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2014年02月02日 「マヌカハニーはハイリスクな蜂蜜!〜その1メチルグリオキサールとは」 蜂蜜を、調味料のひとつ・嗜好品の一種として偶に楽しむぶんには良いのですが、病気の予防や治療に効果を期待して常用するのはリスクの高い食生活と言えます。「食のプロ」の中にも、自然・天然を有難がる迷信に囚われている人がいらっしゃいますが、このブログでも何度も説明してきたように「天然だからこそリスクが高いことが多い」のです。 蜂蜜に関していえば、よく知られている「1歳未満の乳児にボツリヌス菌感染症発症の恐れ」の他に、「アレルゲンとなる花粉や蜂の体内成分を含む」(蜂蜜は花の蜜そのままではなく、蜂が食べた上に加工したものです)、「植物の有毒成分混入による食中毒」(NZのドクウツギのツチン、ツツジのグラヤノトキシン、トリカブトのアコニチン等)があります。 最近は、一見科学的に検討しているように装って(これを似非
2013年02月17日 「食の「欧米化」は悪いことか〜その5『非飽食と多様性』こそ現代日本食の強み」 塩分の摂り過ぎや野菜・果物の不足という問題点はあるものの(注1)、伝統的な日本食ではなく、適度に欧米化いや近代化した現代日本食こそ健康的な食生活であることをご紹介してきました。現代日本食の特徴は、様々な捉え方が可能と思いますが、敢えて一言で表現すれば「非飽食と多様性」ではないかと考えています。 まず「非飽食」についてですが日本の供給エネルギーは世界平均を下回ります(FAO食料需給表2009年で日本2723kcal/日、世界平均2831kcal/日)。これは欧米先進22カ国平均より約2割も少ない値です。お陰で日本の肥満率は約3.5%(BMI30以上、OECDHealthData2012)と、米国の約35%・欧米先進22カ国平均約20%に比べ大きな差があります。 言うまでもなく肥満は健康の大き
2012年12月09日 「食の「欧米化」は悪いことか〜その4まだまだある「欧米食」の誤解」 現代欧米食と現代日本食との違いは、何と言っても総量の差(供給カロリーで約20%も異なる)が大きいこと、約10%の動物性食品割合の差は乳製品と動物脂に由来すること(肉と魚を合計すれば同レベル、植物油も同じ)、野菜や果物は彼らの方が多く食べているなど更なる「欧米化」を進めた方が良い点もあること等をご紹介してきました。 そもそも欧米食といっても、北米先進国と欧州先進国では大分異なります。北米とオセアニアの先進国は比較的似ていますが、欧州先進国はとてもひとくくりにはできません。「健康的な伝統日本食」が妄想に過ぎないのと同様、「健康に悪い欧米食」もまた不健康な要素を拾い集め、強調して形作られていったものだと思います。 「敗戦」を「終戦」と言い換えたのと同様の心理を感じます。戦中戦後の悲惨な日本食の現状を目の当
2011年08月07日 「腸管出血性大腸菌〜すこぶる危険な新参者」 2011年は「焼肉酒家ゑびす」のユッケ(死者4名)、「佐藤だんご屋」の団子等(死者1名)、三重県の寿司?(死者1名)、と腸管出血性大腸菌を原因とする食中毒事件が相次いでいます。欧州でもドイツを震源とする大流行をはじめとしてフランスやスウェーデンでも独立してアウトブレイクが発生しています(死者50名!)。 21世紀の先進国においても、「生食」は大きな感染リスクがある食習慣だということが改めて周知された形です。生肉だけでなく、団子のような加工食品や、有機栽培のスプラウト(豆や野菜を発芽させたもの)など一見食中毒を起こしにくいと思われているような食品にもリスクがあるということは初めて知った方も多いのではないでしょうか。 「有機栽培」を謳うような生産者は衛生観念に乏しいところが多いでしょうし、「有機」を好む消費者も「消毒」を嫌う困
2011年04月30日 「放射性物質は食のリスクをどれだけ増やすのか」(3ヨウ素編) ・ヨウ素131の特徴 原発事故ではもっとも多く放出されています。物理的半減期8日・生物的半減期120日(甲状腺見かけ上。ヨウ素は甲状腺⇔血中と循環するため)ですので実効半減期は7.5日。すなわち被曝線量が多いか、継続して被曝し続けた場合にリスクがあります。また、未成年者に甲状腺がんを引き起こす可能性があるので甲状腺への被曝が問題になります。 空気中のホコリとともに皮膚に付着して外部被曝する経路と、ホコリごと吸い込み血中に入り内部被曝する経路、飲食物に付着していたものを吸収して内部被曝する経路があります。今回の事故によるヨウ素の大気への放出は大部分3/15〜24でした。3/14〜4/12の30日間にどのくらい被曝したかを計算してみます。 ・都民の被曝量推計 外部被曝は環境放射線の値で分かります。例えば東京都
