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猛暑に注意を
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火事と聞くと「炎に巻き込まれて亡くなる」というイメージを持つ人が多いかもしれません。 しかし実際には、火災による死亡の大半は炎そのものではなく、一酸化炭素(carbon monoxide, CO)による中毒が原因です。 一酸化炭素は物が不完全燃焼したときに生じる無色・無臭のガスで、吸い込むと気づかないうちに血液の酸素運搬を妨げ酸欠によって命を奪ってしまうのです。 総務省消防庁の調査でも、火災で亡くなる人の6〜7割は一酸化炭素中毒が主因だと報告されています。 ところが、この一酸化炭素中毒には有効な解毒剤がこれまで存在せず、高圧酸素療法などの酸素を大量に送り込むことで一酸化炭素を体から追い出す方法が取られていますが、これは時間がかかり、脳や心臓に深刻な後遺症を残すことが少なくありませんでした。 そうした中、アメリカのメリーランド大学医学部(University of Maryland Scho
眠りを邪魔する“静かな病気”と、その意外な改善法イビキがうるさい、日中に眠気が強い、そんな人は「睡眠時無呼吸症候群」という病気の可能性があります。 この病気は、眠っている間にのどの奥がふさがってしまい、呼吸が何度も止まってしまいます。息が止まると血液の酸素が減り、脳が何度も目を覚ますため、熟睡できません。その結果、日中に強い眠気が出たり、集中力が落ちたり、さらには高血圧や心臓病の危険も高まります。 治療としては、就寝中にマスクをつけて空気を送り込み、気道を開いたまま保つ「CPAP療法」がよく使われます。ただこれは効果は高いのですが、気軽に利用できるものではなく、マスクのつけ心地や機械の音が気になって、続けられない人も多いのです。 機材の貸出が必要なため、そもそも軽症や中等度の場合はCPAPが処方されないこともあります。 こうした事情から、もっと手軽で続けやすい方法が求められてきました。 近
毎日の健康習慣としてウォーキングを続けている人は少なくありません。 特別な道具もいらず、年齢や体力に合わせて始められるため、多くの人が取り入れやすい運動です。 しかし、自分がどのくらいの速さで歩いているかを意識している人は、あまり多くないのではないでしょうか。最新の研究では、その歩くスピードによって健康効果が大きく変わる可能性が示されました。 この研究を行ったのは、アメリカのバンダービルト大学(Vanderbilt University)の研究チームです。 研究では、約8万人を最大20年間追跡し、「ゆっくり歩く」習慣と「速く歩く」習慣の違いを比較しました。結果、ゆっくり歩きではほとんど効果が見られなかった一方、速歩きでは死亡リスクの低下が確認されました。 この研究の詳細は、2025年10月に科学雑誌『American Journal of Preventive Medicine』(アメリカ
「塩をやめたいので、何か代わりになる食事メニューを教えて」 そんな思いつきから始めた“自己流の実験”が、思わぬ精神症状を招きました。 米ワシントン大学(UW)はこのほど、ChatGPTの助言を鵜呑みにして塩化物の代わりに臭化物を摂り続けたアメリカ在住の60歳男性が、被害妄想や幻覚で救急搬送されたと報じました。 診断は20世紀初頭には珍しくなかった「臭素中毒(ブロミズム)」だったとのこと。 研究の詳細は2025年8月5日付で科学雑誌『journal Annals of Internal Medicine: Clinical Cases』に掲載されています。 Man Hospitalized With Psychiatric Symptoms Following AI Advice https://www.sciencealert.com/man-hospitalized-with-psych
