フランス・アルストム社製の高速列車「AGV」は、大きな期待を担った車両だったが、本国フランスでは採用されなかった。その理由を解説する。 旧国鉄系イタリア鉄道のライバルとして、2012年に同国の高速列車市場に参入を果たしたのが、イタリアntv社の高速列車「イタロ(italo)」だ。オープンアクセス(列車の運行とインフラを分け、インフラ部分を別会社が持つことで、誰でも自由に鉄道市場へ参入できる制度)による参入自由化後、高速列車市場へ他社が参入したことはもちろん、民間資本の会社が高速列車を運行するということも前例がなく、全てが初物尽くしで大きな話題を呼んだ。 そのイタロに採用されたのが、フランスの重電および鉄道総合メーカーであるアルストム社が設計・製造した高速列車「AGV」だ。ヨーロッパ初の高速列車として有名なTGVの後継車と目されていた車両で、最大の特徴はそれまで動力集中方式を採用していたTG