菅義偉官房長官は7日午前の記者会見で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉での農業重要5品目の関税撤廃に関し「政府の基本方針は全く揺るがない」と述べた。自民党の西川公也TPP対策委員長が撤廃の可否を検討すると表明したのを受けた発言。 菅氏は「聖域を撤廃することが前提ではない」と指摘し「守る必要のあるものはどこの国にもある」と語った。 西川氏の発言に関しては「検証はするが(5品目を)抜くことが前提ではないと言っている」と強調した。今後の対応は「党と連携していく」とした。
食料品売り場の一角は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の最前線だった。選挙カーの演説が届く東京郊外のスーパー。米国産グレープフルーツやニュージーランド産キウイ、メキシコ産アボカドなどTPP参加国からの輸入果物がきらびやかに並び、商札には「使用添加物 防カビ剤」などの表示があった。 夫と買い物をしていた会社員、大西麻衣子さん(28)は「TPPへ参加して輸入品が安くなるのはいいけど、将来、母になるかもしれない身として、農薬や食品添加物のことは考えてしまう」と話した。 TPPは農業問題が注目されるが、農業は21ある交渉分野の一つにすぎない。参院選の投票日の2日後、23日からわが国が加わる交渉には、食品の安全基準を話し合う「衛生植物検疫」などわれわれの暮らしに直結する分野が少なくない。 食品に使える添加物は、日本が655品目なのに対し、米国は1612品目。わが国では新たな添加物を認める審査に1
夏の日差しを浴びて稲が青々と育つコメの産地、山形県新庄市。田んぼに囲まれた一角にビニールハウスが広がり、中ではシクラメンやカーネーションが栽培されている。有限会社「クリタ園芸」はかつては零細コメ農家だったというが、製造業のコスト意識や品質管理を導入して、生花ビジネスで成功した。 栗田義夫社長は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への反対論が強い山形県にあって、参加を求めて結成された国民会議の賛同人に名を連ねたこともある。山形の農業衰退を心配し、「TPP交渉は農業制度を見直すいい機会だ」と話す。 栗田氏は農業の構造的問題として(1)他産業並みの収入確保(2)担い手の確保(3)耕作放棄地-を挙げる。そのうえでこう警鐘を鳴らすのだった。 「農業を子供に継がせたくないと思う親が増え(存続が危ぶまれている)集限界集落も広がっている。このままでは市町村自体も崩壊しかねない」 × × × TPPに
「中国は米中2大国時代を狙っている。日本が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に参加しないで中国が参加したらどうするんだ」 日本のTPP交渉初参加を23日に控え、ある政府高官は参院選の論戦でTPP参加の意義が十分に浸透していないことに不満を漏らした。背景には中国から最近、TPP交渉参加に前向きな発言が出始めるなど経済圏をめぐる駆け引きが本格化していることがある。 日米主導で世界の約4割に達する自由貿易圏を構築するのが日本政府の戦略だ。共産主義国家の中国が高いレベルの市場開放を目指すTPPにはなかなか入れないとの目算がある。 ただ、6月14日、ソウルで開かれたシンポジウムで中国政府系シンクタンクの中国社会科学院の研究者、張蘊嶺氏は、約200人の聴衆を前にこう断言した。 「中国がTPP締結後に参加するとしても、条件をすべて受け入れる形にはならないだろう」 張氏は中国の通商政策研究の第一人者。パ
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への参加が確実になった。そこで気になるのは、国内メディアの自虐史観である。1980年代から90年台半ばにかけ、米政府のネゴシエーターは執拗(しつよう)に「日本市場は閉鎖的」と喧伝(けんでん)した。このイメージが刷り込まれた日本の主流経済メディアが、しきりに「開国」論を唱える。(フジサンケイビジネスアイ) 特定の分野を保護する「聖域」はどの国にもある。米国の場合、自動車産業がそうで、日本でいう「自動車」は米国の関税分類では「自動車(automobile)」とライトトラック(light truck)に分かれる。「自動車」には2.5%、ライトトラックには実に25%の関税が適用される(日本はいずれもゼロ%)。ライトとは言葉の上では「軽」だが、正体は違う。大型の高級スポーツ用多目的車(SUV)をはじめ、バン、ピックアップトラックまで含まれ、ゼネラル・モーターズ
安倍晋三首相が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への参加を表明し、「アジア太平洋の未来の繁栄を約束する枠組み」と述べた。TPP参加は、日本が抱える長期デフレ、少子高齢化による内需縮小、国際競争力の低下などの難題を突破する切り札として期待できる。 まだ、交渉の場に立ったにすぎないとはいえ、大きな一歩を踏み出したことを歓迎する。 自民党内の反対が強いTPP交渉への参加は、政権発足時に「7月の参院選後」と予想された。それに比べると大幅な前倒しだ。2月の日米首脳会談で「全ての関税撤廃を約束するものではない」との共同声明を発表した後、高い支持率を背景に一気に党内をまとめた首相の決断を評価したい。規制改革のテコにせよ もちろん、楽観は全く許されない。交渉を進める11カ国による承認手続きなどは進んでいる。実際に日本が交渉に加わるのは、早くても7月ごろとみられ、出遅れは覆うべくもない。 多国間交渉で
