网络右翼”几乎没接触过中国人」という記事を掲載していましたが、なかなか面白い紹介をしており、いろいろ思うところがあったので、これについて少し。 1 記事の紹介 最初にいつものとおり、記事を翻訳したものを簡単に紹介させていただきます。 『人民網』の9月22日配信、『日本新華僑報網』は蒋豊の記事『日本の“ネット右翼”はどのようなものか見てみよう』を掲載したが、全文は次の通りだ。 「彼らは情熱はあるが、無知だ」これは日本の「本家」伝統の右翼の新興の「ネット右翼」に対する評価だ。文字通り、「ネット右翼」は普段はネットに寄生しており、時々街頭に行っていろいろ騒ぐ「オタク(男女)」だ。 彼らの外見は普通だ。2008年、大阪大学は1000人のネットユーザーに対し
2012年09月24日10:00 カテゴリ日本経済経営 ルネサス争奪戦を考える NEC,日立、三菱電機が母体となる半導体では国内最大手のルネサスエレクトロニクスが経営不振に陥っており、先ごろ、アメリカの投資ファンド、コールバーグクラビスロバーツ(KKR)が1000億円を出資して救済に乗り出すと発表、その交渉は最終段階を迎えていました。 そこに政府系ファンドの産業革新機構を中心にトヨタ、日産、ホンダ、パナソニック、キャノンなどが出資してアメリカ投資ファンドに対抗する姿勢を表明しました。 ルネサスはマイコンを自動車会社などに圧倒的シェアで供給し、ある意味、市場独占をしている部分もありました。そして、そのマイコン市場を「コントロール」できなければ日本の自動車業界は足元を揺さぶれらるという弱みもありました。仮にKKRが買収した場合、同社の事業基盤などを考え合わせれば日本の自動車産業の自由が利かなく
「技術」という言葉は幅の広い言葉だが、「全ての技術には学問的な裏づけがある」という事は言えるだろう。言い換えれば、学問的に正しい事は、常に「技術」として人の役に立つ可能性があり、逆に、学問的に正しくない事は、「技術」としても成立し得ないとも言える。従って、理工系の大学や大学院が「技術」の発展に大きな役割を果たす事は大いにありうる。 それ故に、文科省や経産省は大学の研究室などに多くの資金拠出をしているし、企業も「産学連携」にそれなりの興味は持っている。日本が「技術立国」の加速を望むなら、この様な動きはもっと促進されて然るべきなのだが、残念ながら、現状ではこの成果が十分上がっているとは言い難い。世界経済フォーラムの競争力レポートによると、「数学・科学教育の質」のランキングでは、1位はシンガポールで、日本は22位に過ぎない。「産学連携の取り組み」では、5位のシンガポール、12位の台湾の後塵を拝し
「大酒を慎むように」。現在の北の湖理事長が昭和49年名古屋場所後、21歳で横綱に昇進したとき横綱審議委員会から異例の注文が付いた。洒脱な随筆で知られた故高橋義孝委員(独文学者)は「私も酒飲みだからあまり言えないが、横綱は糖尿になったら大変だから…」と話した。当時の横審は粋であり、気骨もあった。(サンケイスポーツ・今村忠) きょうの横審定例会では、相撲協会から諮問された大関日馬富士の昇進について協議される。承認されるのはほぼ間違いないが、ファンを代弁して横審から厳しく注文を付けてほしい。「張り手は慎むように」「だめ押しや、懸賞金を手にしてのガッツポーズもどきは見苦しい」…。 特に「張り手」はいただけない。立ち合いの張り差しは作戦として目をつぶるにしても、流れの中で見せる細かい張り手は、昔の軍隊や運動部の体罰である“横ビンタ”を想起させられ、ルール上は許されても見る者にとっては醜悪に映る。相手
大関日馬富士が2場所連続優勝を果たし、横綱昇進を確実にしたことで、東西の最高位をモンゴル勢が占めることになる。貴乃花が平成15年に引退して以降、番付から消えたままの日本人横綱。“和製力士”が綱を締める日は、いつになるだろうか-。 日馬富士の昇進により、横綱は4代続けて外国出身力士となった。日本人の横綱誕生は、3代目若乃花が昇進した14年前の夏場所後までさかのぼらなければならない。 日本相撲協会の諮問機関である横綱審議委員会の内規は、横綱推挙の基準を「2場所連続優勝か、これに準ずる成績」としているが、そもそも優勝自体が難しいのが現状である。日本人が賜杯を抱いたのは18年初場所の大関栃東が最後。以来、39場所連続で日本出身力士は優勝から遠ざかっている。今場所も日本人大関は、稀勢の里が10勝5敗に終わり、琴奨菊は左膝の負傷で途中休場。今後、横綱が2人揃えば、一人横綱時代より大関の連続優勝のハード