2011年04月27日 「放射性物質は食のリスクをどれだけ増やすのか」(2食物中の放射線) ・自然放射線の内訳 世界平均では約2.4mSv/年の自然放射線を浴びています。その内訳は、宇宙から0.39・大地から0.48・食物から0.29・空気から1.26mSv/年程度と推定されています。宇宙からの放射線(宇宙線)は標高と緯度が高いほど多くなります。大地からは花崗岩(カリウム)やモナザイト(トリウム)等があると多くなり、関東ローム層などの火山灰地では少なくなります。 空気からは主にラドンです。換気の良い木造家屋では0.4mSv/年程度ですが、コンクリートや石造りに囲まれて長く過ごすと高くなります(北欧は1〜3.7mSv/年)。海辺の木造住宅に住む漁師は被曝が少ない(海水が大地放射線を遮る)一方、都会のオフィスビルで働き、コンクリート造マンションに住む人の被曝は多くなります。 ただし漁師は紫外線
2011年04月25日 「放射性物質は食のリスクをどれだけ増やすのか」(1基礎編) ・化合物等の安全基準は「石橋を何回も叩いた」数字です 農薬や食品添加物などの場合、「一生食べ続けても健康に影響がない値の1/100以下」というのが一般的な規制値です。実際には、例えば野菜には自己防御物質として農薬物質がもともと含まれています。そして僅かに残留するかもしれない農薬と比べると野菜本体の量はずっと多いですから、私たちは全員、規制値より多い農薬物質を摂取しています。 毒性があるために食品添加物として認められない着色料も、食材そのものに含まれていれば堂々と料理に使うことができます。このように安全基準というものは、例え実態とかけ離れようとも、言わば石橋を何回も叩いて設定される余裕のある数字なのです。したがって、基準値を大きく上回る状態が長く続かない限り問題ありません。 では、放射性物質を含む飲食物を摂取
2010年12月12日 「魚食中心の伝統的日本食は健康的?(1)日本人はそもそも魚食民族なのか」 「日本人は古来、魚と野菜と穀物を主に食べてきた。戦後「食の欧米化」により魚離れが進み、肉食の普及で脂肪摂取量が急増したために生活習慣病が増えるなどの様々な問題が起きている。今こそ、健康的な伝統的日本食を見直そう!」…このような「素晴らしい日本の伝統食」なるものを賛美する書籍やサイトをよく見かけます。 優越感をくすぐる耳当たりの良い主張ですね。飲食業や第一次産業の関係者の宣伝文句というならまだ理解できるのですが、恐ろしいことにマスメディアや教育関係者にもこのような与太話が蔓延しています。果たして根拠はあるのかどうか、幸い日本には100年に及ぶ信頼性の高い統計資料が揃っていますので確認してみましょう。 厚労省「国民健康・栄養調査」、農林大臣官房調査課「食糧需給に関する基礎統計」から数字を拾ってみま
2010年05月16日 「菜食は健康的で環境に良い?〜「菜食大国」インドの実際」 先日、有楽町の老舗インド料理店で「ビーフカカレーもポークカレーもないのかよ!」と騒いでいる背広の集団に遭遇しました。ヒンドゥー教徒(インドの人口の80%を占めるとも言われる)は牛も豚も食べず(※1)、イスラム教徒(同約15%)は豚を絶対食べないのは常識に属すると思いますので、社会人ならこのような発言と態度は「恥ずかしい」という範疇に入るかと思います。 逆に正統派のレストランで牛や豚を使ったメニューを用意していることもあります。これに対して食の評論家やグルメブロガーさんが「ビーフカレーがあるなんて!」などと非難しているのを目にすることがありますが、これも恥ずかしいことですね。グルメを気取っているつもりで無知蒙昧さを曝け出しているぶん、余計に情けないことかもしれません。 ヒンドゥー教徒以外のインド人には、菜食主義
2010年03月07日 「パンがカビないのは添加物が入っているから?」 「大手メーカーのパンがカビにくいのは、保存料などの添加物がタップリ入っているから!」…残念なことに、一般の方だけでなく食に関心が高いはずのグルメブロガーさんや評論家の方も大部分はこのような誤解をされているようです。「無添加パン」を売りにするパン店や零細パンメーカーまで同じ主張をしていることも少なくありません。 仮にも食の世界で生きる人間が本気でこう思っているなら、プロとして失格です。また、嘘だと分かっていて無知な消費者を騙そうとして言っているのなら人間性が疑われるでしょう。「消費者のレベルに合わせるのは当然。売れさえすればなんでも構わない」ということでしたら商売としては正しいのかもしれませんが…。 確かに大手メーカーのパンはカビにくいようです(「全くカビない」ということはあり得ません。カビの胞子が付着すれば必ずカビは生
2010年01月28日 「遺伝子組換え作物〜クミカエ島とザイライ島」 遺伝子組換え作物についての例え話です。ある風土病が蔓延しているクミカエ島とザイライ島という二つの島を考えます。両島ともに人口3万人。全員がA国人です。さて、この風土病はB国でも蔓延していました。A国での研究は遅れていますが、B国では治療薬に食事療法や生活指導を組み合わせてこの病気を劇的に減らすことに成功しています。 クミカエ島では、B国の専門家にA国語を勉強してもらってから来てもらうことにしました。「B国人を入れるなんて不安だ!」という声に配慮して素行調査を徹底してします。しかも島にきてからも数年間はごく一部の地区で治療に当たらせ、人間的にも能力的にも問題ないことを確認してから、全島に広げるという慎重策を取りました。 一方ザイライ島では、あくまでA国人にこだわり300名の移住者を募集することにしました。人口はそんなに増や
