冷凍食品への農薬混入事件では、おぼろげながら事件の全容が浮かんできた。8年間勤続しても契約社員のままで、待遇に不満を抱いていた「中堅社員」が容疑者とされている。妻子があり、一戸建ての家に住んでいたというから、生活が楽だったわけがない。一方でバイクとか昆虫飼育、コスプレなど、趣味の豊かな人でもあったようだ。それだけに金銭的欲求も強かったかもしれない。 もちろん食品に農薬を混入するのはテロ行為そのもので許されることではないが、攻撃の相手は誰だったのだろう。誰が食べるかわからないものに仕掛けるのだから、特定の個人が標的ではない。職場を大混乱させ、打撃を与えてやろうという、自分の会社への復讐心が抑えられなくなったのではなかろうか。その前段階には、待遇の改善を求めても得られない絶望があったようだ。 会社はおそらく管理体制の不備を批判されて、管理強化の対策を急ぐだろう。製造ラインに立ち入る人間を厳しく