サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
インタビュー
weekly-economist.mainichi.jp
オリンパスの国内販売子会社「オリンパスマーケティング」で大量降格事件が発生した Bloomberg 大手医療機器メーカー、オリンパスの販売子会社で「ジョブ型」雇用制度の導入に伴い、大量の降格人事が発生し、問題となっている。40~50代の中堅社員約200人が、基本給を決める人事上の「等級」で新入社員相当に引き下げられ、製品運搬や回収などの単純作業を担う部署に配置転換される事例も多発した。一部の社員は、「ジョブ型雇用に名を借りた事実上のリストラ」として、降格の取り消しとパワーハラスメントに対する損害賠償を請求する訴訟を起こしたほか、精神的な苦痛から自殺未遂を起こす社員も発生している。 問題の発端はオリンパスの医療機器販売子会社「オリンパスマーケティング」の安藤幸二社長(当時)が2022年8月5日、23年4月から導入する「ジョブ型」の新人事制度について説明会を開き、従業員に通知したことにさかのぼ
モデルナ・ジャパンの長山和正社長 新型コロナウイルスが2023年5月、感染症法上、季節性インフルエンザと同じ5類に移行してから約2年弱、昨年4月のワクチン有料化から1年が経過した。訪日客が急増する春の行楽シーズンを控え、日本のコロナ対策は十分なのか。コロナワクチンの大手、モデルナ・ジャパンの長山和正社長に、日本の新型コロナの感染状況やコロナ対策の課題などについて聞いた。(聞き手=稲留正英・編集部) ―― まず、日本におけるコロナワクチンの接種状況について ■昨年4月にコロナワクチンの接種が「特例臨時接種」から「定期接種」に移行して、人々の意識が大きく変わった。今まで自治体の勧めで打っていたものが、自分で選択してお金を払って打つことに180度変わり、それが接種率の変化に現れている。 具体的にはコロナワクチンの接種回数は23年の春夏2300万回、秋冬2800万回の計5100万回から、24年は7
小此木政夫慶応大学名誉教授(丸山博撮影) 尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が昨年12月に「非常戒厳」を宣言した背景にある韓国社会の分断について、小此木政夫慶応大名誉教授は、現代の対立状況の背景が19世紀後半の「朝鮮ナショナリズムの分裂と競合」にあるのではないかと指摘する。小此木氏のインタビュー後半として、19世紀後半にまでさかのぼる歴史的背景を語ってもらった。 ── 韓国における「保守派」と「進歩派」には、日本の植民地支配に抵抗した独立運動での路線の違いが歴史的な背景として存在すると指摘されました。それが現在の状況にも影響しているということでしょうか。 小此木 最近の韓国政治はリーダーシップ危機と表現するしかない混乱した状況にあります。私は、「朝鮮ナショナリズム」の分裂と競合に原因があるのではないかと疑っています。そうだとすれば、それは相当に構造的なものであり、簡単には解消しないでしょう。
小此木政夫慶応大学名誉教授(丸山博撮影) 尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が昨年12月に「非常戒厳」を宣言した後、韓国政治は先を見通せない混乱に陥っている。こうした状況の背景には深刻化する政党間の対立とそれに伴う社会の分断があると指摘されており、国際的な世論調査でも韓国社会の党派対立は米国と同じくらい深刻だとされる。では、対立を深める韓国の「保守派」と「進歩派」を分けるものは何なのか、なぜ対立がここまで深刻になっているのか──。長年にわたって日本の韓国地域研究をリードしてきた小此木政夫慶応大名誉教授は、現代の対立状況の背景を19世紀後半の「朝鮮ナショナリズムの分裂と競合」にあるのではないかと指摘する。小此木氏の診断を2回に分けて紹介したい。 ── 今回の事態の背景には韓国社会の分極化、すなわち保守派と進歩派の対立の激化があると指摘されます。韓国における「保守派」と「進歩派」とは、いったい何
