サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
アメリカ大統領選
leeswijzer.hatenadiary.com
東海大学出版部が出版事業から撤退するという話は数年前からに耳にしていた.ワタクシが『読む・打つ・書く』の最初の企画打合せに本郷に出向いた2019年6月のことだ. “理系本” の執筆と出版がますます先細りになってきたことが拙著を出す大きな動機のひとつだった.
三中信宏 (2022年1月30日刊行予定,河出書房新社[河出新書・046],東京, 292 pp., 本体価格880円, ISBN:978-4-309-63147-9 → 目次|版元ページ)※一週間後には見本刷りがつくばに届くとの連絡があったので,そろそろ “コンパニオンサイト” なるものを仕立て上げないといけない.まだコンテンツが足りないのでいささか見映えしないが,ちょこちょこと中身を詰めていくことにしよう.画像や文章は随時アップデートしていきます.
三中信宏 (2022年1月30日刊行,河出書房新社[河出新書・046],東京, 292 pp., 本体価格880円, ISBN:978-4-309-63147-9 → 版元ページ) 【目次】 プロローグ —— 世界は本に満ち溢れている 3 第1章 知のノードとネットワーク —— 読書は探検だ 21 1.1 手にする動機,読み通す技術 24 1.2 文字空間とその可視化 —— インフォグラフィックスの視点から 26 1.3 狩猟者としての読者 —— 本を読む冒険の心構えは何か? 38 1.4 読書の往路 —— 読み跡を「ノード」として刻む 44 1.5 読書の復路 —— ノードをつなぐ「ダイアグラム」 51 1.6 書き手と読み手を隔てるもの —— 「わからない」は罪深いか? 60 1.7 既知から未知へ —— “アブダクション” としての読書行為 63 ◇コラム1〈探書三昧〉本を狩りに行く
有田正規 (2021年10月7日刊行,岩波書店[岩波科学ライブラリー・307],東京, vi+148+10 pp., 本体価格1,500円, ISBN:978-4-00-029707-3 → 目次|版元ページ) 読了.これは超オススメ本.とくに現役研究者には必読書.学術出版社と学術誌のたどってきた歴史を見渡しつつ,現在のアカデミアの状況がなぜこうなってしまったのかを冷静に記述する.第4章までは学術書・学術論文の出版史が中心だが,第5章以降が出色だ.コンパクトながら,学術出版社の経営・学術誌ビジネスモデルの変遷・オープンアクセス誌の光と影・インパクトファクター煉獄・学術誌包括契約(ビッグディール)・OAメガジャーナルなど主要な問題点がすべて列挙されている. 本書『学術出版の来た道』を読み終えて考え込まざるを得ないのは,すぐに実行できるような解決策が「ない」こと,にもかかわらずこのまま放置すれ
須藤靖・伊勢田哲治 (2021年5月30日刊行,河出書房新社,東京,342 pp., 本体価格2,000円,ISBN:978-4-309-25427-2 → 版元ページ) 須藤靖は「私は科学哲学が物理学者に対して何らかの助言をしたなどということは訊いたことがないし,おそらく科学哲学と一般の科学者はほとんど没交渉であると言って差し支えない状況なのであろう」(p. 16)と述べている.しかし,科学哲学に関する須藤靖のこの主張は,彼のホームグラウンドである “物理学” では正しい認識かもしれないが,ワタクシのように “生物体系学” の現代史を知っている者にとってはただの偏狭な間違った認識と言うしかない.個別科学ごとに「科学と科学哲学との関係」はそれぞれ異なるからだ.十数年前に出した:三中信宏 2007. 科学哲学は役に立ったか:現代生物体系学における科学と科学哲学の相利共生.科学哲学, 40(1
