身元不明者として保護され、施設などに入所したままの認知症(記憶力などの低下で生活に支障が出る状態)の人が全国に35人いることが厚生労働省の調査で分かりました。昨年度に徘(はい)徊(かい)などで行方不明になったとして全国の自治体に把握された認知症の人のうち132人がいまも見つかっていないことも判明しました。行方不明中に命を落とした人は383人にのぼります。痛ましいかぎりです。懸命に介護していた肉親が、目を離した隙に突然いなくなり、会えなくなってしまう―。こんな悲劇を生まないため、政治が大きな役割を果たすときです。 家族の力では限界 厚労省の今回の調査は、東京都内で行方不明になった認知症の女性が今年春、群馬県の施設で7年間も「身元不明者」として暮らしていたことが判明するなど、認知症高齢者の行方不明・身元不明が大問題として表面化したことを受けて初めて実施されたものです。 福祉施設や病院などで身元