書店のない自治体が27%という数字がよく話題になる。では、公共図書館のない市区町村は全国でどのくらいあるかご存じだろうか。 日本図書館協会の集計によると全国815市区のうち、図書館を設置しているのは808。つまり七つの市区には図書館がない。これが町村だとどうか。自治体数は926。そのうち図書館を設置しているのは544。382の町村には公共図書館がない。全国の町村の41%には図書館がないのである(2023年)。 図書館を設置している自治体も、必ずしも満足できる状況ではない。11月5日から3日間、横浜市で図書館総合展が開催されたが、会場で出会った図書館関係者たちからは、自治体の予算削減が続いて、資料購入や職員配置に影響が出ているという声を多く聞いた。建物の修繕や設備の更新も、自治体の財政難のため他の予算よりも後回しにされがちだという。 公立図書館の職員の76%が非正規雇用で、低賃金かつ不安定な
ナシ畑が点在し、黄金色のススキが揺れるのどかな田園風景が広がる一方、窓のない巨大な箱状の建物が林立する──。東京都心部から電車を乗り継いで約1時間。成田国際空港にも近い千葉県印西市が今、全国的にも有数の「データセンター(DC)銀座」として変貌を遂げている。 >>特集「電力インフラ大投資」はこちら DCは、インターネットでつながったサーバーなどの機器を設置するために特別に作られた建物。高速回線のほか機器を冷やすための冷却システムが備えられている。膨大な個人情報だけでなく、中央省庁や企業などの機密情報も扱うためセキュリティーは厳しく、免震性や耐震性も強化されている。電源が止まって冷却も止まれば機器が壊れてしまうため、非常用電源なども完備する。 印西市によると、DCは2019年ごろから市内で建設が相次ぎ、現在は確認できるだけで11事業者・30施設が同市内でDCを運営している。ただ、重要データなど
撮影 中村琢磨 池谷裕二の闘論席 スリーマイル島原子力発電所。この名を耳にすれば、米国で1979年に発生した深刻なメルトダウン事故を想起する人々は少なくないだろう。長らく運転を停止していた同原発だが、このほど1号機の再稼働が決定した。注目すべきは、この再生プロジェクトにマイクロソフトが巨額の資金を投じている点である。 現在の米国では、温室効果ガスを排出しないクリーンエネルギーとして、原発が新たな脚光を浴びている。グーグルやアマゾンをはじめとするIT業界の巨人たちが、こぞって原発事業への投資に乗り出しているのだ。 残り560文字(全文810文字)
『サステナビリティの経済哲学』 著者 松島斉(東京大学大学院教授) 岩波新書 1056円 まつしま・ひとし 1960年生まれ。経済学博士。専門はゲーム理論、情報の経済学、メカニズムデザイン。著書に『ゲーム理論はアート』『金融システムの行動ゲーム理論』など。 「メカニズムデザイン」などの分野で国際的に顕著な業績を上げた著者による初のサステナビリティ(持続可能性)に関する包括的な書物である。宇沢弘文ゼミ出身の著者が、師の社会的共通資本論に真摯(しんし)に向き合ったオマージュの要素もある。 著者はサステナビリティこそ、現代の最重要課題だと訴える。本書の言葉を引けば、「環境、社会、経済の三つの側面を総合的に考慮し、未来世代にも十分な資源や環境条件を提供することを目指さなければいけないという理念」である。現代社会はこの条件を満たしておらず、中でも気候変動はもっとも深刻で、格差・貧困、経済の持続可能性
