ワシントンで21日まで開かれた環太平洋経済連携協定(TPP)の首席交渉官会合は、年内の交渉妥結に向けて10月の閣僚・首脳会合のお膳立てをすることが目的だった。 しかし、かえって歩み寄りの難しさも浮き彫りになるなど、交渉の行方は予断を許さない。 ◆「政治決断」も 「この課題は明日までに解決を」「こちらは来週までに」。首席交渉官会合は初日の18日から、時にはわずか30分で一つの分野を終えるなど、精力的に議論を進めた。ただし対立が少ない分野から取り上げていったため、後半になるにつれて進行は遅れ、予定の分野をこなし切れない日が続いた。 例えば、難航分野の一つである「知的財産」を巡っては、特許権などの保護を強化したい米国と、新しい技術を安く導入したい新興国の対立は根深いままだ。交渉官の間では、年内の妥結を優先するなら交渉の範囲を見直し、確実に合意できるものに限るよう各国の首脳・閣僚に政治決断を求めざ