◆新兵さんはかわいそね 戦争で父は、陸軍の砲兵として中国の東北部から行軍し、南洋の島で捕虜となった。 南洋の島では、ひもじさのあまりに、仲間が次々、ゴムの葉を食べて死んでいったのが辛(つら)かった。そう話したことがある。 酔えばたまに、就寝ラッパのメロディーに乗せ、「新兵さんはかわいそね また寝て泣くのかね」と、泣き笑いのような表情で歌った。直接の戦闘の話はほとんど口にすることなく、4年前に89歳で亡くなった。 ◆2千通のはがきの意味 身内の話続きとなるが、昨年9月に発売された「日本が戦ってくれて感謝しています-アジアが賞賛する日本とあの戦争」(井上和彦著、産経新聞出版)が、すでに10万部を売った。著者がアジアを歩き、各地で聞いた日本と日本軍に対する感謝と尊敬の言葉を記したものだ。 担当者からは、2千通近い読者からのはがきがすごいのだ、と聞いた。借りて、読んだ。 「日本のために尊い命を犠牲