マツダ3ファストバック「スカイアクティブX」モデル(伊豆スカイラインにて) 筆者は10月2日、エコノミストオンラインに「最新エンジン車に試乗して分かった『EV失速』の本当の原因――優れたデザインで298万円、侮れない国産ガソリン車の競争力」と題する記事を掲載した。足元の世界的な電気自動車(EV)の販売減速を、エンジン車と比較した価格競争力の不足の観点から指摘したものだ。 「Drill, Baby, Drill!」 その約1カ月後の11月5日、米大統領選でトランプ元大統領が劇的な返り咲きを果たした。トランプ氏は、「Drill, Baby, Drill!」((化石燃料を)掘れ、ベイビー、掘れ!)をスローガンに、温室効果ガスの排出量を抑える国際的な枠組みであるパリ協定からの離脱を公約する。同氏の号令で、米国が再びシェールオイルの増産に走れば、原油価格は下がり、インフレに苦しむ米国の一般大衆はEV
帝国データバンクが9月8日に発表したTDB BusinessViewによると、2023年度における出版社の業績は、赤字が36.2%、業績悪化の出版社は6割を超えたという(調査対象652社)。24年1〜8月の倒産・休廃業解散は46件と過去5年で最多ペースだ。 しかし、大手は好調だ。業界専門紙『文化通信』によると、集英社の83期(23年6月1日〜24年5月31日)決算は減収増益。売上高は2044億円で前期比2.5%減だが、前期に続いて2000億円を超えた。興味深いのはその内訳だ。出版売り上げの比率は59.3%で6割を切った。4割は広告と事業収入で、なかでも版権収入が大きい。また、出版売り上げの内訳を見ると59.5%がデジタルで占められる。紙の雑誌・コミックス・書籍はいずれも前期比マイナスで、デジタルのみが4.1%プラスだ。 帝国データバンクのリポートは「出版物の約4割が売れ残りとして返品される
原子力規制委員会が安全規制基準について「不合格」と判断した日本原子力発電の敦賀原発2号機 日本原子力発電の敦賀原発2号機(福井県敦賀市)について、原子力規制委員会は8月28日、原子炉直下に活断層のおそれがある地層が存在し、安全規制基準に適合していないとする審査書案を了承した。2012年に規制委が発足してから、審査「不合格」は初めてである。この審査は、福島第1原発事故前に事業者の言いなりと評された規制行政が事故後にどう変わったかという観点からも関心を集め、表のような経過をたどった。 規制委の有識者会合は13年、2号機下の地層について、活断層と認定した。一方、原電は海外機関に依頼した調査などからそれを否定した。異なる科学評価を規制委がどう判断するのか注目されたが、20年に原電提出の文書に、地質データを80カ所改ざんした跡が発見され、規制委は審査を中断した。その後も同様の問題で審査中断と再開を繰
『財政・金融政策の転換点 日本経済の再生プラン』 著者 飯田泰之(明治大学教授) 中公新書 924円 2000年代に完成した「新・新古典派総合」理論では、経済の安定化は金融政策の役割であり、財政は抑制的に運用されるべきだとされていた。ところが、08年の金融危機後、非伝統的な金融政策が行われたものの経済の回復は思わしくない。それを踏まえて、金融政策の限界と財政政策の重要性が認識されるようになってきたと本書はいう。けれども、「金融政策はインフレには効くが、デフレには効かない」というのが評者の恩師・伊東光晴の持論だった。反対に新・新古典派総合に盲従し、「金融政策でデフレ脱却は必ずできる」と言い続けていたのがリフレ派だったことを本書は書いていない。 インフレ・ターゲットや量的緩和政策などの非伝統的な金融政策は、金融緩和が長期に及ぶという予想を作り出すことによって長期金利を引き下げる政策だという。け
船戸崇史医師 ♢がんが嫌がる生活5カ条 外科手術や緩和医療など、あらゆるがん医療に数十年にわたり携わってきた船戸崇史医師。やがて、自らも腎臓がんを発症。自身の再発防止のために行ったさまざまな補完代替医療や生活習慣の中から、エビデンスとして証明できるものだけを現在も実践、紹介している。がんが嫌がる、そしてがんにならない暮らし方、その決定版! JR名古屋駅から、列車を乗り継いで約1時間。のどかな田園風景と小さな集落を飽きずに眺めながら、岐阜県養老町にある「船戸クリニック」へと辿(たど)り着いた。ここは西洋医学と補完代替医療を合わせた、統合医療のがん治療を受けられる医院として知られる。出迎えてくれたのは、船戸崇史院長である。他人との垣根を取り払う、柔らかい笑顔。しかし、一線で走り続ける人ならではの壮健さも漂う。 「それぞれの医療の良い面は取り入れ、弱点を相互に補う治療を行っています。そのためがん
