「海の日」を迎え、わが国の周辺海域を取り巻く厳しい環境について改めて考えてみたい。 明治9年、東北・北海道巡幸を終えた明治天皇が「明治丸」に乗り、横浜港に着いたのは7月20日だった。後にこの日は「海の記念日」となり、平成7年には「海の日」として祝日に定められた。祝日法の改正で現在は7月の第3月曜日になっている。 「明治丸」は、今年から本格的な修復が始められる。「海の日」にゆかりの深いこの船が往時の雄姿を取り戻すことは、海洋国日本にとって力強い応援メッセージとなるのではなかろうか。 島国である日本は、豊富な海産物や海岸線の美しい風光など、四周の海の恩恵に浴してきた。海によって外国と隔てられたことで独自の日本文化も花を開かせた。また鎌倉期の元寇をみるまでもなく、わが国は海によって外敵から守られてきた歴史もある。 しかし幕末になると欧州列強の脅威にさらされ、「海防」の強化を迫られるようになる。吉