東南アジアの古代社会は、想像以上に広く結びついていたようです。 シンガポール国立大学(NUS)の最新研究で、西暦1千年紀初頭(およそ紀元1年から1000年頃)に作られた銀貨が、バングラデシュからベトナムまでの広い範囲で出土しており、当時の交易圏が驚くほど遠くまで広がっていたことが明らかになったのです。 特に注目すべきは、直線距離で3000キロ以上離れたバングラデシュとベトナムで発見された2枚の硬貨が、同じ「鋳型(ダイ)」で作られていたという発見です。 これは古代の通貨が国境を越えて流通し、政治や経済をつなぐ重要な役割を果たしていたことを直接示す証拠となります。 研究の詳細は「Currents of currency: utilising die studies to trace Rising Sun/Srivatsa coin distribution in first-millenniu
AIモデルの一種である大規模言語モデル(LLM)は進化を遂げ、複雑な文章問題や数学の難問ですら解けるようになってきました。 しかし、そんな賢いAIでも「猫は一生のほとんどを寝て過ごします」といった関係のない豆知識を問題文に付け加えるだけで、解答精度が大きく低下することがあるのです。 米カリフォルニア州のソフトウェア企業「Collinear AI」の研究チームは、この現象を体系的に調査し、推論型モデルの脆弱性を明らかにしました。 この攻撃手法は「CatAttack」と名付けられています。 本研究は2025年7月21日付でプレプリントサーバ『arXiv』にて発表されています。
米シカゴ大学(University of Chicago)の最新研究で、孤独を感じやすい人ほど、家族や友人との関係において「自分はあまり支援できていない」「むしろ負担をかけている」という否定的な自己評価を持ちやすいことが分かりました。 さらに、この心理傾向は身体の生理的な状態――特に心臓の拍動リズムの変動(高周波心拍変動)とも関係していたというのです。 研究の詳細は2025年7月10日付で学術誌『Psychophysiology』に掲載されています。
人間は体内でビタミンCを作れない――この「弱点」はこれまで進化の謎とされてきました。 実際、ビタミンC不足は壊血病という致命的な病気を引き起こし、歴史的にも多くの命を奪ってきました。 しかし、中国の復旦大学(Fudan University)およびアメリカのテキサス大学サウスウェスタン・メディカルセンター(UTSW)で行われた研究により、この一見不利なビタミンC合成能力の喪失が寄生虫から身を守る可能性がマウス実験で示されました。 研究ではビタミンCが欠乏したマウスでは寄生虫の卵がほとんど作られず、病気の重症化や周囲への感染拡大も大きく抑えられたことが示されています。 一見“弱点”とされてきたビタミンC合成不能は、本当に進化上の偶然なのでしょうか? それとも、感染症の脅威に対抗するための「巧妙な生き残り戦略」だったのでしょうか? 研究内容の詳細は2025年7月26日に『bioRxiv』にて発
「池に石を投げてできる波は、本当に“好きな形”に集められるのか?」 40年以上「絶対にこうなる」と信じられてきた波の法則――溝畑・竹内予想――が、わずか17歳の数学者によって覆されました。 この予想は、曲がった面の上で波(関数)がどのようにエネルギーを集められるか、という現代数学の根幹に関わる難問であり、もし正しければフーリエ解析や波動方程式の数々の難問の解決にもつながると期待されてきました。 しかし、カリフォルニア大学バークレー校のハンナ・カイロさんは、“ある特別な配置”を用意することで、波が「細い線状の領域に沿った重みの合計で全体の強さをコントロールできる」という従来の常識を破る反例を構築し、40年越しの「溝畑・竹内予想」が偽であることを突き止めたのです。 (※溝畑・竹内予想についてやや突っ込んだ解説を読みたい人は最終ページに飛んでください) 研究内容の詳細は『arXiv』にて発表され
カナダのウェスタン大学(Western University)で行われた研究によって、映像として映し出された自然の中をぼんやりと「たった10分」歩くだけの時間が、脳の集中力を劇的に回復させることが示されました。 ポイントは、余計な作業やタスクを行わず、「自然に身をまかせてぼーっと過ごす」ことにあります。 なぜ“何もしない”時間が、私たちの脳にこれほど大きな効果をもたらすのでしょうか? 研究内容の詳細は『Environment and Behavior』にて発表されました。 A Simulated Walk in Nature: Testing Predictions From the Attention Restoration Theory https://doi.org/10.1177/0013916519882775
