鮎といえば、一般に水を切ればすぐ死んでしまうという印象を与えている。だから、非常にひよわなさかなのように思われているが、その実、鮎は俎上そじょうにのせて頭をはねても、ぽんぽん躍り上がるほど元気溌剌はつらつたる魚だ。そればかりか、生きているうちはぬらぬらしているから、これを摑つかんで串に刺すということだけでも、素人には容易に、手際よくいかない。まして、これを体裁よく焼くのは、生やさしいことではない。 もちろん、ふつうの家庭で用いているような、やわらかい炭ではうまく焼けない。尾鰭おびれを焦がして、真黒にしてしまうのなどは、せっかくの美味しさを台なしにしてしまうものだ。いわば絶世の美人を見るに忍びない醜婦しゅうふにしてしまうことで、あまりに味気ない。 容姿が美しい鮎ほど、味も上等 こういうわけで、家庭で鮎が焼けないということは、少しも恥ずかしいことではない。見るからに美味そうに、しかも、艶やかに