2009年12月24日 「本当に「食べてはいけない」ものとは?〜発がん物質のもう一つの評価方法」 前回、発がん物質のリスク評価方法として「暴露マージン」(MOE:Margin of Exposure)という考え方についてご紹介しました。動物実験で、自然に発生するがんの確率より10%がんが増える投与量(BMDL10)と、実際に食品から摂取する量との差で判断するというものです。摂取量がBMDL10の1/10000以下(MOEが10000以上)であれば安全とされています。 MOEは2005年にWHOとFAOの合同委員会が採用してから使われていますが、今回ご紹介する「ヒト暴露量/げっ歯類発がん用量比」(HERP:Human Exposure/Rodent Potency)はそれ以前からある指標です。ヒトの摂取量が、ラットやマウスに50%の確率でがんを誘発する投与量(TD50)の何%に当たるかという
2009年03月19日 「遺伝子組換え作物は怪物なのか?」 何か新しいもの・理解できないものに恐怖心を感じて避けようとするのは、多くの生物に備わった本能的なものと言えるでしょう。「遺伝子を組み換える」。得体のしれない技術にみえますね。様々な反対意見が出るのはむしろ当然でしょう。しかし、恐怖心だけでなく同時に好奇心を抱くのもまた確かです。人類は少しばかり好奇心が強い動物だったのだと思っています。 もっとも、表向きの反対理由は「なんかコワイから」「自然のままが一番に決まっているから」というような感情的なものではなく、一見理性的な表現をとっていることが多いですね。曰く、 「野生種や在来種と交雑することにより、遺伝子の汚染が広がる!」 「強靭な遺伝子組換え作物がはびこって、生態多様性が失われる!」 「農家は、毎年大企業から高価な組み換え種子を購入しなければならないので負担が増える!」 「インドでは
2007年05月24日 「肉食は本当に悪いのか(2)〜日本人は腸が長い?」 検索すると、「長年、菜食をしてきた日本人は、肉食中心の西洋人より腸が長い!」という話がたくさんでてきます。少しでも理性があれば、あり得ない話だと分かりそうなものですが(笑)。 まず、前提条件である「菜食中心の日本人」「肉直中心の西欧人」というところから間違っています。FAO (国連食糧農業機関)のデータ(Food Balance Sheets)で見ていきましょう。 2003年 総カロリー うち植物性 うち動物性 植物性割合 アメリカ 3953 2908 1045 73.6% 日本 2767 2199 568 79.5% カロリーはともかく、植物性の割合はさほど変わりませんね(笑)。 最近の日本は欧米化しているから? では、1980年のデータで。 19
「食の安全」 2017年02月26日 「人類「本来」の食性と、糖質制限食で長寿になるかどうかは別問題!」 「人類は本来糖質をほとんど摂取しない食性だから、糖質制限食が良い!」という主張を見掛けます。ホモ・サピエンスの場合の「本来」がいつの時点のどのような食生活なのかがそもそも問題ですが、仮に糖質をあまり摂らない食性だったとしても、それは世代交代可能な寿命を全うするためには合理性があるだろう、というに過ぎません。 ホモ・サピエンスの場合10代半ばから繁殖可能になりますが、40歳まで生きれば十分に世代交代が可能です。極端に言えば60歳くらいで心臓が止まって死ぬような食生活でも、集団の維持に支障ありません。80歳まで健康に生きようとするには不利な食生活でも、淘汰圧が働かないために「残って」しまうのです。 前回触れたように、タンパク質の過剰摂取は心血管疾患・耀尿病・がんの発症リスク(例えば赤肉は1
2017年02月26日 「人類「本来」の食性と、糖質制限食で長寿になるかどうかは別問題!」 「人類は本来糖質をほとんど摂取しない食性だから、糖質制限食が良い!」という主張を見掛けます。ホモ・サピエンスの場合の「本来」がいつの時点のどのような食生活なのかがそもそも問題ですが、仮に糖質をあまり摂らない食性だったとしても、それは世代交代可能な寿命を全うするためには合理性があるだろう、というに過ぎません。 ホモ・サピエンスの場合10代半ばから繁殖可能になりますが、40歳まで生きれば十分に世代交代が可能です。極端に言えば60歳くらいで心臓が止まって死ぬような食生活でも、集団の維持に支障ありません。80歳まで健康に生きようとするには不利な食生活でも、淘汰圧が働かないために「残って」しまうのです。 前回触れたように、タンパク質の過剰摂取は心血管疾患・耀尿病・がんの発症リスク(例えば赤肉は100g/日摂取
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