【カイロ和田浩明】反体制派の武力弾圧を続けるシリアのアサド政権に対し、欧米や一部アラブ諸国は退陣圧力を強めている。しかし、反体制派も一枚岩にはほど遠いのが実情だ。「アサド後」に民主的な国家統治が可能な組織は存在せず、混乱状態が生じる可能性もある。 反体制派の代表的組織の一つは、昨年8月にトルコのイスタンブールで結成された「国民評議会」だ。主にシリア国外で活動する世俗主義者とイスラム教スンニ派の穏健派原理主義組織「ムスリム同胞団」関係者らが同居する。代表はパリに拠点を置く政治学者、ブルハン・ガリユン氏。 評議会幹部は昨年12月にクリントン米国務長官とジュネーブで会談した。今月24日にチュニジアで開催予定の「シリアの友人」支援国会合にも参加するとみられる。だが、幹部は長年亡命生活を送っており、シリア国民一般への影響力は極めて限定的。幹部間の路線対立もささやかれ、指導力を発揮できるかは未知数だ。