好きな対象を撮って見て楽しむ―というほかに、写真には「記録」というもうひとつのとても大きな価値があることは誰もが知っていると思う。どんな動機があってシャッターを切ったとしても、作者の思い入れとは別の側面で、その瞬間から写真の記録としての価値はじわじわと大きくなっていく。特に街の風景や社会の風俗を捉えた写真にはそれが顕著で、日ごろ何気なく見ている街の景観などでも、数年立つと驚くほど変貌していることに気づいたりするもの。人間のあいまいな記憶の連続性を断ち切り、クールに瞬間の一断面を画像に定着してしまう、写真の力にあらためて気づかされるのはそんなときだ。 半蔵門にあるJCIIフォトサロンで開催されている、幕末・明治の古写真展「下岡蓮杖と臼井秀三郎の写真帖より」は、そうした写真の底力をじっくりと感じることのできるいい機会でもある。写真というシステムが日本に渡来してまもなく、つまり幕末から明治初期(
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