震災2年・再建を誓う日 政府主導で復興を加速させよ(3月11日付・読売社説) ◆安心して生活できる地域再生を◆ 東日本大震災から2年を迎えた。 亡くなった人は1万5881人、行方不明は2668人に上る。 避難生活を送る被災者は31万5000人を下らない。うち約16万人が、東京電力福島第一原子力発電所の事故が起きた福島県の避難者である。 国民みんなで改めて犠牲者の冥福を祈りたい。再起に向けた歩みは遅れている。政府が主導し、復興を加速しなければならない。 ◆今も仮設住宅に11万人 市町村の復興計画が進んでいない背景には、住民の合意形成が難しい事情がある。例えば、商工業を営む場所を高台にするか、沿岸部にするかという問題だ。壁のような防潮堤で海と陸を遮断していいのかという問題もある。 津波で市街の一部が壊滅した宮城県名取市の住民たちは、内陸への集団移転ではなく、現地での再建を望んだ。市は防潮堤建設
「鎮魂の日」を迎えた。 2年前の3月11日に発生した巨大地震と大津波は、東北を中心とした太平洋岸に未曽有の災禍をもたらした。死者・行方不明は1万8千人を超える。うち2700人近くが今も不明のままだ。 地震が起きた午後2時46分には、黙祷(もくとう)して亡き人々の冥福を祈りたい。残された者の3年目の歩みは、犠牲者の霊前で心をひとつにすることから始まる。 被災地の復興を成し遂げ、必ず襲来する次の巨大地震の被害を最小に抑える。そんな誓いを、かけがえのない家族や友人知人を亡くした人たちと共有したい。 ≪ようやく原点に立った≫ この2年、復興の歩みはあまりに遅すぎた。 民主党政権のもと、政治家は保身と権力争いに奔走し、官僚組織の硬直化を招いた。それが被災自治体の手足を縛り、初動を遅らせた。発災当時の首相を起点とする「負の連鎖」といえるだろう。 昨年末の政権交代後、安倍晋三首相は、強い権限を持つ「福島
被災地の鉄道 街づくりと一体で復旧したい(3月8日付・読売社説) 生活や観光を支える被災地の鉄道をどう再建するのか。東日本大震災からまもなく2年を迎える今も重い課題だ。 東北沿岸部の鉄道は地震や津波で甚大な被害を受けた。JR東日本と岩手県の第3セクターである三陸鉄道の8路線、約300キロが運休したままだ。 JR石巻線や常磐線の一部がようやく今月中に復旧し、三陸鉄道も来年4月に全線開通する。 だが、その他の多くの路線で完全復旧の見通しが立たない。 最大の問題は、再建費用だ。 国土交通省の試算では、被災区間が長いJR山田線(岩手県)、大船渡線(岩手・宮城県)、気仙沼線(宮城県)は、合わせて1500億円超にのぼる。 土地のかさあげや内陸部へのルート変更など従来の復旧にはない工事が必要だからだ。 JRは暫定措置として、線路跡の専用道にバスを走らせるバス高速輸送システム(BRT)を昨年8月、気仙沼線
復興庁1年 現場主義で地域再生加速せよ(2月10日付・読売社説) 東日本大震災の被災地を再生させる司令塔である復興庁の設置から、10日で1年を迎える。 被災者の集団移転、社会資本の整備、原子力発電所事故対応など、未解決の課題は多い。安倍政権は、復興事業を全力で加速させるべきだ。 復興庁は今月、福島復興再生総局を設置し、事務局長に峰久幸義前次官を起用した。福島復興局、福島環境再生事務所、原子力災害現地対策本部の3組織を統括し、縦割り対応を改める狙いだ。 原発事故の被害を受けた福島県の復興は、宮城、岩手両県と比べて遅れている。峰久前次官を現地に常駐させ、現場の声を聞いて、迅速な政策決定ができる体制を構築したことは評価できる。 復興庁にも、関係省庁の局長級による福島復興再生総括本部を設置し、東京・福島の「2本社体制」で取り組みを強化するという。 昨年9月時点で、復興予算の執行率は51%にとどまり
大震災1年半 復興の遅れ取り戻したい(9月14日付・読売社説) 東日本大震災から1年半が過ぎたが、被災地の復興は思うように進んでいない。 政府と自治体が連携し、被災者の生活再建と産業の再生を急がねばならない。 被災地でいまだに目に付くのが、沿岸部に積み上げられた膨大な量のがれきだ。仮置きされたまま、行き場を失っている。処理率は25%に過ぎず、このままでは「2014年3月までに処理完了」という政府の目標達成は危うい。 被災各地で、仮設焼却炉の整備が急務である。他県に運んで処分する広域処理も加速させたい。 仮設住宅などの避難者を受け入れる災害公営住宅(復興住宅)の建設も遅れが目立つ。約3万戸を計画中だが、公有地などの適地がなかなか見つからず、用地が確保できたのは、わずか1割だ。 今後、高台への集団移転事業も動き出す。岩手、宮城、福島の3県を中心に、200地区以上が移転対象になるとみられる。 い
東日本大震災から1年たった今も34万人以上が住み慣れた自宅を離れ、不自由な避難生活を余儀なくされている。 被災地復興の足がかりとなる住宅の高台移転は住民の合意づくりの難しさや専門家の不足などで進んでいない。住まいと町並みの再建には国を挙げた協力体制が必要だ。そのためには政府の強力な支援と自治体との連携が欠かせない。 津波被害が大きかった東北3県沿岸部では、約30の市町村で高台移転計画が動き出している。 仙台市は浸水した土地を災害危険区域に指定し、一気に集団移転を目指す。政府も浸水地の買い取り費用と宅地造成費を負担、全面支援する。岩手県山田町は都市再生機構(UR)との協力協定を結び、地質調査に着手した。 しかし、事業が動き始めたのは全体で4万戸規模とされる移転対象の一部にすぎない。海辺に住む漁業従事者など「元の場所に住みたい」と願う人も多く、住民の合意形成に時間がかかっている。 自治体の土地
福島県は、今年作付けしたすべての市町村で国の暫定基準値、1キロ当たり500ベクレルを下回ったとして、「安全宣言」を出した。それでもなお、農家の人々は「食べてもらえるだろうか」と不安を隠せないでいる。 幼い子供を抱えるなど、放射能に過敏にならざるを得ない人もいるだろう。強制する意図は毛頭ないが、可能な限り、皆で福島県産の米を食べよう。食べて少しでも被災地を支えたい。 被災地を、国民すべてで支えようという、東日本大震災直後の機運を、もう一度、思い返そう。 被災地の人々が不安に思うのも無理もない。彼らはこれまでも、さまざまな「風評被害」にさらされてきた。 京都市の「五山送り火」では、岩手県陸前高田市の国の名勝「高田松原」の松で作ったまきを燃やす計画が中止された。愛知県日進市では、福島県産の花火の打ち上げを中止した。 福岡市では、「不買運動を起こす」などの苦情メールにより、福島県産品の販売所「ふく
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