米カリフォルニア州グレンデール市で慰安婦の少女像が設置された。ソウルの日本大使館前に設置された「慰安婦の碑」と同じデザインで、事実誤認に基づく日本非難の意味が込められている。碑の撤去を求めたい。 同市はアルメニア系と韓国系住民が多く、日系人は少ない。像の設置は、アルメニア系と韓国系が共闘した結果とされる。設置前の公聴会で日系人が反対したが、議会の賛成多数で設置が決まった。 韓国系団体は前市長を韓国に招くなど徹底したロビー活動を行った。これに対し、在ロサンゼルス日本総領事館は、市長や市議に対し、昭和40年の日韓基本条約に基づく請求権協定で賠償問題が解決済みであることなどを説明し、像設置の不当性を指摘した。 在外公館として最低限のことはしたかもしれないが、なお不十分だ。ソウルの慰安婦の碑が日本の尊厳を傷つけている事実などを指摘し、像設置に警告し反対すべきだった。今後も撤去を求めなければならない
航空自衛隊の次期主力戦闘機となるステルス性のF35の部品共同生産をめぐり、菅義偉官房長官は武器輸出三原則の適用外として認める談話を発表した。 中国はステルス性を持つ「第5世代」戦闘機の開発を急ピッチで進めている。配備が進めば、現在、第4世代のF15が主力の日本は太刀打ちできない。 このことを考えれば、第5世代のF35導入と共同生産への参加の判断は妥当であり、適用外とする判断を支持したい。 そもそも、武器輸出三原則により、日本は、米国への武器技術供与など一部の例外を除いて共同開発の道を絶たれ、米英など9カ国が参加したF35の開発にも参加できなかった。 しかも、今回、問題となったのは、F35の導入予定国に周辺国との緊張が続くイスラエルが含まれていたことだ。「国際紛争の助長を回避する」という三原則に抵触しないかということだった。 談話は、部品製造への参加が日本の防衛生産や技術基盤の維持・強化につ
オバマ演説 「北の核」対処へ行動が肝心だ(2月14日付・読売社説) 「核兵器のない世界」の実現を目標に掲げてノーベル平和賞を受賞したオバマ米大統領は、そうした理想とは逆の深刻な現実を、北朝鮮から突きつけられたと言えよう。 大統領は、2期目最初の一般教書演説を行い、今後1年間の施政方針を示した。その中で、核実験を強行した北朝鮮に強く警告し、「断固とした行動」を取る姿勢を明確にした。 核実験のような挑発行為をすれば、「北朝鮮は孤立するだけだ」と述べ、米国が「世界の先頭に立って」、厳しく対処していく決意を表明した。イランの核開発を阻止し、ロシアとは核弾頭削減の取り組みを進めるとも述べた。 制裁で圧力をかけ、関係国と緊密に連携し、外交を駆使して、核の脅威をなくす必要がある。大統領の行動力に期待したい。 核問題以外でも、サイバーテロ防止、自由と民主主義の擁護、中東やアフリカの過激派対策支援に積極的に
集団的自衛権 安全保障法制を総点検したい(2月9日付・読売社説) 安全保障政策の立案では、「現行の憲法や法律で何ができるか」にとらわれるだけでなく、「何をすべきか」を優先する発想が肝要だ。 政府の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が、集団的自衛権の行使容認を提言する報告書を安倍首相に提出した。 第1次安倍内閣が設置した懇談会は、首相退陣後の2008年6月に報告書をまとめたが、具体化されなかった。安倍首相にとっては今回が「再チャレンジ」だ。 日本の安全確保に画期的な意義を持つ報告書であり、本格的な法整備につなげてもらいたい。 報告書は、共同訓練中の米軍艦船が攻撃された際や、米国へ弾道ミサイルが発射された際、日本が集団的自衛権を行使し、反撃・迎撃を可能にするよう求めた。 国際平和活動では、近くの他国軍が攻撃された際の「駆けつけ警護」を自衛隊が行えるようにする。「武力行使と一体化」する
