中国のテック業界で、「人間蒸留」という言葉が広がっている。社員のチャット履歴や業務データを吸い上げ、思考プロセスや文章の癖まで写し取った「AI分身」を作る動きだ。ジャーナリストの上田裕資さんによれば「ただでさえ1270万人もの大学卒業生が就職難に直面する中国で、今度は働く人自身の知識や経験までAIに吸い上げられ、仕事を奪う“分身”として再利用されようとしている」という――。 人間を“蒸留”し始めた… 人工知能(AI)が人間の仕事を奪うという懸念は、もはや誰もが感じるものになりつつある。しかし、いま中国のテクノロジー業界で起きている事態は、人々の想像を超えた新たなフェーズに突入している。 その不気味さを如実に示すのが、人間のスキルや特徴を「蒸留」し、AIに移し替えるというコンセプトだ。AI分野の専門用語である「蒸留(Distillation)」は本来、大規模なAIモデルの知識から重要な要素の