9月の自民党総裁選で安倍晋三首相(総裁)への有力な対抗馬が立たず、無投票再選の可能性が指摘されている。 総裁選は首相選びに直結する。内政・外交上の諸課題にどのように取り組んでいくか、党内で本格的な論戦を展開する貴重な機会といえる。 だが、党内の有力者が相次いで首相の再選支持を打ち出して無投票の流れを作っている。重層的で実効性のある政策論争を国民の前で行う好機を、みすみす失ってもよいのだろうか。 自民党にもこんなアイデアがあったのかと注目し、意外な論客を見いだす。そんな総裁選になれば政党としての層の厚さを示し、活性化につながる。国民の政治への期待と信頼を維持する上でも、総裁選実施は極めて重要だ。 党内では、有力対抗馬とも目された石破茂地方創生担当相や岸田文雄外相らが不出馬の意向を固めたとみられている。 「いろいろな方が意見を言ういい機会だ」(麻生太郎副総理兼財務相)との声はあるが、何を争点に