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大阪万博
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トランプ大統領の中東訪問で地政学リスクはどうなる?(写真:代表撮影/picture alliance/アフロ) OPECプラスが有志8カ国の自主減産分の縮小を決めた。「世界の原油在庫は低水準にある」というのが背景として説明されているが、はたして本当だろうか。決定にはサウジアラビアの意向が強く反映されているとみられるが、この機に米国のシェール産業に打撃を与えたいという思惑があるのではないか。 (藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー) 米WTI原油先物価格(原油価格)はOPECプラス(OPECとロシアなどの大産油国で構成)の増産決定を受けて1バレル=55ドル台に下落したが、その後、「米国と各国との貿易摩擦が緩和する」との期待から60ドル台に上昇した。 まず、いつものように世界の原油市場の需給を巡る動きを確認しておきたい。 OPECプラスは3日、有志8カ国(サウジアラビア、ロシア、
(山本一郎:財団法人情報法制研究所 事務局次長・上席研究員) 兵庫県知事の斎藤元彦さん、PR会社「merchu(メルチュ)」の折田楓さん、そしてNHK党(N国党)の立花孝志さん。このややこしい三者をめぐる疑惑と法的問題が、日本の政治において極めて憂慮すべき状況を生み出しています。「Xデーも近い」と予定稿作成に励む私たちに、女神は微笑んでくださるのでしょうか。 もともとの発端は、昨年11月の兵庫県知事選において、不信任決議を受けて辞職した斎藤さんが再選したところから始まります。それまでは、県庁職員に対する斎藤さんの県知事の職務における度重なるパワハラという嫌疑ぐらいだったのに、どうしてこうなった。 この兵庫県知事選で、立花さんは斎藤さんに対する「アシスト」目的で出馬し、俗にいう「二馬力選挙」に打って出るかたわら、折田さん率いるPR会社が対価を得ていたにもかかわらず選挙期間中に具体的な選挙活動
世界の国々に対する「相互関税」なるもの――恐らく史上最も常軌を逸した通商政策の提案だろう――が発表されたドナルド・トランプの「解放の日」は、市場から総スカンを食らって早々に引っ込められた後、中国との貿易戦争に転化した。 当初からこれが狙いだったのかもしれない(あるいは、そうではなかったかもしれない)。 では、トランプはこの戦争で中国に勝てるのか。 それどころか、トランプ再登板後の米国はもっと広い意味での中国との対立を制する望みはあるのか。 答えはいずれも「ノー」だ。 中国が無敵だからではない。あの国は無敵にはほど遠い。 米国が敗れるのは、中国のように巨大で有能で確たる意志を持った大国と張り合える地位を維持するのに必要な資産をすべて投げ捨てているからだ。 トランプの貿易戦争の意図 「貿易戦争は良いものであり、勝つのは簡単だ」 トランプは2018年にそう投稿した。普遍的命題としては、これは「偽
米国の国内総生産(GDP)が第1四半期に3年ぶりのマイナスとなった。リセッション(景気後退)入りの懸念が広がっていたが、いよいよ現実になったのか。トランプ大統領はバイデン前政権による経済運営の失敗が原因としているが、トランプ関税などの影響が大きいことは明らかだ。景気が悪化すればトランプ大統領は移民対策の強化など「MAGA」支持者にウケのいい政策を強化しかねない。社会の分断が激しさを増し、ナチスの悪夢すら呼び起こされる。 (藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー) 4月30日に発表された米国の今年第1四半期の国内総生産(GDP、速報値)は前期に比べて0.3%減少した(年率換算)。昨年第4四半期の2.4%増から大幅に落ち込んだ。マイナス成長となったのは3年ぶりのことだ。 景気の足を引っ張ったのは輸入の増加だ。関税引き上げ前の駆け込み輸入の影響で前四半期に比べて41.3%急増した。国