月や火星を目指すのではなく、さらに遠い星へ。 地球から最も近い恒星系アルファ・ケンタウリに、最大2400人を乗せて片道約400年の旅に出る。 そんな壮大な夢を叶える宇宙船が「クリサリス(Chrysalis)」です。 全長約58キロメートルを想定しているクリサリスは人工重力を生み、内部に学校や病院、工場、森林までも備えます。 最終目的は、地球に似た系外惑星「プロキシマ・ケンタウリb」への移住です。 設計は国際コンペで最優秀賞を受賞し、「世代を超えて命をつなぐ居住系」として高く評価されました。 Proposed spacecraft could carry up to 2,400 people on a one-way trip to the nearest star system, Alpha Centauri https://www.livescience.com/space/space-
1960年代に開発された新しいアルファベット「ITA」とは?英語は、世界で広く使われる一方で、学習者泣かせの言語でもあります。 その理由のひとつが綴りと発音の不一致です。 例えば、同じ「i(アイ)」という音が “eye” など20種類以上の綴り方で表されます。 また、”through”、”though”、”thought” のように文字の並びが似ていても発音が全く異なる単語も少なくありません。 この複雑さを最大の学習障害と考えたのが、保守党議員のジェームズ・ピットマン氏でした。 速記法の発明者アイザック・ピットマンの孫である彼は、1953年の議会で「英語の不合理な綴りこそが子供の読みの習得を妨げている」と指摘。 その解決策として提案したのが、英語の発音を1音素に1文字で対応させた新しいアルファベットでした。 こうして誕生したのがITA(Initial Teaching Alphabet)で
毎年発表される「世界幸福度ランキング」。その常連であり、8年連続で1位の座を守り続けている国、それが北欧のフィンランドです。福祉は充実し、教育もすべての子どもに無償で提供され、豊かな自然と治安の良さ。誰もが「理想の暮らし」と思い浮かべる環境がそこにはあります。 しかしそんな国に、少し意外な統計があります。実はフィンランドは、ヨーロッパの中でも比較的高い自殺率を持つ国の一つなのです。特に男性や高齢者の自殺は深刻で、一時期は「自殺大国」とも呼ばれていました。 「『幸福な国=自殺が少ない』は成り立たないのか?」 この矛盾するような現象は、単なる統計の偶然ではありません。実際、フィンランドでは1980年代から自殺対策に力を入れ、自殺率は半分以下にまで下がっています。それでもなお、「幸福な国」にもかかわらず、一定数の人々が自ら命を絶ってしまう現実は続いているのです。 この問題は、突き詰めていくと、日
「まだ本気出してないだけで、ほんとはやればできる」そんなセリフは、あなた自身が言ったことがあるかもしれませんし、身近な誰かから聞いたことがあるかもしれません。 人生がうまくいかないとき、自分の可能性を信じ続けるために、ついこうした言い訳を口にしたくなるのは自然なことです。本気を出せば、自分は成功できるはず。そんな“保険”を残しておけば、自己否定せずに済むからです。 でも、それは本当に「自分を守る」ための前向きな戦略なのでしょうか? 実はこの「まだ本気を出していないだけ」と言い訳してしまう心理は、心理学においてセルフ・ハンディキャッピングという名前がついています。 そして心理研究では、これが問題の先延ばし傾向を持つ人に多く、またこの傾向が下がると成績が向上することが報告されているのです。 つまりセルフ・ハンディキャッピングは無意識に自分で自分の足を引っ張ってしまう、心のブレーキなのです。 今
圧倒的な証拠があるにもかかわらず、それを認めない頑固者があなたの近くにいるかもしれません。 地球温暖化はでっち上げだと信じている友人、明らかに非効率なやり方に固執する上司、健康に悪いと何度も伝えているのに生活習慣を変えようとしない家族がいるかもしれません。 では、そんな頑固な人たちをどうやって変えることができるのでしょうか。 この疑問に答えるのが、アメリカ・セントラルフロリダ大学(University of Central Florida)のボビー・ホフマン博士です。 博士は、私たちが一般的に使っている説得法が、脳の働きに反しているため、逆効果になることすらあると警告しています。 本記事では、「なぜ人は変わらないのか」「どうすれば変わるのか」という科学的なメカニズムを紹介していきます。
