テレビドラマなどで空襲の焼け跡風景が出てくることがあるが、いつも感じる違和感がある。本当はあんなものではなくて、もっと「平ったい」のだ。考えてみてほしい、当時の日本家屋で可燃物がみんな無くなったら、何が残るだろう。「何もなくなる」が正解に近いのだ。 焼けぼっくいがくすぶっているような風景は、現代の火事場から連想するのだろうが、木材が焼け残るのは消防車の放水で鎮火するからで、消し手のいない空襲の焼け跡に角材のままの材木が転がっていたりするわけがない。土の壁だって竹の格子に泥を塗った構造だから、周囲が焼ければ土として崩落している。だから残っているもので目立つのは、散乱した屋根瓦と焼けたトタン板だけということになる。あとは炭と灰になって地面にへばりついており、その間に少しばかりの陶磁器と鉄製品が散らばっているだけなのだ。 妻は小学3年生で静岡市内にあった自分の家の焼け跡を見ているが、もとのままだ