自由すぎて耐えられない? エラー防止よりイノベーションを重視したネットフリックスが、成功のために排除したもの イノベーションとは、必ずしも壮大な目標や崇高な理念の下で生まれるものではなく、選ばれし一部の人間によって成し遂げられるものでもない。課題解決方法の改善と挑戦という身近な取り組みこそが、イノベーションの実現につながる。本稿では、世界的な経営大学院INSEADの元エグゼクティブ教育学部長であり、一橋大学で経営学を学んだ知日家としても知られるベン・M・ベンサウ氏の著書『血肉化するイノベーション――革新を実現する組織を創る』(ベン・M・ベンサウ著、軽部大、山田仁一郎訳/中央経済社)から内容の一部を抜粋・再編集。W.L.ゴア、サムスン、IBMなど世界的な大企業がどのように障害を乗り越え革新をもたらしたかについて、その実行プロセスからひもとく。 組織の創造性を引き出すために、ネットフリックスが
ウクライナ戦争の早期終了を選挙公約のように掲げてきた米トランプ大統領だが、早期停戦の見通しは立たない(写真:ロイター/アフロ) ウクライナ戦争の早期終了を選挙公約のように掲げてきた米トランプ大統領だが、交渉が困難だと察すると、協議の仲介を見送る可能性を口にし始めた。停戦のタイミングや形、その条件に関しては、専門家の間でも議論が分かれている。 この戦争と停戦への導き方は正しく議論されているのか。『悪が勝つのか? ウクライナ、パレスチナ、そして世界の未来のために』(信山社)を上梓した法哲学者で東京大学名誉教授の井上達夫氏に聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト) ──チョムスキーやハーバーマスといった批判的知識人たちでさえ、ウクライナ戦争と停戦をめぐる議論では問題のある主張を展開していると書かれています。 井上達夫氏(以下、井上):話の前提として、彼らの言説の背景にある、対露宥和主義の
ウクライナ戦争が始まってすでに3年が経った。当初はプーチン大統領の数々の誤算が報じられたが、トランプ氏が米大統領に再選すると、先行きが不透明になり、半ば強引な停戦交渉が始まった。この展開をどう理解したらいいのか。『悪が勝つのか? ウクライナ、パレスチナ、そして世界の未来のために』(信山社)を上梓した法哲学者で、東京大学名誉教授の井上達夫氏に聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト) ──「悪が勝つのか?」というタイトルですが、どんな思いがあって、この本をお書きになったのですか? 井上達夫氏(以下、井上):国際法で規定された戦争に関する2つの重要な正義の原則があります。 1つは「戦争への正義」(jus ad bellum)です。「開戦法規」とも呼ばれますが、戦争を始めることが正当化される理由や根拠は何かということです。これは基本的には自衛権行使であれば認められます。個別的自衛権だけでな
世界遺産 元離宮二条城を会場に「アンゼルム・キーファー:ソラリス」展が開催中だ。アンゼルム・キーファーは、戦後ドイツを代表するビッグアーティスト。作品は神話や歴史への洞察、戦争への怒りをモチーフとし、テーマ性の壮大さを反映して、作品のスケールも巨大だ。そのキーファーの絵画や彫刻33点が、世界遺産・二条城(国宝)二の丸御殿台所・御清所(重要文化財)に展示された。 これだけの点数のキーファー作品を一挙にみられるという機会も稀だが、会場は京都随一の広さを誇る重厚さこの上ない歴史的建造物。力強い梁が走る板間に絵画が設置され、白砂の庭には大型のオブジェが点在する。ほかでは決して見られない光景に、ただただ息を呑んだ。 世界遺産を「保税会場」に 攻めの文化財活用の事例 アートファンには大きな話題の今展だが、破格の規模の展示の背景には、別の話題もある。その一つが「保税制度」だ。 「保税制度」とは、2020