重金属の水銀を「金」に変える──古代からの夢物語だった錬金術が、現代の核融合技術でついに経済性を備えた状態で現実のものになろうとしています。 アメリカのスタートアップ企業、マラソン・フュージョン(Marathon Fusion)が行った研究によって、核融合炉の運転で生じる高エネルギーの中性子を水銀に照射し、年間数千kg規模の純金を効率的に生み出す方法が発表されました。 シミュレーションによると、1 GW(熱出力)級の核融合炉で年間約2000 kg(電力出力1 GW相当では最大約5000 kg)の金が生成可能で、その市場価値は年間数百億円にのぼります。 論文では、この方法で得られる電力と金を売却すれば燃料費用もろもろを差し引いても大幅な黒字になると計算しています。 しかしなぜ核融合炉に水銀を入れると金になるのでしょうか? 研究内容の詳細は2025年7月22日に『arXiv』にて発表されました
シンガポール経営大学(SMU)などで行われた研究により、「社会階層が低い人」ほど、初めて会った人の生理的な変化に同調しやすいことが明らかになりました。 研究では他者との交流中に心臓の収縮が始まってから血液が送り出されるまでの時間(PEP)という生理的な指標が調べられており、社会階層の低い人ほど、相手の感情に合わせて自分の身体も自然に反応していることが確認されました。 この結果からは、社会階層の違いが初対面のコミュニケーションにおいて、目に見えない生理的なギャップを生んでいる可能性が浮かび上がっています。 この無意識の「身体の共感」は、実際に相手との関係性を深めることにつながっているのでしょうか? 研究内容の詳細は2025年7月14日に『Psychological Science』にて発表されました。 Socioeconomic Status Shapes Dyadic Interactio
ADHDの脳と刺激ADHDの脳と刺激 / Credit:CanvaADHD(注意欠如・多動症)は、集中が続かない、落ち着いていられない、思いつきで行動してしまうなどの特徴がある発達の障害です。 子どもだけでなく、大人になってからも日常生活や仕事、勉強で困ることが少なくありません。 ADHDの人の脳では、やる気や注意に関わる「ドーパミン」という物質をコントロールする機能がうまく働かないことが知られています。 ドーパミンの量が少なすぎると、ぼんやりして集中できません。逆に刺激が強すぎると、気が散ってしまいます。 ADHDの人はそのバランスがとくに難しいのです。 退屈なときにイライラしやすいのも、そのせいかもしれません。 そのため、ADHDの治療では、ドーパミンを増やして脳の覚醒レベルをちょうどよく保つために「メチルフェニデート」という薬(リタリンなど)がよく使われます。 メチルフェニデートはド
日本の東京大学で行われた研究によって、女性が排卵期に発する体臭の中に、男性の心理や生理にポジティブな影響を与える特別な3つの成分が含まれていることが明らかになりました。 研究では、女性の体から自然に放たれるこの“香り”が、男性のストレスを和らげるだけでなく、女性への印象までも良くすることが証明されています。 この成分を上手く化粧品や香水に組み込み目当ての男性に届けることができれば、人間関係にプラスの影響を与えることができるでしょう。 この“見えないメッセージ”ともいえる香りは、どのようにして私たちの心と体に影響を与えているのでしょうか? 研究内容の詳細は2025年7月28日に『iScience』にて発表されました。
