東京・世田谷に住む犀川弘道(44)は8年前、長男が生まれて半年経った時に6カ月間の育児休暇を取った。当時、育児休暇を取得し長期間子育てに専念する男性はもう珍しくなかった。ただ犀川のケースが異例だったのは、その勤務先だ。 犀川が牧師をサポートする事務主事として勤務していたのは、キリスト教のプロテスタント系教会だった。家族愛を説く教会なら、父親の育児休暇取得にも理解がある、と考えたくなるが、進歩的とされるプロテスタント教会でも、実は「夫は仕事、妻は家庭」という価値観が日本では根強い。犀川の育児休暇も、信者全員から大きな拍手で受け入れられたわけではなかった。 「父親が子供好きで、母親が仕事好きな家庭があってもいいはずだ」と、犀川は言う。「古い教会の価値観に対する反発心から、育児休暇を取った部分もあった」 キリスト教の教会でも男性の育児休暇が認められるほど、日本社会の父親の子育て・家事への参加に対