(小林 啓倫:経営コンサルタント) SEO、GAIOの次に来る「AAIO」 以前からこの連載で、「GAIO」という概念があることを取り上げてきた。これは「生成AI最適化(Generative AI Optimization)」を略した言葉で、従来の「検索エンジン最適化(SEO: Search Engine Optimization)」のように、ネット上にある自社コンテンツへのアクセスを増やすための取り組みを指す。 ただし、SEOが検索エンジンを意識して自社コンテンツを最適化するのに対し、GAIOでは生成AIを意識した最適化が行われる点が異なる。生成AIがどのようにして、ユーザーに代わってウェブサイトを検索し、情報を集め、回答となる文章を生成するのかというプロセスを理解した上で、その結果を自社にとって有利なものにするために、コンテンツを工夫しておくわけだ。 ところがいま、事態はさらに先へ進も
(みかめ ゆきよみ:ライター・漫画家) 戦後の「九龍城事件」 戦後間もない1947年、香港政庁は九龍城砦内に新たに建設された木造建築を取り壊すように通告した。しかしこれに中国政府は異議を唱えた。日本軍統治時代に城砦が取り払われているとはいえ、「特別条項」は生きていると主張したわけだ。 香港政庁は強引に策を進め、木造建築を70軒ほど撤去したが、これに住民たちは反発し、抗議運動へと発展していった。この事件が広まると中国全域でイギリスに対する抗議デモが巻き起こった。香港政庁は争いを回避するため、九龍城砦には触れず、九龍城砦以外の地域の開発を進めていった。こうして「先進的な香港」ができあがっていったわけだが、この流れに乗れない貧困層が九龍城砦に逃げ込み、我々がイメージする「九龍城砦」を作り上げていくのである。 アヘン窟と化した九龍城砦 1949年、中華人民共和国が成立すると、中国から香港へと逃れる
1946年に樺太でソ連兵に捕まり、以来、半世紀をシベリア、カザフスタンで過ごした小関吉雄氏(前列左から2人目)。いっしょに写っているのはカザフスタンの子、孫たち(1993年撮影、日本サハリン協会提供) 敗戦後、ソ連に占領された南樺太では「民間人」が突然逮捕された。さらに、日本に帰ろうとする者、逆に家族との再会を目指し樺太に渡ってくる者が囚人となり、ラーゲリに連行された。軍人などと異なり、組織も名簿も持たない彼らは引揚げ事業の対象外とされ、数百人にのぼるシベリア民間人抑留者は「自己意思残留者」として切り捨てられた。ノンフィクションライターの石村博子氏は、新著『脱露 シベリア民間人抑留、凍土からの帰還』(KADOKAWA)で、実際にあった悲劇を丹念に掘り起こした。 (*)本稿は『脱露 シベリア民間人抑留、凍土からの帰還』(石村博子著、KADOKAWA)の一部を抜粋・再編集したものです。 【前編
「年収の壁」問題で多くの現役世代の心をとらえた国民民主党。超高齢化社会では現役世代の負担は重くなる一方で、同党の「手取りを増やす」というわかりやすいメッセージが支持を集めた。「ねんきん定期便」に事業者負担が明記されるようになった背景には「現役世代の怒りがある」と分析する作家・橘玲氏は、昨今の政局と社会をどのように見ているのか。 (湯浅大輝:フリージャーナリスト) >>前編:「厚労省の陰謀」暴かれた!ねんきん定期便に事業者負担分が明記、顕在化する「老人ファシズムvs現役世代の怒り」 インフレが現役世代の怒りに点火 ──2025年3月に産経新聞社とフジニュースネットワークが実施した世論調査によると、20代・30代は自民党よりも国民民主党を支持していることが明らかになりました。さらに消費税減税を掲げるれいわ新選組もこれらの世代の支持を拡大するなど、「現役世代の怒り」が政局を左右しはじめています。