自民党は13日夜、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加をめぐる対策委員会(西川公也委員長)総会を党本部で開き、安倍晋三首相に提出する決議を採択、交渉参加を事実上容認した。ただ、コメ、麦など5品目の重要農作物を関税撤廃の除外項目と記し、国民皆保険なども含めて「聖域(死活的利益)が確保できないと判断した場合は、脱退も辞さないものとする」と、首相に対し交渉で譲歩しないよう求める内容にもなった。自民党は14日夜に決議を首相に提出する。 一方、首相は13日、甘利明経済再生担当相をTPP担当相に起用する方針を決めた。15日に記者会見を開き、TPP交渉参加の正式表明と同時に発表する。 決議は、国益の死守を前提に「首相は、国家百年の計に基づく大きな決断をしていただきたい」とした。その上で、交渉参加後は党との緊密な連携を取るよう求めた。 また「交渉に参加すると食糧安全保障が確保できなくなる」「参加し
最高指導者だった人の果てしない暗愚の言動に絶望感を抱いていたせいもあって、新鮮に見えるのかもしれない。東南アジア諸国を訪れた後、ワシントンでオバマ米大統領と会談した安倍晋三首相の軌跡は見事だったと思う。 ≪対中優位を維持する米戦略≫ 訪米が先の方がよかったとか、首脳間の信頼関係が構築できたとかできなかったとか次元の低い論評が罷(まか)り通っているが、それはどうでもいい。困難な国際環境の中で、日本の新指導者が国家として何を志向しているのか基本の型を演じた意義は小さくない。 最大の成果は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加への政治的な決断だった。共同声明に、「TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税撤廃をあらかじめ約束するよう求められるものではないことを確認する」と盛り込んだ箇所は確かに重要である。が、それはあくまで国内世論の分裂あるいは党内の意見対立を中和する以上の意味は持たない。
オバマ米大統領との首脳会談前夜、安倍晋三首相は周囲にこう決意表明した。 「明日は大統領とのガチンコ勝負になる」 会談の最大の焦点は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)問題だ。しかし、大統領がどのような態度を取るのかは、蓋を開けてみなければ分からない。 22日昼(日本時間23日未明)に始まった会談で、TPP問題を切り出したのは大統領のほうだった。日米双方が経済成長を遂げていく必要があるとの文脈で話を持ち出し、首相の返答を待った。首相の言葉は明快だった。 「先の衆院選で、自民党は聖域なき関税撤廃を前提とする限りTPP交渉参加に反対するという公約を掲げ、政権に復帰した。国民との約束は極めて重要だ」 大統領もすぐさま反応した。TPPに関する両首脳の合意は文書にとりまとめる方向だったが、実効性が薄い「覚書」や「報道資料」となる可能性も残っていた。しかし、安倍首相の主張を聞いた上で、大統領自らが「共同
安倍晋三政権が打ち出した「攻めの農業」を目指す改革路線を大いに歓迎したい。 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への参加は、日本が貿易立国として生き残るうえで欠かせない。そのためにも、日本農業を国際競争に耐えうる強い産業へ転換させることが必須だ。耕作地の大規模化など、具体的な政策として推進してほしい。 首相は政府の産業競争力会議で「農業を成長分野と位置づけ、産業として伸ばしていく」と述べた。成長戦略の策定に向けた重点10項目が定められ、農林水産品の輸出額を1兆円に倍増する考えも示した。 目に見える目標設定は当然だし、実現してほしい。一方で、日本農業を根本かつ構造的に再生させるには、より思い切った改革が必要だ。規模の小さい農地を集約化し、若者も従事できる専業農家を育成する基本政策である。 日本の農業従事者は、この30年で半減し、平均年齢は65歳を超えた。全国には埼玉県とほぼ同じ約40万ヘ
自民党の安倍晋三総裁がオバマ米大統領と電話会談し、東アジア情勢に関して「日本もパワーバランスが崩れないよう責任を果たしたい」との考えを伝えた。 国際社会の平和と安定のため貢献しようとする姿勢を評価したい。だが、日本が自ら防衛力を強化し、集団的自衛権の行使容認に踏み込まなければ、責任を果たすことにはならない。 来年1月にも訪米して首脳会談を行うことでも合意したが、それまでに新政権が日米同盟を立て直すため、具体的な方向性を示すことを期待したい。 安倍氏は北朝鮮の長距離弾道ミサイルへの対応で「緊密に連携したい」と大統領に語った。それには米国を目標に発射されたミサイルを日本が迎撃できるよう、集団的自衛権に関する政府の憲法解釈を変更する必要がある。 「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)の見直しで、日米が中国の海洋進出に対応できる内容に改める作業も急がれる。いずれも待ったなしだ。 環太平洋戦略
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く