ハラルト・シュテュンプケ[日高敏隆・羽田節子訳] (1987年4月25日刊行,思索社,東京, vi+118 pp., ISBN:4-7835-0145-9) 本書はかつてワタクシの書棚に “いた” はずなのに,今世紀に入ってからとんと見かけなくなった.必要があって探しているのだが,ナゾベームだなあ.リプリントされた平凡社ライブラリー版:ハラルト・シュテュンプケ[日高敏隆・羽田節子訳]『鼻行類 : 新しく発見された哺乳類の構造と生活』(1999年5月15日刊行,平凡社[平凡社ライブラリー・289], 東京, 152 pp., ISBN:4-582-76289-1)は目の前にあるのに.いったいどこに逃亡してしまったのだろう…….こういうときは闇雲な探索に時間と労力を費やすのはもったいないので,オンライン古書店でもう一冊発注した.ブツの価格にもよるが,これくらいだったらたとえダブっても買った方が
網谷祐一 (2020年12月20日刊行,勁草書房,東京, viii+238+xv pp., 本体価格3,200円, ISBN:978-4-326-10288-4 → 目次|版元ページ) 【書評】※Copyright 2021 by MINAKA Nobuhiro. All rights reserved 肩透かしから学ぶ「種問題」の現在「《種》とは何か?」「《種》はどのように定義できるのか?」—— 生物体系学において長きにわたって戦わされてきた「種論争」のなかで幾度も問われ続けてきたこれらの疑問は現在もなお解決できてはいない.地球上の生物多様性を語るとき,誰もが “共通通貨” として使うに値する《種》の概念があればさぞかし役に立つだろう.しかし,過去何世紀にも及ぶ種論争の泥沼から抜け出られる気配はいまだにない.ワタクシはこの種論争は解決されることに意義があるのではなく,いかにしてそれととも
大塚淳 (2020年10月30日刊行,名古屋大学出版会,名古屋, iv+242 pp., 本体価格3,200円, ISBN:978-4-8158-1003-0 → 目次|版元ページ) 読売新聞大評が公開された:三中信宏「科学哲学の新たな到来 —— 統計学を哲学する 大塚淳著 名古屋大学出版会 3200円」(2020年12月6日掲載|2020年12月14日公開). 科学哲学の新たな到来 評者は方々の大学や農業試験場で統計学を教えた経験が長い。統計学と聞けばすぐさま難解な数学や数式を連想して震え上がる受講者を前に、「統計学の真髄は数学ではない」と説くことから始める。ばらつきのある不確定な現象に大昔から直面してきた人間には素朴な統計的直感が備わっている。統計学はヒトのもつ認知心理的基盤を無視できない。科学哲学もまた同様に確率論と統計学の基礎と深く関わっている。 本書は、古典的な頻度主義統計学から
ミヒャエル・H・カーター[森貴史監訳|北原博・溝井裕一・横道誠・舩津景子・福永耕人訳] (2020年2月29日刊行,ヒカルランド,東京, 797 pp., 本体価格9,000円, ISBN:978-4-86471-827-1 → 目次|版元ページ) 読売新聞大評が公開された:三中信宏「ナチスを支えた科学者 —— SS先史遺産研究所アーネンエルベ」(2020年5月3日掲載|2020年5月11日公開)※本書は厚さ800ページで9000円.挑戦的な価格設定ではあるがけっして高くはないだろう. ナチスを支えた科学者 本書を手に取ったのは何かの因縁だろう。以前、第二次世界大戦中の進化生物学について調べる機会があったとき、英語圏とほぼ同じ1940年代にドイツ語圏での進化理論の総合を成し遂げた中心人物である人類学者ゲルハルト・ヘーベラーやアーリア人種の優越性を実証しようとした植物遺伝学者ハインツ・ブリュ
読売新聞「新型コロナ 読書対談<上> 進化生物学者 三中信宏さん ×政治学者 苅部直さん」(2020年4月12日) 読売新聞「新型コロナ 読書対談<下> 進化生物学者 三中信宏さん ×政治学者 苅部直さん」(2020年4月19日) 読書委員による新型コロナウィルス読書案内.対談者がふたりともマスク姿で撮られるとは前代未聞なり.ワタクシがこの対談(前編)で取り上げた一冊目は,パンデミック本の古典:リチャード・プレストン[高見浩訳]『ホット・ゾーン(上・下)』(1994年,飛鳥新社).全世界に蔓延したエボラ出血熱との息詰まる攻防戦は,パンデミックが繰り返し人間社会に襲来したエピソードのひとつ.二冊目は緊急重版された:アルフレッド・W・クロスビー[西村秀一訳]『史上最悪のインフルエンザ:忘れられたパンデミック』(2004年1月16日刊行,みすず書房,東京, 420 + lv pp., 本体価格3
