中谷防衛相は安全保障関連法案審議で、集団的自衛権の限定行使について、「憲法違反にならない」と答弁した。「これまでの憲法9条の議論との整合性を考慮し、行政府の憲法解釈の範囲内だ」とも語った。 前日の衆院憲法審査会で自民党推薦の参考人が法案を「憲法違反」と断じたことを取り上げ、法案の撤回を求めた民主党議員に、正面から反論したものだ。 参考人の長谷部恭男早大教授は「従来の政府見解の基本的論理で説明がつかないし、法的安定性を大きく揺るがす」と述べた。首をかしげたくなる見解である。 政府は、集団的自衛権の行使について「我が国の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険」という、極めて厳しい要件をつけている。 この要件は、自国の存立を全うするために必要な自衛措置を容認した1959年の最高裁の砂川事件判決を踏まえたものだ。 国民の権利が根底から覆される事態に対処する、必要最小限度の武力行使は
沖縄県知事が、米軍普天間飛行場の移設作業を停止させようとするのは無理筋ではないか。移設を前提に、政府と県は、接点を探るべきだ。 名護市辺野古における防衛省の移設作業の停止を翁長雄志知事が指示した問題で、林農相が指示の執行停止を決定した。 作業停止で工事が遅れれば、飛行場周辺住民や日米関係に「重大な損害」が生じるとする防衛省の主張を認めた。妥当な判断だ。 農相は今後、防衛省の行政不服審査請求に基づき、知事指示を無効とするかどうかを審査する。客観的な立場で吟味してほしい。 県は、防衛省が海底に投入したコンクリート製ブロックを「許可区域外に設置された」と問題視し、作業停止指示の根拠とした。 だが、防衛省は「事前確認で県が許可は不要とした」と説明する。実際、那覇空港の拡張工事など複数事業での同様のブロック設置で県は許可を求めていない。「他の事業との公平性に欠ける」との防衛省の主張はもっともだ。 県
首相アジア演説 ASEAN重視戦略の表明だ(7月27日付・読売社説) 経済・安全保障の重要なパートナーである東南アジア諸国連合(ASEAN)に対する強いメッセージだ。 東南アジア歴訪中の安倍首相が、シンガポールで日本とASEANの関係をテーマに政策演説を行った。 急成長している東南アジア地域の経済圏を飛行機に例え、「日本とASEANは、左右両翼のツイン・エンジンだ」と述べた。 首相は、日本とASEANの輸出入額がこの10年間でそれぞれ倍増したとし、経済政策「アベノミクス」の効果はASEANにも及ぶと語った。さらに関係を強化する決意と言える。 今回訪れたマレーシア、シンガポール両国は、日本が参加した環太平洋経済連携協定(TPP)交渉のメンバーでもある。今後の大詰め交渉で、連携を模索することも課題となろう。 一方、首相は、今年で「友好協力40周年」を迎えたASEANとの関係は今や、経済にとどま
米サンディエゴ沖で、海上自衛隊の護衛艦「ひゅうが」から離陸する米海兵隊のオスプレイ(14日)=水野哲也撮影 【サンディエゴ(米カリフォルニア州)=水野哲也】自衛隊と米軍が米カリフォルニア州サンディエゴ沖で実施している共同訓練で、米海兵隊の新型輸送機MV22オスプレイが14日、海上自衛隊の護衛艦「ひゅうが」に着艦した。オスプレイが自衛隊の艦艇に着艦するのは初めて。 訓練は、有事や災害などに日米が共同対処する事態を想定。オスプレイ2機はごう音と共に、ひゅうがに着艦した。大きさや排気熱などの点から、着艦できるかどうかを事前に調整し、海自隊員が信号や誘導の手順を米側から教わった。 米海兵隊のジョン・ブロードメドー第一海兵遠征旅団長は「オスプレイは災害の多い日本では極めて有用で、相互の運用性を高めることができた」と語った。
集団的自衛権 安全保障法制を総点検したい(2月9日付・読売社説) 安全保障政策の立案では、「現行の憲法や法律で何ができるか」にとらわれるだけでなく、「何をすべきか」を優先する発想が肝要だ。 政府の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が、集団的自衛権の行使容認を提言する報告書を安倍首相に提出した。 第1次安倍内閣が設置した懇談会は、首相退陣後の2008年6月に報告書をまとめたが、具体化されなかった。安倍首相にとっては今回が「再チャレンジ」だ。 日本の安全確保に画期的な意義を持つ報告書であり、本格的な法整備につなげてもらいたい。 報告書は、共同訓練中の米軍艦船が攻撃された際や、米国へ弾道ミサイルが発射された際、日本が集団的自衛権を行使し、反撃・迎撃を可能にするよう求めた。 国際平和活動では、近くの他国軍が攻撃された際の「駆けつけ警護」を自衛隊が行えるようにする。「武力行使と一体化」する
沖縄米兵事件 再発防止へ実効性ある対策を(10月19日付・読売社説) 卑劣で悪質な犯罪で、日米同盟にも悪影響を及ぼしている。 米軍は、実効性ある再発防止策を早急に講じるべきだ。 沖縄県中部で、未明に帰宅中の成人女性が米海軍兵2人に暴行された。 沖縄県警は2人を集団強姦(ごうかん)致傷容疑で逮捕した。厳正な捜査を求めたい。 2人は米テキサス州の基地所属で、今月上旬に来日し、犯行当日中に離日する予定だった。 8月には、那覇市で在沖縄米兵による強制わいせつ事件が発生したばかりだ。こうした不祥事が繰り返されるようでは、日本の安全保障に欠かせない米軍の沖縄駐留が不安定になろう。 沖縄県の仲井真弘多知事が「正気の沙汰ではない」と憤るのも無理はない。米軍による具体的な犯罪抑止策の徹底が急務である。 現在も、在沖縄米兵には、米軍基地外での飲酒制限や、沖縄の文化・歴史に関する講習などが義務づけられているが、
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く