【東畑】書きたいことがあるというのは、つまりは何が自分の中にあるという感覚なのでしょうか。こういう物語があり得るのではないか、みたいな予感があるということ? 【角田】考えたいことがある、に近い感じですね。たぶんそれが小説のテーマなんですけど。たとえば『八日目の蟬せみ』だと、母性ってなんだろうというか、この社会があまりにも母性を信じていないか、「なんか母性に頼りすぎてない?」みたいなことをちゃんと考えたい。『ひそやかな花園』は人工授精の話なんですけど、それについて考えたいという気持ちがずっとあって。 【東畑】ああ、なるほど……。実は僕はこの「書きたいこと問題」について困っていて、それでお尋ねしたんです。というのも、ついこの前、20年越しの謎が解き終わったんですよ。 考えたいことは無限にあるわけではない 【角田】えっ、それはどんな? 【東畑】「カウンセリングとは何か」というのが、大学院以来の根