アルマン・マリー・ルロワ[森夏樹訳] 『アリストテレス 生物学の創造[上]』(2019年9月17日刊行,みすず書房,東京, viii, pp. 1-291, 63, 本体価格3,800円, ISBN:978-4-622-08834-9 → 目次|版元ページ) 『アリストテレス 生物学の創造[下]』(2019年9月17日刊行,みすず書房,東京, iv, pp. 293-586, 35, 本体価格3,800円, ISBN:978-4-622-08835-6 → 目次|版元ページ) 読売新聞大評が掲載された:三中信宏「よみがえる哲人の業績 —— アリストテレス 生物学の創造 上・下…アルマン・マリー・ルロワ著」(2020年1月19日掲載|2020年1月27日公開) よみがえる哲人の業績 生物学の歴史をさかのぼれば、アリストテレスにたどりつく。しかし、「アリストテレス以来2000年の歴史をもつ生物
ロブ・デサール,イアン・タッターソル[ニキリンコ・三中信宏訳] (2020年1月25日刊行,勁草書房,東京, vi+273 pp., 本体価格2,200円, ISBN:978-4-326-75056-6 → 版元ページ) 【目次】 はじめに 1I 穀物と酵母 ── 太古以来の名コンビ 5 1 ビール、自然、そして人間 6 2 古代のビール 18 3 醸造の歴史 30 4 ビール呑みの文化 47II (ほぼ)当てはまるビール原論 63 5 ビールも分子でできている 64 6 水 79 7 大麦 92 8 酵母 109 9 ホップ 127III 快楽の科学 141 10 発酵 142 11 ビールと五感 154 12 ビール腹 170 13 ビールと脳 183IV ビール造りのフロンティア今昔 195 14 ビールの系統樹 196 15 ビール復活請負人たち 218 16 ビール造りの未来 2
荒木優太(編著)(2019年9月1日刊行,明石書店,東京, 286 pp., 本体価格1,800円, ISBN:978-4-7503-4885-8 → 目次|版元ページ|特設ページ) 読売新聞の小評が公開された:三中信宏「在野研究ビギナーズ 勝手にはじめる研究生活…荒木優太編著」(2019年12月1日掲載|2019年12月9日公開) 研究者といえば、大学や研究機関などに所属し、“職業研究者”として給料をもらっていると思われがちだ。しかし、本書の「在野研究者」とは、他の仕事によって生計を立てながら、それと並行して研究を続ける人々を指している。 本書に寄稿している計15名ははっきり言えば「在野研究プロフェッショナル」たちである。その彼らがこれから歩みだそうとする「在野研究ビギナー」たちを念頭に編まれた本書は章それぞれに野心的であり、同時に現代社会の中で研究とはいかなる営為なのかを鋭く問いかけて
レファレンス協同データベース>レファレンス事例詳細(2019年3月15日) https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000253054 図書をきれいに “保存” するためのさまざまな教訓はえてしてユーザー(読者)の便宜をぜんぜん考えていない.読者にとっての本は使い回すための資料のひとつにすぎないので,汚れたり壊れたり(場合によっては)なくなったりすることは想定内のこと.必要があればもう一冊買えばいい.上の返答を読むかぎり,日本の公共図書館は所蔵本をすべて「閲覧禁止」かつ「貸出禁止」にしてしまえば,無傷のまま何十年も何世紀も安全に保管できるのではないかと思ってしまう.読む人がいなければ本は汚れないし傷まないし “不適切” な取り扱いもなくなるだろう.ワタクシの場合,図書は基本すべて私費購入なので,盛大に “付箋紙” を
伊藤邦武 (2019年8月10日刊行,筑摩書房[ちくまプリマー新書・332],東京, 237 pp., 本体価格860円, ISBN:9784480683564 → 版元ページ)
