平安時代、東北地方の太平洋側に大津波を起こした「貞観(じょうがん)地震」=キーマーク。東日本大震災との類似性が指摘されているこの地震について、旧安田町(現・阿賀野市)出身の歴史地理学者、吉田東伍(とう・ご)=キーマーク=が約100年前に研究論文を発表していたことがわかった。論文で東伍は甚大な被害がもたらされたと指摘し、今後の課題として津波の痕跡を探すべきだ、との考えを示していた。 ◇ 貞観地震による大津波に関する研究が進んだのは、1980年代後半以降。阿賀野市立吉田東伍記念博物館の渡辺史生館長は「この指摘を受けて貞観地震の研究をもっと早く進めていれば、原発などの津波対策に生かせたかもしれない」と話している。 論文は、1906年、雑誌「歴史地理」に発表された「貞観十一年陸奥府城の震動洪溢(こういつ)」。貞観地震を記した平安時代の歴史書「日本三代実録」をもとに、20代の1年間、宮城県で軍