明日も朝早いのに、気がつけば布団の中でスマホをいじり続けている。 動画もSNSも見尽くしたはずなのに、なぜか寝ようとしない。 そんな経験はありませんか? 実はこの「することがないのに寝ない」行動には、ある心理的特徴が関係していることが、韓国・嶺南(ヨンナム)大学校(YU)の最新研究で明らかになりました。 中国の大学生468人を対象にした調査では、就寝前の無意味な時間浪費、いわゆる「就寝先延ばし行動(Bedtime Procrastination)」と、ある心理的能力との間に密接な関係があることが示されています。 そのカギを握るのは「自己効力感」と呼ばれる、“自分ならできる”という内なる信念でした。 研究の詳細は2025年3月22日付で学術誌『Psychological Reports』に掲載されています。
近年、社会の中で「高齢者のトラブル」が注目される場面が増えています。 消費者センターの相談件数では2022年時点で、65歳以上の高齢者が約30%を占めており、全年齢層で最多となっています。 店頭で直接店員に文句を付けていたり、電車内などで直接相手に注意をしてトラブルになっている高齢者を見かけたという人も多いかもしれません。 もちろんすべての高齢者に当てはまる問題ではありませんが、「高齢になると怒りっぽくなったり、衝動的な言動が増える」という印象は、現代に限らず社会全体で共有されており、その行動の背景には、加齢による脳の萎縮や前頭葉の働きの変化、また世代による価値観の変化などが複雑に絡んでいると考えられています。 しかし、この問題にはこれまで予想されてきた内容とは、まったく異なる“意外な要因”が潜んでいる可能性があるかもしれません。 ドイツのライプツィヒ大学(Leipzig Universi
ジャガイモの起源が明らかになりました。 国際的な研究チームによって行われた研究によって、約800万〜900万年前に南米で野生のトマト属植物とジャガイモに似ていてもイモ(塊茎)を作らない植物(Etuberosum〈エツベロスム〉属)が自然交配し、現在のジャガイモの祖先が生まれたことが示されました。 異なる植物同士の交雑(種間交雑)によって、両親からそれぞれ異なる遺伝子が染色体レベルでモザイク状に混ざり合い、地下に栄養を蓄える塊茎という新たな「倉庫」を備えたジャガイモが誕生したわけです。 研究チームは、今回の解析によってジャガイモ属がトマト属とEtuberosum属の古代交雑から生まれたことが明確になったとまとめています。 研究内容の詳細は2025年7月31日に『Cell』にて発表されました。
大抵の人は失敗から学んで行動を変化させます。 自分に痛みを与えないようにするのです。 しかし一部の人は、どれだけ罰を受けても、失敗を繰り返してしまいます。 まるで「自分を傷つける方法」を選び続けているように見えるのです。 そんな不思議な人間行動の背後にある「学習の個人差」に注目したのが、オーストラリア、ニューサウスウェールズ大学(UNSW)の研究チームです。 彼らは、人間が失敗や罰からどう学ぶのか、あるいは学ばないのかを明らかにしようと試みました。 この研究は2025年7月9日付の科学誌『Communications Psychology』に掲載されました。 Self-sabotage: The science behind knowingly engaging in harmful behavior https://newatlas.com/health-wellbeing/self-s
シンガポールの南洋理工大学(NTU)で行われた研究によって、生きた昆虫に電子デバイスを背負わせ、外部から自由自在にその動きを遠隔操作できる「サイボーグ昆虫」を大量生産する技術が開発されました。 これまでサイボーグ昆虫の製作は、人間の熟練技術者が手作業で慎重に行う必要があり、1体あたり約15分も要していましたが、今回開発された新技術は、AIを搭載したロボットアームと画像認識技術によって、昆虫の体に電極を差し込む最適なポイントを瞬時に特定し、正確に電子機器(バックパック)を装着することを可能にしました。 その結果、1体あたりの作業時間はわずか約1分8秒にまで短縮され、従来に比べて約13倍ものスピードで安定して量産できるようになりました。 まさにSF映画の世界のような「サイボーグ昆虫工場」が現実味を帯び始めたのです。 災害現場での人命捜索や、橋梁・トンネルなど重要な社会インフラの点検にも応用可能