クリス・チェインバーズ[大塚紳一郎訳] (2019年4月1日刊行,みすず書房,東京, vi+330+xl pp., 本体価格4,400円, ISBN:9784622087885 → 目次|版元ページ) 読売新聞大評が一般公開された:「統計学の原罪と救済 — 心理学の7つの大罪…クリス・チェインバーズ著 The Seven Deadly Sins of Psychology」(2019年7月14日掲載|2019年7月22日公開) 統計学の原罪と救済 統計データ解析の界隈では、数年前から、これまで長らく使われてきた個々の解析手法ならびに一般的な研究ワークフローをめぐって論議の高まりが目につくようになった。本書の舞台である心理学はその“ホットスポット”のひとつだ。著者は近年の実験心理研究のあり方、とりわけデータの取り扱いをめぐる“後ろ暗い”行為の数々を指摘する。 本書が列挙する心理学の「大罪」の
ジェリー・Z・ミュラー[松本裕訳] (2019年4月16日刊行,みすず書房,東京, xiv+189+22 pp., 本体価格3,000円, ISBN:9784622087939 → 目次|版元ページ) 現代社会に蔓延する「業績評価」への過度のこだわり( “測定執着” )がいかに害毒を撒き散らしているかを具体的に糾弾する.うっかり油断するといつでも誰でも重篤な “測定執着” の餌食になってしまう.その結果,「一番簡単に測定できるものしか測定しない」,「標準化によって情報の質を落とす」,そして「不正行為」をもたらす(pp. 24-26)など,その悪影響は果てしない. 会計財務主導の「管理主義」にとって「一番の公理は「測定できないものは,管理できない」だ」.この信念が「標準化された,数値化されたデータ」を要求する(p. 37)という指摘は今の日本に広まっている空気そのものではないか.「測定は判断
ジェームズ・フランクリン[南條郁子訳] (2018年5月15日刊行,みすず書房,東京, viii+609+88 pp., 本体価格6,300円, ISBN:9784622086871 → 目次|版元ページ) 最後の「エピローグ 非定量的蓋然性のサバイバル」では,パスカル以降の “数学化” の傾向 —— 「数学的方法によってしだいに植民地化されてきた物語」(p. 572) —— を免れた “非数学的” な蓋然性の残響 —— 「多くの非定量的な蓋然性がしぶとく生き残っているようす」(p. 572) —— に耳を澄ませる.ポール・ロワイヤルやラプラスの論理学あるいは法学や道徳神学のその後の顛末にフランクリンは注意を向ける.そして,現在の科学哲学にも時としてみられる懐疑論(社会構築主義)に対抗するには,証拠に基づく非演繹的推論の史的基盤を再認識することだとしめくくられる. 続く「2015年版への後
三中信宏 (2018年5月中旬刊行予定,技術評論社,東京,ca 240 pp., 予価2,300円(本体価格) → 経緯1|経緯2) 「まえがき」と「あとがき」がさらに追加されるかもしれない. 【ほぼ確定目次】 プロローグ:統計曼荼羅の拝み方 ― 統計学の世界を鳥瞰するために 1 第1講 素朴統計学:涙なしの統計ユーザーへの道 7 統計学のロジックとフィーリング:ある思考実験 7 統計思考の認知心理的ルーツを探る 10 アブダクションという推論様式の進化的起源 12 第2講 グラフィック統計学:数と図のリテラシー 15 統計学は「見る」ことから始まる 15 百聞は一見にしかず:グラフを用いた可視化の事例 17 ポアソン・クランピングの陥穽:統計的直感の “誤作動” の例として 25 第3講 観察データから統計モデルへ 29 観察データと統計モデルとの関係 29 数学と現実の架け橋:カール・
2017年の師走に脱稿した:三中信宏『系統体系学の世界:生物学の哲学がたどってきた道』(2018年4月刊行予定,勁草書房[けいそうブックス])は文献リストが未完成だった.一念発起して各章末に分散していた文献リストを束ねてみたら,重複項目を除いてちょうど1,000項目くらいでおさまりそうな気配だ.かつての『生物系統学』文献リストが1,258項目だったのではやや少ない. それでも,分量が分量なので覚悟はしていたのだがリスト作成ははてしなく続く.リマ本翻訳でずいぶん慣れたが,ボールドやイタリックなどの書式指定はすべてマークダウンで行なうととても作業が捗る.千項目もの文献をソートして,蟲捕りして,書式をお化粧するというのはエンドレスな工程だ. それにしても,本文そのものよりもむしろ文献リストの方がはるかに “闇” が深いように感じる. 【闇】その一)長い歴史をもつジャーナルの場合,途中で誌名が変更