新型コロナウイルスの5類移行から1年、人の移動は回復してきている JR旅客会社6社、大手私鉄14グループによる経営状況を占う2023年度(24年3月期)の決算が出そろった。昨年5月の新型コロナウイルス感染症の5類移行で行動制限が撤廃され、人々が市中に戻ってきた結果が反映されている。 >>特集「鉄道新時代」はこちら 各社の連結営業収益を22年度と比較すると、国際物流事業の低迷で減収となった西日本鉄道を除いて各社大幅な増収を達成した(上表参照。拡大はこちら)。連結営業損益も改善され、2329億円もの増益を記録したJR東海をはじめ、2045億円増益のJR東日本、957億円増益のJR西日本、163億円増益の阪急阪神ホールディングス(HD)と好決算が続く。JR北海道、JR四国は鉄道事業で設備の安全対策に投資した結果、営業損失が続いている。 各社の決算をコロナ禍直前の19年度と比べた場合、連結営業収益
北陸新幹線が3月に金沢ー敦賀間で延伸開業した 北陸新幹線が3月に敦賀駅まで延伸したが、その効果は軽微にとどまっている。新幹線網がさらに広がることが期待されるが、その見通しは不透明だ。 2024年3月16日北陸新幹線は敦賀まで開業した。 15年3月の金沢開業では、それまでの上越新幹線越後湯沢駅での乗り換えがなくなったことによる効果が大きく、首都圏の人たちにとって北陸地方が気楽に行ける地域となり、北陸に大きな経済効果をもたらした。しかし今回の延伸では、関西圏からは敦賀駅での乗り換えが増え、東海道地区からは米原駅と敦賀駅の2度の乗り換えが必要となった。 開業初日は、金沢─福井間の利用者はコロナ前の19年(同日)に比べて41%増加した。しかし開業ブームはほぼ1日で終わり、4月15日までの1カ月間では同12%増。首都圏から福井への利用が東海道新幹線経由に比べて北陸ルートの方が早くなったことによる効果
紙の雑誌の市場縮小が止まらない。出版科学研究所の発表によると2024年上半期、紙の雑誌の推定販売額は2025億円で前年同期と比べて7.8%のマイナスだ。雑誌の休刊も続いている。アイドル雑誌の『ポポロ』(麻布台出版社)、『声優アニメディア』(イード)、女性ファッション誌の『ジェリー』(文友舎)、『ステディ』(宝島社)など。なかでも『ポポロ』や『声優アニメディア』は、根強いファンに支えられて底堅いといわれていた。 紙の雑誌をめぐる環境は悪化の一途をたどっている。取次大手の日本出版販売がコンビニへの雑誌卸から撤退し、同業のトーハンが引き継ぐものの、雑誌を扱わないコンビニも多数出てくるもようだ。トーハンのキャパシティーの問題もあるが、コンビニ経営者にとって雑誌はもはや魅力的な商品ではない。 大都市の駅売店ではコンビニとの協業やコンビニへのリニューアルが進むが、こちらでも雑誌の扱いを縮小したりやめて
2大取次の日販(日本出版販売)とトーハンの2023年度決算が発表された。日販は減収減益の赤字決算、トーハンは減収増益の黒字決算ではあるが、両社ともに本業である取次事業は赤字だ。 日販は「課題とその背景」として、①書店売り上げの減少、②コスト効率の悪化、③運賃の上昇を挙げている。なかでも書店売り上げの減少の背景には、店頭売り上げの減少や書店閉店の加速だけでなく、客数の減少がある。同社のPOSシステム導入店舗約300店の実績で見ると、新型コロナウイルス流行前の2019年を100とした場合、23年は75.6%と大きく減少している。客単価は107.7%に上昇しているものの、到底客数減をカバーできるものではない。消費者の書店離れが急速に進んでいる。 日本の近代出版流通は取次を中心に動いてきた。毎日発行される雑誌も書籍もコミックも、そのほとんどは出版社から取次を経由して書店に運ばれ、売れ残ったものも取