4月から厚生労働省は保険料納付の実績や老後に受け取る年金の目安を知らせる「ねんきん定期便」に、厚生年金について事業者も加入者と同額の保険料を負担している旨を記載する。作家の橘玲氏は「25年前から私はこの問題を追及してきたが、どのメディアも取り上げないことが不思議だった」と語る。同氏はさらに現役世代が「厚生年金の不都合な真実」に気づくようになったことが背景にあると分析する。どういうことか。 (湯浅大輝:フリージャーナリスト) >>後編:頑張ったサラリーマンが搾取される社会…現役世代で社会保障制度に怒り爆発、超高齢化の次は世代内格差で社会分断 年金制度批判は「ポリコレ」に抵触? ──4月から「ねんきん定期便」に、事業者も加入者と同額の厚生年金保険料を負担していることが記載されるようになります。橘さんは以前から事業者負担が明記されていないことを問題視していました。今回の国の対応をどのように評価し
(みかめ ゆきよみ:ライター・漫画家) 香港映画『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』の勢いが止まらない。キャストが登壇した新宿バルト9では連日朝から夜までフル回転で上映しており、平日夜にほぼ席が埋まっている。その客層を見ると幅広い世代が来場しており、特に女性の姿が目立つ。アクション映画としては異例の光景だ。九龍城が解体された後に生まれた若い世代も多い。今回はそんな「九龍城砦」の歴史を紹介したい。 今、九龍城砦が熱い 九龍城といえば1993年から1994年に解体され、今となっては伝説のスラムである。日本では一般的に九龍城、または九龍城砦と言われているが、城九龍寨城が正しい名称とされている(ここではアヘン戦争以前は時代に合わせた呼び名を、以後は九龍城砦とする)。 混沌、魔窟、無法地帯…九龍城砦を形容する言葉は決して華やかなものではない。しかし20代〜30代の若者たちがそこに魅力を感じ
FMHの上席役員について書かれた怪文書も出現した。「上席役員から元家族への深刻なモラハラ問題」「同じ上席役員の愛人の存在」が書かれており、フジ社内や株主の間などで出回っている。 新たな独裁者の出現を危惧する社員たち 内容の断片は事実だ。元家族とは旧ジャニーズ事務所の元役員である。もし怪文書の中身が全て事実で、それが世間に知れ渡れば、大きなスキャンダルになるのは間違いない。 怪文書だから作成者は不明である。フジと敵対するアクティビスト(モノ言う株主)の関係者と見る向きもあるが、そうとは限らない。フジの内部の人間がつくったという見方も強い。 というのも3月下旬に発表された両社の新役員人事案などに対し、フジ内には不満が渦巻いているからだ。新役員案は金光修・FMH社長(70)が中心となってつくられた。 6月のFMH株主総会で諮られるこの新役員案は、金光氏の色が濃い。それに多数のフジ社員たちが納得し
春分の日には陽の長さが分単位で伸びるのに、夏至に近づくと秒単位でしか伸びない。三角関数は私たちの身近な生活に深くかかわっている(sputnikzionによるPixabayからの画像) 4月15日に開催された財政制度等審議会での財務省による指摘です。 「こんな低レベルが大学だというのなら、私学助成を見直さなければならない」という趣旨で、「教育の質の評価が必要だ」という指摘らしい。 過去30年、様々な大学の教壇に立ってきた一教官としては「よく指摘した、財務省」と評価すべきと思います。 ただ、同時にどうして「大学なのに、まるで義務教育のような授業」をしなければならないのか、その理由を分かっていないとすれば、財務省もまたやや現状把握に不足があります。 そもそも 「大学」にあるのは「講義」と「演習」「ゼミナール」などで、「授業」というのは高等「学校」以下の中等教育の持ち分。 「授業」とは「授ける業」
