死刑囚3人の刑が執行された。死刑執行は昨年9月以来で、昨年末に政権交代した安倍晋三内閣では初めてとなる。 谷垣禎一法相は執行後の会見で、判決確定から6カ月以内に死刑を執行するように定めた刑事訴訟法の規定を挙げ、「法の精神を無視することはできない」と語った。 当然の判断である。刑の執行を前提としない判決など、意味をなさない。法相の資質や私見によって執行が滞留するようなことは許されない。今後も粛々と法相の職務を全うし、重大犯罪の抑止に役立ててほしい。 民主党政権では、柳田稔氏から平岡秀夫氏まで4代の法相の下で執行ゼロが続き、平成23年は19年ぶりに1件も執行されなかった。未執行の確定死刑囚が130人を超す異常事態が続いている。 裁判員裁判で国民の代表が苦しみ悩み抜いた末に出した死刑判決もある。法相の職責は、より重くなっていると考えるべきだ。 死刑存続については国連など海外からの批判もある。しか
3人死刑執行 凶悪犯罪の抑止につなげたい(2月22日付・読売社説) 3人の死刑囚に対する刑が21日、執行された。昨年12月に発足した安倍政権の下で、初めての執行である。 就任2か月で執行を命じた谷垣法相は、執行後の記者会見で「法の精神を無視するわけにはいかない」と述べた。死刑確定から6か月以内に刑を執行しなければならないと定めた刑事訴訟法を重視した発言だ。 法相に課せられた重い職責を、粛々と遂行していく姿勢を示したと言える。 民主党政権では、死刑の執行が少なく、約1年8か月にわたり途絶えた時期もあった。死刑制度に批判的な法相の就任が続いたためだ。その結果、確定死刑囚は今回の執行前で、戦後最多の137人に上っていた。 死刑制度については、国際的には維持する国より、廃止か停止した国の方が多い。 一方、日本では、内閣府の世論調査で死刑容認が85%を占めている。谷垣法相が「制度を現時点で見直す必要
大津市の市立中学校の生徒が飛び降り自殺した問題で、市の第三者調査委員会は、同級生によるいじめが自殺の直接的な要因だったとする報告書を市長に提出した。 学校で児童生徒の自殺や犯罪など深刻な事件が起きたとき、どう対処すべきか。多くの教育現場に共通する悩みだ。外部の調査に委ねるという大津市の手法を、今後、そうした場合の処方箋に加えてほしい。 報告書は、いじめと自殺との因果関係を明確に認め、家庭環境を要因の一つとして示唆した市教育委員会の見方を一蹴、「事実を究明する姿勢が甘かった」と学校や市教委に厳しい判定を下した。 自殺事件では、学校、市教委、市長ら関係者の終始曖昧で腰の重い対応に不信感が強まった。市教委も学校を十分に支えられず、3者とも当事者能力を失っていた。ふがいないというほかない。 そうした中、いわば最後の手段として取られたのが、第三者の力を借りて事実関係を調査し、司直も含めた公正な判断、
大阪体罰自殺 教師による犯罪ではないのか(1月11日付・読売社説) 教育現場であってはならない事態が起きた。 大阪市の市立高校2年の男子生徒が、所属するバスケットボール部顧問の男性教師から体罰を受け、その翌日に自殺した。 生徒が残した教師あての手紙には「体罰がつらい」という内容の記述があった。大阪市教育委員会は、体罰が自殺の主な要因とみている。警察も捜査を始めた。事実関係の徹底解明が求められる。 市教委によると、教師はこれまで、試合で生徒がミスをすると、頬を平手でたたく体罰を加えた。自殺した前日にも、生徒は母親に「30~40発ぐらいたたかれた」と話していたという。 教師は市教委に「発奮させようと思った」などと説明している。しかし、指導の一線を越えた許されぬ暴力行為というほかない。 学校教育法は体罰を明確に禁じている。暴力による指導では、子供たちの正常な倫理観を養うことができず、かえって恐怖
AIJ問題 厚年基金の財務改善が急務だ(3月25日付・読売社説) 巨額の年金資産を消失させたAIJ投資顧問について、証券取引等監視委員会が金融商品取引法違反の容疑で強制調査に着手した。 ハイリスクの投資を繰り返し、損失を膨らませながら、「安定的な収益が得られる」と偽って勧誘し、運用委託契約を結ばせた疑いが持たれている。集めた約1500億円の資金のうち1200億円を失ったという。 詐欺まがいの極めて悪質な行為である。刑事告発を視野に調査を進める監視委には、厳正な責任追及を求めたい。 AIJ問題では、顧客の大半を占める厚生年金基金の在り方が問われている。 厚年基金は自前の企業年金に加え、国に代わって公的年金の一部も運用し、退職者に支給する。かつては高利回りを確保できたが、近年は株安や低金利で運用益を得られず、年金の給付に必要な積立金が不足している基金が多い。 しかも9割の基金はいまだに運用目標
ストーカー殺人 警察の対応不備が招いた惨事(3月9日付・読売社説) 過去の教訓が生かされていない。警察は再発防止策を徹底すべきだ。 長崎県西海市のストーカー殺人事件で、千葉、長崎、三重の3県警が対応の不備を認める検証結果をまとめ、遺族に謝罪した。 昨年12月、西海市で、男が知り合いの女性の母親と祖母を殺害する事件を起こした。男の実家は三重県にあり、千葉県にあった女性宅に一時、居座っていた。 検証によると、男は女性に暴力をふるってけがをさせたため、女性の父親が3県警に相談した。男は警察から口頭で警告された後も女性の知人らに「必ず殺す」といった脅迫メールを送りつけた。 父親は再び、3県警に相談したが、いずれもメールの内容を確認せず「管轄は向こう」と、対応を「たらい回し」にした。人命を守るべき警察の対応ではない。 父親が傷害事件の被害届を出しに行くと、千葉県警は「1週間待ってほしい」と引き延ばし
光学機器大手オリンパスの巨額損失隠し事件は、東京地検特捜部による前会長、菊川剛容疑者らの逮捕へ発展した。 日本の企業統治(コーポレート・ガバナンス)に対する不信も内外で招いただけに、捜査当局には速やかな全容解明を求めたい。 事件を機に、社外取締役の義務化など企業統治の強化策が検討されている。だが、制度整備だけで実効性は上がらない。 企業人一人一人が企業統治や企業倫理とは何かという原点を改めて肝に銘じなければならない。 菊川容疑者らは過去の含み損を簿外処理し、海外企業の買収などで捻出した資金で穴埋めしたとされ、不正会計操作の指南役とみられる元大手証券会社OBらも逮捕された。手口や資金の流れを徹底的に洗い出し、この種の事件の再発防止につなげてもらいたい。 高山修一社長ら現経営陣は引責辞任する意向を表明し、来月中旬に新経営陣を決める予定という。双方が協力して、「腐った過去」とは明確に決別し、企業
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