今年の春闘で自動車や電機など大手企業が、賃金水準を一律に引き上げるベースアップ(ベア)の実施を示した。とくに主要企業で過去最高額のベア回答が相次いだことは歓迎したい。 だが、春闘交渉は、これからが正念場であることを忘れてはならない。大手企業の妥結を受けて今後、交渉が本格化する中堅・中小企業で、どこまで賃上げを波及させられるかが日本経済の再生にとって何よりも重要だ。 そのためには、下請けなどが賃上げ原資を生み出せるような配慮も欠かせない。産業界全体で賃金水準の底上げを図り、経済の好循環を実現したい。 大手の労使交渉では実質賃金を押し上げるため、昨年実績をどこまで上回るかが焦点だった。昨年4月の消費税増税で物価が2~3%上昇しており、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比でマイナスが続いているからだ。 春闘相場への影響力が大きいトヨタ自動車が4千円のベアで妥結し、大手電機各社のベアも昨年よ