「眠気はどんなメカニズムで引き起こされるのか?」 これは科学における大きな疑問の一つです。 そしてこのほど、英オックスフォード大学(University of Oxford)の最新研究で、その秘密の一端が明らかにされました。 それによると、脳内に存在する微小な「発電所」であるミトコンドリアのエネルギー過剰が、眠気の根本的な原因である可能性が示されたのです。 詳しくみてみましょう。 研究の詳細は2025年7月16日付で科学雑誌『Nature』に掲載されています。 Sleepiness Could Be Triggered by a Power Overload in Our Brain https://www.sciencealert.com/sleepiness-could-be-triggered-by-a-power-overload-in-our-brain Why do we ne
科学者たちがこれまで目にしたことのない超短命の原子核が発見されました。 その名は「アルミニウム20」です。 アルミニウム20は、文字通り生まれた瞬間にまず1個の陽子を放出し、その直後にさらに2個の陽子を同時に放出する連続崩壊を起こし、跡形もなく崩壊してしまうのです。 これほど不安定な原子核は壊れるために生まれてきたかのようで、まるで自爆装置のように自ら崩壊する様子は、核物理学者たちの度肝を抜きました。 しかもこのような「2段階にわたる陽子放出崩壊」他に例がない非常に特殊なものでアルミニウム20が史上初めての観測です。 いったいなぜアルミニウム20では、このような興味深い崩壊パターンや対称性の破れを生じさせてしまうのでしょうか? 研究内容の詳細は2025年7月10日に『Physical Review Letters』にて発表されました。
ウイルスというと多くの人は病気を引き起こす厄介者というイメージでしょう。 ましてや植物に感染するウイルスが人間のがん治療に役立つなんて、にわかには信じがたい話かもしれません。 アメリカのカリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)で行われた最新の研究によって、「モザイクウイルス」という植物由来のウイルスを腫瘍に直接注入することで、人間の免疫システムを強力に目覚めさせ、がん細胞を効果的に攻撃できる可能性が示されました。 このウイルスは人間の細胞には感染しない(つまり人には害を及ぼさない)のに、体内に入ると免疫系の「異物アラーム」を鳴らし、眠っていた免疫細胞を呼び覚ましてがん細胞の攻撃に向かわせます。 簡単に言えばこのウイルスを腫瘍に注入することで免疫細胞の注意を引くアラームを腫瘍に取り付けることが可能になるわけです。 さらにササゲモザイクウイルスは植物で簡単に培養でき、黒目豆の植物を宿主とし
イスラエルのヘブライ大学エルサレム校(HUJI)を中心とする国際研究チームによって行われた研究により、金や銅、アルミニウムなど、一般には「磁石に反応しない」とされてきた金属が実は極めて微弱ながら磁場に反応し、その磁気的性質をレーザー光を使って検出できることが明らかになりました。 研究では可視光範囲の青色レーザーと巧みな磁場変調装置により、これまで観測が不可能だった非磁性金属(金、銅、アルミニウム、タンタル、そして白金)の微弱な磁気信号を初めて捉えたことが示されています。 これまで見過ごされてきた非磁性金属が発する「磁気の囁き」とは、一体どのような現象なのでしょうか? 研究内容の詳細は2025年7月17日に『Nature Communications』にて発表されました。 A sensitive MOKE and optical Hall effect technique at visibl
「一度ブラックホールに飲み込まれたら、もう二度と戻ってはこれない」 そんな宇宙の常識を覆す星が見つかったようです。 2022年、ある恒星がブラックホールに接近し、閃光を放ちながら姿を消しました。 ところが約2年後、その恒星が再びまったく同じ場所で閃光を放ったのです。 天文学者たちは驚きました。「まさか、あの星が生きていたとは⁈」と。 ブラックホールに一度捕まったにもかかわらず、生還し、再びブラックホールに近づいたこの恒星の存在は、宇宙の掟を書き換える可能性があります。 研究の詳細はイスラエル・テルアビブ大学(TAU)により、2025年7月1日付で科学雑誌『The Astrophysical Journal Letters』に掲載されました。
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