三中信宏 (2017年刊行予定[もうすぐ],春秋社,東京) 【目次 ― 最終案(2017年2月13日)】 プロローグ:思考の体系化は「可視化」から始まる 1. 天気図記号:複数の情報を束ねるダイアグラムの基本機能 2. イデオグラフとメトログリフ:ダイアグラムの試行錯誤 3. チャーノフの顔:ダイアグラムの視認性を改良する 第1章 ダイアグラム博物館 ― 思考の体系化の歴史をたどる 1.1 画家ギヨーム・ヴルランが描いた家系図(15世紀ベルギー,ブルージュ) 1.2 作家ジョバンニ・ボッカチオが描いた神々の系図(14世紀イタリア,フィレンツェ) 1.3 修道士ランベールが描いた善悪の樹(12世紀フランス,サン=トメール) 1.4 法学者ジャック・キュジャスによる最古の系図表(9世紀フランス,トゥールーズ) 1.5 神学者フィオーレのヨアキムが描く歴史の樹(12世紀イタリア・フィオーレ)
アレックス・ラインハート[西原史暁訳] (2017年1月刊行予定,勁草書房,東京, 本体価格2,200円, ISBN:9784326504336 → 版元ページ) すでに訳者サイト〈Colorless Green Ideas〉で公開されたpdf版あり:「『ダメな統計学』冊子PDFの公開」(2014年12月28日).そして,原書の紹介記事:「科学における「ダメな統計学」を説明した本」(2015年4月4日).
荒木優太 (2016年3月1日刊行,東京書籍,東京, 255 pp., 本体価格1,500円, ISBN:9784487809752 → 目次|エン-ソフ|版元ページ) 仙台一番町〈あゆみBOOKS〉にてゲット.メインタイトルだけではいったい何の本だか皆目見当がつかなかったが,サブタイトルを見て即座にレジにお連れした.本書の「在野研究者」とは「狭義の学術機関に頼らずに学的な営みをつづけてきた研究者たち」(p. 5)という意味で用いられている.本書で取り上げられている16人の「在野研究者」たちはすべて故人だが,著者は,先人たちの在野研究人生から学び取れるさまざまな教訓を全40箇条の〈在野研究の心得〉としてまとめている. 本書は「文系」の研究分野を念頭に置いて編まれているので,大学の「なか」か「そと」かが在野であるかどうかの分かれ目になっている.ワタクシたちのように,大学の「そと」なんだけど,
ユージニア・ボーン[吹春俊光監修|佐藤幸治・田中涼子訳] (2016年1月27日刊行,ピエ・ブックス,東京, 427+IV pp., 本体価格2,300円, ISBN:9784756244055 → 目次|版元ページ) テーマ的にはとても興味深い新刊なのだが,実に残念なことに,この訳本では原書:Eugenia Bone『Mycophilia: Revelations from the Weird World of Mushrooms』(2011年11月刊行,Rodale Books, New York, ISBN:9781605294070 → 版元ページ)にはあるという「かなり詳細なリファレンス」(p. 427)が全削除されているので,資料的価値はゼロというしかない.それがわかった時点で,ワタクシは速攻で原書をオンライン発注した. 本書に限らないが,日本語訳に際して文献リストとか索引を省
馬場明子 (2015年8月10日刊行,未知谷,東京, 154 pp., 本体価格1,600円, ISBN:9784896424782 → 目次|版元ページ) 【書評】※Copyright 2015 by MINAKA Nobuhiro. All rights reserved 我が蚕は永遠に不滅です 日本の養蚕業を支えた養蚕学の歴史をたどっためずらしい本.著者は,関係者への丹念なインタビューとともに,日本各地はもとより,さらにはメンデルの故郷であるモラヴィアにまで足を伸ばして,養蚕学の長い学統がいまなお着実に伝承されている経緯をたどる.厚い本ではけっしてないが,養蚕学とその後継である昆虫遺伝学のいまを知る上で貴重なルポルタージュに仕上がっている. 本書の「語り部」として繰り返し登場するのは,九州大学農学部附属遺伝子資源開発研究センターで蚕の系統保存を担当してきた伴野豊教授である.動植物の系