「ゼロリスク社会」の罠 「怖い」が判断を狂わせる (光文社新書) 著者:佐藤 健太郎 販売元:光文社 (2012-09-14) 販売元:Amazon.co.jp ★★★★☆ 原発事故から1年半たって、人々の恐怖も収まってきたようだが、いまだに一部の声の大きい人が「ゼロリスク」を求めて騒いでいるため、政府は被災者を帰宅させることができない。本書は、こうしたバイアスを心理学的に分析したものだ。特におもしろいのは、ハーバード大学のリスク解析センターのあげている「リスクを人々が過大評価する10の要因」である。それによれば、人々は次のようなリスクを大きく感じる: 恐怖を引き起こすリスク:交通事故のような平凡な事件より原発やテロのような恐ろしい事件のリスクを過大評価する コントロールできないリスク:「自動車は自分で運転できるが、原発は…」という話がいまだに出てくるが、事故を起こそうと思って乗る人はいな
企業誘致のため多くの地方自治体が数十億円にものぼる補助金を用意し、競い合って上限額を吊り上げてきた。長引く不況の影響で税収が落ち込むなか、消耗戦の様相を呈している。全国の自治体の先駆けとなって、90億円もの大型補助金で2004年にシャープ亀山工場を誘致した三重県。「亀山方式」とまで呼ばれ全国から賞賛されたが、全国横並びの企業誘致策から転換を図ろうとしている。鈴木英敬三重県知事にこれからの企業誘致のあり方について聞いた。 ――なぜ、これまでのような大型補助金による企業誘致策を転換するのですか。 鈴木英敬知事(以下鈴木知事):税収が減り財源が限られるなかで、補助金だけに頼った企業誘致策は限界に来ています。これまでの量産型加工組立工場は、高度な製品であってもより安く作ることが求められ、日本全体で六重苦と言われる状況では、企業側も国内にとどまって今まで以上にコストを削減するのは難しい。 ――またシ
米海兵隊の新型輸送機MV22オスプレイに関する日本政府の安全宣言を受け、米軍岩国基地で第1陣12機の試験飛行が始まった。調整を終えた順に沖縄県の普天間飛行場へ配備され、来月中旬にも本格運用に入る。 当初計画よりも遅れたのは残念だが、運用準備が整ったことを評価したい。オスプレイは海兵隊の展開能力を大幅に強化し、日米同盟の抑止力を高める上でも不可欠だ。 尖閣諸島奪取を狙う中国の攻勢などで日本の安保環境が急速に悪化する中で、その導入は一刻の猶予もならない。野田佳彦政権は安全確保に関する日米合意を踏まえつつ、早期運用開始へ全力を投じてもらいたい。 オスプレイは現行のCH46ヘリと比べて速度、積載量、行動半径が2~4倍に強化される。 とりわけCH46の行動半径140キロに対し、オスプレイは600キロある。普天間(沖縄本島)から約420キロ離れた尖閣諸島の有事に即応できるなど、軍事・戦略上のメリットは
基準地価 加速する被災地の「二極化」(9月24日付・読売社説) 地価底入れの兆しはあるものの、東日本大震災の爪痕が残っており、先行きは不透明だ。 国土交通省が7月1日時点の基準地価を発表した。住宅地が21年連続、商業地も5年連続で下落したが、下落率はともに前年より縮まった。 東京など3大都市圏の下落率は住宅地、商業地いずれも0%台へ縮小し、横ばい状態となった。 超低金利や住宅ローン減税などの政策効果で、住宅需要が高まったことが要因だ。今春開業した東京スカイツリー周辺のように、大型商業施設や再開発が地価上昇の追い風になった地域もある。 ただし、全国2万か所の調査地点のうち、地価が上昇したのは658地点で、全体の3%に過ぎない。都市部に比べて、地方の回復は遅れている。 地価が本格的な上昇局面を迎えるまで、なお時間がかかるのではないか。政府は今後の動向を注視する必要があろう。 気になるのは、大震
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