海外の金融政策に起因する円安に対して日銀が柔軟に利上げを模索できないのかは一つの論点となる 輸入価格主導のインフレで「物価高不況」に陥っている日本に求められる処方箋とは。 >>特集「物価・金利・円安」はこちら 2022年以降の物価上昇は、海外発のインフレから始まった。エネルギーや食料などの国際価格が大幅に上昇し、円安がそれに拍車をかけた。その円安も米欧の利上げが主因なので、海外インフレが日本に波及する経路のひとつと見ることもできる。 物価高がコロナ貯蓄食い潰す 輸入価格主導のインフレは、国内の購買力を低下させるという意味で、いわゆる「悪い物価上昇」である。家計所得の代表的指標である雇用者報酬は、名目ベースではコロナ禍前(19年)よりも6%増加しているが、実質ベースでは4%以上も減少している(図1)。賃金を上回る物価の上昇により、この5年間で日本の家計はかなり貧しくなった。 しかも、家計が保
「書店・図書館等関係者における対話の場」は、出版文化産業振興財団(JPIC)、日本図書館協会、文部科学省総合教育政策局の連携の事業。書店や出版社、公共図書館、学識経験者らで構成され、2023年10月から24年3月まで4回にわたって開催された。4月1日に発表された「まとめ」では、これまでの議論で得られた現状や課題に関する共通認識や書店と図書館の連携方策が提示されている。 興味深いのは「複本問題」について。公共図書館がベストセラーを大量に所蔵して貸し出し、書店の経営や作家の生活を圧迫しているという批判は、20年以上前から続く。一部の書店や出版社からは、複本制限や貸し出し猶予期間の設置などを求める声もあった。しかし「まとめ」ではベストセラー本の複本は平均1.46冊で、約6割の図書館の複本は「2冊未満」で過度とはいえない状況にあるとした上で、実証研究に基づいて「全体として図書館による新刊書籍市場の
経済産業省は3月5日、省内横断の組織として街の書店を振興するプロジェクトチーム(PT)を設置した。ただし、具体的に何をやるのか詳細はまだ不明。業界内には、ネット書店の無料配送を禁止してほしい、キャッシュレス決済に対応するための設備投資を支援してほしいといった声があるようだが、一方、SNS等ではなぜ書店だけが振興対象なのかという疑問の声もある。激減しているのは書店だけではない。また、「文化」と結びつけて考えるというなら、なぜ経産省なのか。 筆者としては経産省PTよりも、高井昌史紀伊國屋書店会長の発言に注目したい。高井会長は専門紙『文化通信』(3月12日号)のインタビューで業界改革の実現を訴えた。具体的には返品率を下げて書店の粗利を増やす、そのために買い切り取引を導入していくというのである。 日本の出版流通は返品可の委託仕入れが主流だ。返品率は書籍で約30%、雑誌で約40%と高止まりしたまま。
11宮家の皇籍離脱が決まる1946年秋ごろの昭和天皇と家族。一家で笑顔を見せたが、他の皇族との間では緊迫した関係もあった=当時の宮内省提供 これでいいのか「旧宮家養子案」―第8弾― 昭和天皇は11宮家の臣籍降下に抵抗した―。そう主張するのは、前回、本連載が批判した国士舘大学客員教授百地章(ももちあきら)である。ところが、この説はほとんど根拠を持たない。逆に、多くの史料から昭和天皇と皇族は何かと対立し、ときに火花を散らしていたことが分かっている。(一部敬称略) 百地は2021年5月10日、皇位継承を検討する有識者会議で、昭和天皇は旧皇族の皇籍離脱に最後まで反対したという趣旨を述べた。根拠としたのは、昭和天皇の「諸般の情勢により、秩父、高松、三笠の三宮を除き、他の皇族は全員臣籍に降下することが妥当であるような事情に立ち至った。誠に遺憾であるが、了承してもらいたい」と述べた一言である。出典は、高
