電力市場の改革を検討する経済産業省の専門委員会が、家庭用を含めて電力販売を全面自由化する方針を示した。来年の通常国会に電気事業法改正案を提出し、数年かけて実施するという。 電力料金引き下げにつながる競争は重要だ。だが、それには、社会インフラである電力の安定供給体制の確立が大前提となる。 今のような電力不足下で自由化されると、売り手市場になって逆に値上げにつながらないか。当面は、電力不足の早期解消に全力を挙げるべきだろう。 電力市場は、大口需要家向けから段階的に自由化されてきた。現在、対象は契約電力50キロワット以上の中小工場にまで拡大され、電力会社以外の特定規模電気事業者(PPS)が参入している。 家庭用は自由化されていない。値上げには政府認可が必要だ。そうした規制を取り払い、幅広い料金引き下げにつなげる狙いだ。 ただし、健全な競争を促すには、電力会社を含めて多様な事業者が需要以上に供給を