中国系詐欺組織が日本人を標的に犯行を拡大させている。さらに日本の高校生が知らぬ間に「騙す側」に組み込まれていた実態が判明した。ジャーナリスト・藤川大樹さんの著書『ルポ特殊詐欺無法地帯』(文春新書)から、東南アジアを拠点とする詐欺組織の手口と構造を紹介する――。 恋愛感情を利用した投資詐欺 盧の詐欺グループは中年の中国人女性に偽の仮想通貨(暗号資産)投資を持ちかけ、金をだまし取っていた。数週間かけて恋愛感情を持たせ、信頼を得る手口が豚の肥育に似ていることから「Pig Butchering Scam(豚の食肉解体詐欺)」と呼ばれている。 詐欺師たちは約千五百台ものスマートフォンを使って、中国の通信アプリ、微信(ウィーチャット)で偽物のプロフィルを作成した。プロフィルには盗まれたアカウントや携帯電話番号、写真、動画などが使われた。詐欺用のスマートフォンはiPhoneが多く、組織内連絡用は主に中国