日本の外交・安全保障体制の強化に向けて、安倍晋三首相が日本版国家安全保障会議(NSC)の早期設置に意欲を表明した。 NSC構想は、米国の例を参考に政治主導で外交・安全保障分野の首相官邸の司令塔機能を再編強化するための機構改革だ。第1次安倍内閣時の平成19年に安全保障会議設置法改正案(設置法案)が国会に提出された後、廃案となっていた。 中国の攻勢や北朝鮮の脅威が強まる中で、新たに国家戦略を構築する必要性は一層高まっている。安倍氏の意欲を歓迎し、速やかな設置と実働開始を求めたい。 安倍氏は26日の会見で「総合力としての外交を戦略的に展開する。日本の安全保障は今そこにある危機だ」と強調した。菅義偉官房長官に国家安全保障強化を担当させ、NSC担当に礒崎陽輔首相補佐官を充てるなど、外交・安全保障重視を明確にした。 また、内閣官房参与に谷内正太郎元外務事務次官、外交担当の官房副長官補に兼原信克・外務省
中国共産党第18回全国大会の閉幕を受け、習近平国家副主席が新たな党総書記に選ばれた。首相候補の李克強副首相とともに政治局常務委員に就任し、新体制が始動した。両氏は来年3月の全国人民代表大会(国会)で胡錦濤国家主席、温家宝首相と交代し、今後10年の中国のかじ取りを務める。 胡氏の完全引退に伴い、習氏は党中央軍事委員会主席にも就き、党と軍を掌握した。日本はこの体制を直視し、紛争抑止や有事への万全の備えを急ぐ必要がある。 日本政府の尖閣諸島国有化を契機とした領海侵犯の常態化や常軌を逸した反日暴動などは、中国が「異様な国家」であることを改めて世界にみせつけた。 ≪経済改革の後退を懸念≫ その渦中に米国防長官と会談した習近平氏は国有化を「茶番劇」「戦後の国際秩序を否定する日本の行為を絶対許さない」と口を極めて非難した。反省のかけらもなく、さらなる膨張と海洋覇権をめざす以上、同じ事態が今後も繰り返され
激戦となった米大統領選は、変革の継続を通じて「強い米国の再生」を掲げた民主党現職のオバマ大統領が共和党ロムニー候補の追撃を退けて再選を決めた。 オバマ氏は「安全で尊敬される世界最強の国をめざす」と勝利宣言で語り、経済再生など1期目の未完の宿題に加え、世界的指導力の回復に向けて内外の課題に立ち向かう決意を表明した。 何よりオバマ氏に求めたいのは、危機的状況にある米財政を立て直して国家再生の基盤を固めるとともに、世界の経済、安全保障の重心がアジア太平洋に移行する中で、中国の台頭に向き合うために打ち出したアジアシフト外交を一層貫徹していくことである。 ≪「財政の崖」を回避せよ≫ そのためには、日本も日米同盟強化を軸とした協力と連携が不可欠になる。他の同盟諸国や国際社会とともに、米国の再生を積極的に支えていきたい。 オバマ氏が真っ先に取り組むべき課題が経済再生と財政危機の克服にあるのはいうまでもな
米産牛肉輸入 規制緩和は現実的な判断だ(11月3日付・読売社説) 遅きに失した感はあるが、科学的知見と国際動向を踏まえた現実的な判断と言えよう。 内閣府・食品安全委員会が、BSE(牛海綿状脳症)対策で実施されている米国産牛肉の輸入規制を緩和する方針を了承した。 輸入対象を「月齢20か月以下」から「30か月以下」に広げる。条件を緩めても「リスクの差は小さく、健康への影響は無視できる」と結論付けたのは妥当だ。 米国で2003年にBSE感染が確認されたのを受け、日本は米国産牛肉の輸入を停止した。05年に、「20か月以下」で原因物質がたまりやすい危険部位を除去した牛に限って再開していた。 BSEは、たんぱく質の一種が異常化し、脳や脊髄などに蓄積されて発生する。感染牛の肉骨粉を飼料に使ったことから広がり、ピークの1992年には世界で3万7000頭に達した。 しかし、発生頭数は年々減少し、昨年は29頭