第17回図書館総合展の会期中,2015年11月12日(木)にパシフィコ横浜・会議センター501号室で開催された〈分類フォーラム〉第一部(13:00〜14:45)でのワタクシの高座は Ustream で録画が公開されている:第17回図書館総合展チャンネルE ― 分類フォーラム[第一部]三中信宏「ヒトはつい、分類してしまう生き物だった」→ Ustream.録画では 5:30 あたりから第一部が始まり,質疑を含めて100分という長丁場だった. この〈分類フォーラム〉では分類と系統に関するいつものお話が中心だったのだが,図書を対象とする分類と系統についても触れたので,ワタクシの見解を以下にまとめておく: 図書をオブジェクトとする「分類」は修辞学的には「メタファー(隠喩)」によるクラスタリング(グルーピング)である.メタファーによる「図書分類」は,オブジェクト間の類似度の定義(分類基準)さえ明示され
鈴木哲也・高瀬桃子 (2015年9月25日刊行,京都大学学術出版会,京都, vi+155 pp., 本体価格1,700円, ISBN:9784876988846 → 目次|版元ページ) 【書評】※Copyright 2015 by MINAKA Nobuhiro. All rights reserved 学術書は “三回り外” まで目を向けよ 本書は,専門的な「学術書」を出版する側から見たときのさまざまな問題点とその解決策について,具体的な事例を挙げながら論じている.出版企画が立ち上がってからの内容構成のポリッシュアップそして原稿執筆(第II部「書いてみる」),続いて実際に原稿がそろったあとの印刷所への入稿以後の工程への配慮,さらには見出しと索引の作成法にいたるまで(第III部「刊行する」),執筆する側には必ずしも見えていなかったことが本書には書かれている.しかし,ワタクシ的には,第II部
佐藤恵子 (2015年9月20日刊行,工作舎,東京, 418 pp., 本体価格3,200円, ISBN:9784875024668 → 目次|版元ページ) 【書評】※Copyright 2015 by MINAKA Nobuhiro. All rights reserved ヘッケル山脈の裾野ははてしなく かつて岩波文庫に『生命の不可思議』(後藤格次訳,1928年刊行,全2冊)が入るくらいには知名度があったエルンスト・ヘッケルだが,現在では図版集『生物の驚異的な形』(小畠郁生監修|戸田裕之訳,2009年4月30日刊行,河出書房新社,141 pp., 本体価格2,800円,ISBN:9784309252247 → 紹介|目次|版元ページ[新装版])を除けば,ヘッケルの日本語訳著作はほとんど入手できなくなってしまった. しかし,地球上の生物多様性とその系統的体系をその卓越した画才を発揮して存
筒井淳也 (2015年5月25日刊行,中央公論新社[中公新書・2322],東京,x+209 pp., ISBN:9784121023223 → 目次|版元ページ) 【書評】※Copyright 2015 by MINAKA Nobuhiro. All rights reserved 「日本的な働き方」の社会的帰結 本書は,現在みられるような「日本的な働き方」がどのようにして成立したのかを現代史的に振り返り,さまざまな国際比較データを用いて,この国の「かたち」を浮かび上がらせようとする(第1〜2章).そして,未婚率の増加と出生率の低下,そして女性の社会進出を阻むのはこの「日本的な働き方」にほかならないと著者は指摘する.第3章ではその「日本的な働き方」の正体に迫る. まずはじめに,著者は欧米に広く見られる「ジョブ型職務給制度」に対する日本の「メンバーシップ型職能資格制度」について次のように定義
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『leeswijzer: boeken annex van dagboek』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く