トランプのアメリカ 大学院時代のアメリカ人学友から「カキストクラシー(kakistocracy)」という新語を教わった。ギリシャ語のkakosは「悪い」という意味で、「最悪の者による政府」という意味である。無知な人々を支配する「ならず者」ということで、もちろん、トランプ政権のことである。 トランプのアメリカの背景は、格差の拡大である。Putnamの『われらの子ども』(2015年、邦訳2017年)は、それを理解するための最高の参考書である。 トランプのアメリカ、それは1990年代に源がある。“The Naughty Nineties”(『猥褻な90年代』、2017年、邦訳なし)という本を書いたDavid Friendによれば、トランプの下品な物言い、政治をショーに仕立てる行動、大衆紙による醜聞探しなどは90年代に出現したという。政治ではギングリッチの反エリート主義が有名である。それは、civ
(舛添 要一:国際政治学者) トランプ大統領の関税攻勢は、世界中を混乱に陥れている。しかし、それに続く思想統制も大きな衝撃をもたらしている。これは単にトランプの性格によるものではない。アメリカという国の歴史が背景にある。 トランプは、バイデン政権の政策を捨て去り、LGBTを認めない、DEI(多様性、公平性、包摂性)施策を見直す、反ユダヤ・親パレスチナ活動を取り締まる、反アメリカ的価値観を持つ留学生を入国させないといった政策を次々と打ち出している。 トランプ政権は、4月11日、ハーバード大学に対して、DEI方針見直し、反ユダヤ主義的活動の取り締まり、反アメリカ的価値観を持つ学生に関する報告などを要求し、これを総額90億ドル(約1.3兆円)の助成金継続の条件とした。しかし、大学側はその求めを拒否した。それに怒ったトランプ政権は、4月14日に、複数年にわたる助成金22億ドル(約3146億円)と6
2025年4月13日、「ミスターWeb2.0」と呼ばれたリボルバー創業者、小川浩さんが永眠されました。 (編集部注:リボルバーはIT関連の出版のほか、コンテンツ配信ネットワークやウエブへのコンテンツ投入を行うCMSなどを提供している) ウエブメディアの変革期において、その最前線を常に走り続け、情報発信と人間を繋ぐ新たな地平を開いた彼の生涯を、友人としてここに記します。 時代を拓いた「Web2.0」の旗手 小川浩さんという人物を語る上で欠かせない言葉、それが「Web2.0」です。 インターネットの黎明期を過ぎ、単にウエブサイトを閲覧するだけの「Web1.0」時代から、「ユーザーが自らコンテンツを作り出す時代」へと舵が切られた2000年代。 その先頭を走り続けたのが小川さんでした。 彼が作ったブログプラットフォームやソーシャルメディアは、日本のウエブ文化に計り知れない影響を与えました。 情報の
(湯之上 隆:技術経営コンサルタント、微細加工研究所所長) 暴君トランプ大統領と各国の家来たち 破壊的な「トランプ関税」が世界経済を揺るがし、自由貿易は終焉の時を迎えつつある。その影響で、各国の株式市場は連日乱高下を繰り返し、世界中がパニック状態に陥っている。 この危機を回避しようと、各国の政府はトランプ大統領に慈悲を乞うべく躍起になっており、その姿はまるで、トランプ大統領が王として君臨し、各国が平伏す家臣のようである。 とはいえ、どの国も心からトランプ大統領を敬っているわけではない。突如現れた暴君に対し、被害を最小限に抑えるため、やむを得ず表向きは従うふりをしながら、内心では反発する──そんな「面従腹背」の態度を取らざるを得ないのである。 TSMCにも我慢の限界がある 半導体の受託生産(ファウンドリー)分野で世界シェア65%超を誇り、微細化技術でも最先端を独走する台湾のTSMCは、これま
(小林 啓倫:経営コンサルタント) ユーザーの代理でネットを見るAIエージェント 今年初め、「2025年はAIエージェントの年になるだろう」と予想する声が多く聞かれたが、どうやらその予想は正しかったようだ。いま主要なIT企業やAI研究機関からさまざまなエージェントが発表され、その機能も日々進化している。 たとえば、ChatGPTでお馴染みのOpenAIが開発したAIエージェント、その名も「Operator(オペレーター)」は、ウェブブラウザの操作を自動化できる。 つまりオペレーターが自分で仮想的なブラウザを開いて、そこに表示されるテキストや画像を認識し、その上で人間がするような操作(クリックやスクロールなど)を実行できるのだ。 それにより、ECサイトやホテル予約サイトなどでの商品購入や各種予約手続きを、人間に代わって完了させることができる。