外交・安全保障を主題とした米民主党のオバマ大統領と挑戦者のロムニー共和党候補の最後のテレビ討論会で際立ったのは、アジア太平洋の「要石」とされる同盟国・日本について両氏が全く言及しなかったことだ。 大統領選の争点は内政が大半を占めるのが通例で、特に今回は空前の巨額債務を抱える中で雇用や経済再生策が問われている。そうした文脈で日本に触れずとも不思議はないし、初めてでもない。 だが、中国の急速な台頭にどう向き合うかに世界が注目し、現実に尖閣諸島をめぐる日中対立も起きている中で「日米同盟」も「日本」も登場しなかったことを日本政府は憂慮すべきである。 野田佳彦政権には同盟を強化し、対中抑止の実効性を高める方策に一層の奮起を求めたい。 討論では前半で中東情勢、イランの核開発問題などが論じられ、ロムニー氏は「4年間に世界のどこを見ても米国の影響力が弱まった」と批判し、オバマ氏は「ロムニー氏の主張は向こう
米軍新型輸送機MV22オスプレイの第1陣12機の沖縄県・普天間飛行場への配備が始まった。 野田佳彦首相は「米海兵隊の能力の中核を担う優れた装備で、わが国の安全保障に大きな意味を持つ」と述べた。先月の安全宣言などを踏まえ、日米が同盟の抑止力を飛躍的に高めるオスプレイの本格運用へ向けて踏み出したことを評価したい。 地元の反対が続いているが、尖閣諸島奪取を狙う中国の攻勢を防ぐためにも早期運用が不可欠であることは言をまたない。安全性を確保しつつ、首相や森本敏防衛相らが先頭に立って地元説得に全力を投じてもらいたい。 オスプレイは、老朽化が進む現行のCH46ヘリと比べ速度、積載量、行動半径が2~4倍になる画期的な輸送機だ。とりわけ行動半径が600キロに広がり、尖閣有事に普天間からノンストップで即応できるなど、中国の海洋進出や北朝鮮を牽制(けんせい)・抑止する能力が格段に強化される点は大きい。 日本の安
アーミテージ元米国務副長官ら超党派の知日派による新たな報告は、中国や北朝鮮の脅威の高まりを直視し、日米同盟の危機を克服するために日本の奮起を促したことが最大の特徴といえる。 とりわけアジア太平洋の安定に不可欠な同盟が日本の混迷により「危機に瀕(ひん)している」との厳しい指摘を深刻に受け止めたい。 現実に北方領土、尖閣諸島、竹島などで日本の弱さにつけ込む動きが急増している。日本が自らの潜在力をフルに発揮し、「より強固で対等な同盟」を目指すよう改めて求めている点も、極めて妥当というべきだ。 日本の平和と安全を確保するためにも、野田佳彦政権は報告を真剣に受け止め、同盟の強化充実に全力を注いでもらいたい。 アーミテージ氏とナイ・ハーバード大学教授の共同執筆による報告は2000年、07年に続く第3弾だ。米国の政権交代期に発表され、対日政策の勧告・提言書の性格も併せ持っている。 今回特筆すべきは、日本
米ゼロ金利継続 景気低迷に警戒強めたFRB(1月28日付・読売社説) 米連邦準備制度理事会(FRB)が、事実上のゼロ金利政策を長期間続ける方針を打ち出した。 米国経済の先行きに警戒を強めたのだろう。 FRBは声明で、ゼロ金利政策について、「少なくとも2014年終盤まで異例の低金利が正当化される可能性が高い」と指摘した。「13年半ばまで」としてきた従来の方針と比べ、1年半程度も延ばす意味は大きい。 米国の失業率は8%台に高止まりし、今年の実質成長率も2%弱に低迷する見込みだ。景気の回復力はまだ緩慢である。 ギリシャに端を発した欧州危機は収束せず、世界経済を揺るがせている。対策の遅れで危機が深刻化すると、米国経済に一段と打撃を与えかねない。 FRBは、ゼロ金利政策を思い切って長期化させて、長期金利の低下を促し、設備投資などを刺激する景気下支え効果を狙った。 ユーロ圏の急減速や不安定な市場など
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く