ウクライナ戦争は、ロシアの歴史認識や価値観を軽んじた西側諸国に責任がある。「ディール」を優先するトランプ氏なら終結させることができるかもしれない。 >>特集「トランプ再び」はこちら 今年11月に行われる予定の米国大統領選挙は、前回2020年と同様、バイデン大統領とトランプ前大統領の対決になることが濃厚である。世界の安全保障にもっとも重要な米露関係においてどちらの候補が望ましいかという問いに答えるのは難しい。 だが、ウクライナ戦争についてはトランプ氏に期待する。彼が在任期間中に繰り出した政策は、「ディール」の発想に基づくものである。「取るものもあれば失うものもある」という妥協がディールの本質だ。トランプ氏なら、ウクライナを抑え、ロシアにある程度の恩恵を与えるという政策志向によって、ウクライナ戦争終結の道筋を見いだすかもしれない。 NATOが踏み越えた一線 ウクライナ戦争を考える時に、欧州諸国
「書楽」の「八重洲ブックセンター」への営業譲渡を通告した2023年12月27日の張り紙 東京・杉並区のJR阿佐ヶ谷駅前にあり、今月で閉店を予告していた書店が一転、営業を継続することになり、地元住民の間で安堵の声が広がっている。閉店を免れたのは、駅南口の商業ビルの一階にある「書楽(しょがく)」。昨年11月15日に、今年1月8日での閉店を予告していたが、昨年12月27日に大手書店の八重洲ブックセンターがその店舗を引き継ぐことが、急遽決まった。 阿佐ヶ谷は、戦前、井伏鱒二や太宰治はじめ界隈に住む作家が「阿佐ヶ谷会」を結成するなど「文士の街」としても知られ、住民も読書好きが多い。かつては、地下鉄丸ノ内線南阿佐ヶ谷駅の真上にあった大型店「書原」をはじめ書店は6店舗ほどあったが、近年は経営者の高齢化やアマゾンなどのネット通販の流れに押され、次々に閉店。阿佐ヶ谷で新刊本を扱う書店は書楽のみとなっていた。
韓国大統領府が関係各所に送った年賀状。尹錫悦大統領(左)と妻の金建希氏子犬を抱えている=ソウルで2024年1月9日、日下部元美撮影 韓国国会で、犬の食用飼育や食肉処理などを禁じる法案が可決された。韓国の犬食は主として欧米の動物愛護団体や活動家から非難されてきたが、近年は国内でもペットを飼う人が増えてきたことから敬遠されるようになっていた。ほぼ半世紀にわたって繰り広げられてきた犬食の是非を巡る攻防を振り返ってみたい。 古代からある犬を食べる文化 韓国KBSテレビによると、始まりは1975年の畜産物加工処理法改正だった。犬の食肉処理に関する衛生基準などを定めたことで、犬食が法律で公認された形となった。ただ、欧米からの強い批判を受け、3年後には犬肉を「畜産物」から外す再改正に追い込まれた。ただ食用犬を育てる農場の根拠となる法律などは残されたため、犬食は合法とも、違法とも言えないグレーな存在となっ
出版取次最大手の日販(日本出版販売)が発行した『出版物販売額の実態2023』によると、22年度の出版物のインターネット経由での販売額は書店経由での販売額を超えた。紙の書籍・雑誌に限ると、書店ルートの推定販売金額は8157億円だったのに対しネット経由は2872億円と依然として書店経由が圧倒的に多いが、電子出版物が6670億円と推定される。購入ルート別ではネット経由(紙の本+電子出版物)がリアル書店を超えたことになる。書店ルートは縮小し、ネットルートが伸びる傾向は今後も変わらないだろう。 リアル書店からネット書店や電子出版物へと消費者が流れる原因のひとつに、リアル書店における在庫情報の不備が挙げられる。ネットで在庫情報を公開している書店も一部にはあるが、まだまだ少数で、各店を横断的に検索するのも難しい。1冊の本を探して何軒もの書店をハシゴした経験のある人は多いだろう。だからつい「急ぎの本はネッ