(放送コラムニスト:高堀冬彦) いわゆる「中居問題」を受け、経営陣の交代を発表し、第三者委員会による厳しい調査報告書も突き付けられたフジテレビ。親会社のフジ・メディア・ホールディングス(FMH)ともども、いまも内部では動揺が続いており、落ち着く気配はない。理由は3つある。 第1に未だ明るみになっていない不祥事や問題がいくつもあるから。社内には強い不満がまだ充満しているのだ。 第2に両社の前取締役相談役・日枝久氏(87)の右腕と言われた金光修・FMH社長(70)が、同社会長に昇格するなどの新役員人事への不信感だ(新役員は6月のFMH株主総会での選任決議によって正式決定)。 第3に複数のアクティビストの大株主に対する怯えである。FMH株を11.81%保有する旧村上ファンド系の国内投資会社「レノ」勢や、7.19%を持ち新役員人事を痛烈に批判している米国ファンド「ダルトン・インベストメンツ」などが
(武藤 正敏:元在韓国特命全権大使) 6月3日の投開票が決定した韓国大統領選挙は、現時点の支持率を見る限り、李在明(イ・ジェミョン)「共に民主党」代表が独走態勢を築いているように見える。しかしここにきて、韓悳洙(ハン・ドクス)大統領権限代行が出馬の意向を明らかにしていないにもかかわらず、その動向が大統領選最大の変数となりつつある。 韓悳洙氏出馬への期待が高まる 韓氏は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の罷免が決定した際、次期大統領選については一切言及せず、「国政運営に専念する」との姿勢を示していた。しかし、韓氏の出馬を求める声は、与党「国民の力」内から高まっている。さらに、トランプ米大統領との電話会談でも、トランプ氏から出馬の意向について尋ねられたという。 尹氏の弾劾後、「国民の力」からは多くの議員や有力政治家が出馬の意向を示しているが、決定的な支持を集める候補は現れていない。このままでは
(篠原 信:農業研究者) トランプ大統領が世界経済を揺るがしている。一気に関税を引き上げたかと思えば、90日間の猶予を与えるという話になるなど、世界経済は振り回されっぱなし、世界各国の株価は乱高下を続けている。 記事によっては、トランプ大統領は何も考えていない、行き当たりばったりだ、という批判もあるようだ。しかし私には、トランプ大統領のこうした動きは、ニクソン大統領時代の時にはすでに約束されていた「必然」のように思える。そのことを本稿では考えてみたい。 原油取引はなぜドル建てなのか ニクソン大統領が登場する前、ドルというお金はゴールド(金)と交換することを約束された金兌換紙幣と呼ばれるものだった。札束を銀行に持って行けばゴールドの塊と交換してもらえる。この約束があるから、ただの紙切れがお金として信用されていた。 ところがニクソン大統領はある日、とんでもない宣言を出した。1971年8月15日
ジャーナリストで映画監督の伊藤詩織氏が自身の性被害と、それを取り巻く日本社会を描いたドキュメンタリー映画『Black Box Diaries』。その中に、本人の許可なく出演者やそのやり取りが映し出されている映像が含まれているとして問題になっている。 この映画の問題点を報じてきた東京新聞社会部の望月衣塑子記者を伊藤氏が名誉毀損だと提訴したが、後に訴訟は取り下げられた。伊藤氏は許諾のない映像を問題のない形にした映画の修正版を作ると発表したが、いまだに修正版は公表されないまま、ノーカットバージョンが欧米などを中心に海外で放映されている。この状況をどう考えるか、望月衣塑子氏に聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト) ──伊藤氏からの訴訟が取り下げられました。今は何を感じていますか? 望月衣塑子氏(以下、望月):3月18日、伊藤氏の代理人をしている神原元弁護士と師岡康子弁護士の名前で、西広陽