新NISAを使った投資をどう考えるべきか。経済アナリストの森永卓郎氏に聞いた。(聞き手=安藤大介・編集部) >>特集「とことん得する新NISA」はこちら ── 少額投資非課税制度「新NISA」が2024年にスタートする。 ■少なくとも今、新NISAは絶対にやってはいけない。現在の株価はとてつもないバブルの状態だ。ギャンブルとしてやるなら別だが、老後資金や生活費に回すお金でやってはいけない。 ── その根拠は? ■現状は1920年代の米国に似ている。当時、米国は家電と自動車のバブルに沸き、圧倒的な競争力を持っていた。繁栄は永遠に続くといわれていたが、29年10月24日の「暗黒の木曜日」に市場開始早々、ゼネラル・モーターズ株に大量の売りが入り、暴落が始まった。アップダウンを繰り返し、底値に達した32年7月にはニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は10分の1になった。 「技術が発達していな
倉重篤郎のニュース最前線 渾身特集 腐敗極まれり 岸田政権ズタボロ パーティー裏金問題 不記載理由と使途を徹底追及すべき 国民生活、ガザ、オスプレイ墜落…真の政治課題を浮上させよ 岸田政権そして自民党に致命傷を負わせた裏金問題の本質とは何か? それは独裁政権下の腐敗であり、記載できないカネの使途ではないか。共産党のホープ・山添拓氏が政権断末魔を斬り、混迷のいまの真の問題を明らかにする。 派閥のパーティー券収支を巡る裏金事件、その政局的破壊力が日々永田町で猛威を振るう。岸田文雄首相は、その中心にいる安倍派の閣僚4人の更迭を含む内閣大改造人事を断行した。安倍派パージにより混乱の収拾を図ろうとしている。 ただ、事が首相の思惑通りにいくかどうかは不透明だ。岸田派もまたパー券収支での不記載が指摘された。安倍派以外の政権内要職者に少額でも同様の裏金が出てこないとも限らない。交代すべき役職者のなり手がい
話題作となった映画「福田村事件」に出演。©「福田村事件」プロジェクト2023 水道橋博士が本誌だけに告白 水道橋博士が議員辞職するまでの経緯を明かして大反響の入魂エッセー、後篇。当選した博士を待っていたのは、全体像をつかめぬ激務、コロナ罹患、虐殺者役の映画出演だった。さらに、博士が掲げる反スラップ訴訟法制定は暗礁に乗り上げる。政治のデーモンに翻弄された、1人の藝人の赤裸々な軌跡。 先週号から引き続き、自分の懺悔(ざんげ)の値打ちもない「議員失格」の話を書き綴(つづ)っています。 コロナ罹患、分刻みのスケジュール、国民の負託の重圧… 現実はリベラル、映画では極右の虐殺者に引き裂かれた 2023年7月10日の投開票を経て晴れて参議院議員に就任したボクは議員会館の714号室をあてがわれました。12年に建て替えられた議員会館の高層階は国会を見渡す眺望、内装も広々と新しく、大きな窓からは新天地への希
マイナス金利政策、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)──。日銀は2%の物価目標に向けて異例の金融緩和を続けてきた。インフレが顕在化する今、日銀はどう動くのか。日本を代表するエコノミストの河野龍太郎・BNPパリバ証券経済調査本部長 チーフエコノミストと門間一夫・みずほリサーチ&テクノロジーズ エグゼクティブエコノミストの2人に対談してもらった。(司会=桐山友一/浜條元保・編集部、構成=村田晋一郎・編集部) >>特集「日本経済総予測2024」はこちら ── 4月に植田和男氏が日銀総裁に就任して半年以上がたった。ここまでの評価は? 門間 経済に不確実性が大きい中で、金融政策も市場などとのコミュニケーションもうまくやっていると思う。特に7月のイールドカーブ・コントロール(YCC、長短金利操作)の修正はうまくやったと思う。長期金利の変動幅の上限をそれまでの「0.5%程度」から「1%」とした
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『週刊エコノミスト Online』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く