大阪・関西万博の開幕に備えた予行演習「テストラン」で、入場ゲートに並ぶ来場者。行列の影響で夢洲駅でも人が滞留した=6日午前、大阪市此花区の夢洲(写真;共同通信社) 大阪・関西万博が4月13日、開幕する。約160カ国が参加し、10月13日までの184日間、大阪湾の人工島「夢洲」で開かれる国家イベントだが、準備段階では、会場建設費の増大、工事の大幅な遅れ、前売り券の販売不振など迷走が目立った。開幕直前のテストラン(予行演習)では無料招待された約10万人から賛否の声が上がったが、実際のところはどうなのか。 昨年8月刊行の検証本『大阪・関西万博「失敗」の本質』(ちくま新書)の著者らが実情を掘り下げる。第3回は、ジャーナリストの木下功氏が、防災など安全面への懸念と、それを招いた維新政治の思惑を解説する。 【ほかの回の記事】 [1回目]万博は太閤秀吉に学ぶべきだった 難工事でパビリオン揃わず、メタンガ
大阪・関西万博の開幕に備えた予行演習「テストラン」が始まり、会場を訪れた人たち=4日午前、大阪市此花区の夢洲(写真:共同通信社) 大阪・関西万博が4月13日、開幕する。約160カ国が参加し、10月13日までの184日間、大阪湾の人工島「夢洲」で開かれる国家イベントだが、準備段階では、会場建設費の増大、工事の大幅な遅れ、前売り券の販売不振など迷走が目立った。開幕直前のテストラン(予行演習)では無料招待された約10万人から賛否の声が上がったが、実際のところはどうなのか。 昨年8月刊行の検証本『大阪・関西万博「失敗」の本質』(ちくま新書)の著者らが実情を掘り下げる。第2回は、ノンフィクションライターの西岡研介氏が「機運醸成」がつまずいた原因を解説する。 【ほかの回の記事】 [1回目]万博は太閤秀吉に学ぶべきだった 難工事でパビリオン揃わず、メタンガスまで発生した夢洲の悪条件 [3回目]万博開催中
開幕へ向けパビリオンの工事が急ピッチで進む大阪・関西万博の会場=3月、大阪市此花区の夢洲(写真:共同通信社) 大阪・関西万博が4月13日、開幕する。約160カ国が参加し、10月13日までの184日間、大阪湾の人工島「夢洲」で開かれる国家イベントだが、準備段階では、会場建設費の増大、工事の大幅な遅れ、前売り券の販売不振など、迷走が目立った。開幕直前のテストラン(予行演習)では招待された約10万人から賛否の声が上がったが、実際のところはどうなのか。 昨年8月刊行の検証本『大阪・関西万博「失敗」の本質』(ちくま新書)の著者らが実情を掘り下げる。第1回は、一級建築士で建築エコノミストの森山高至氏が、会場建設が難航した理由を解説する。 【ほかの回の記事】 [2回目]電通依存のツケを払う万博、頼みの吉本興業も背を向け「もはやどこかの地方博」との声 [3回目]万博開催中に大地震が起きたら…橋とトンネルで
世界第2位の金保有国であるドイツが、米国のニューヨーク連邦準備銀行に預けてある1200トン以上の金を本国へ引き揚げることを検討している。現地の報道を受け、英テレグラフ紙などが伝えた。トランプ政権が打ち出す予測不能な政策を見て、「米国はもはや信頼できるパートナーではない」との意見がドイツの政界で強まっているという。 (志田富雄:経済コラムニスト) 私たちの大切な金をどこで保管するのか? ドイツがなぜ金をニューヨーク連銀に預けてあるのか、不思議に思う読者もいるだろう。 多くの中央銀行は準備資産として保有する金をすべて自国の金庫に保管しているわけではない。安全性や貴金属市場へのアクセスの良さなどを総合的に判断し、自国での保管だけでなく、英国のイングランド銀行やニューユーク連銀などに分散保管する中央銀行が多い。 長らく保管場所を公表していなかった日本銀行も2019年2月の衆議院財務金融委員会で、保
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