原爆忌の菅首相 「脱原発」にふさわしい場か(8月7日付・読売社説) 原爆忌の6日、広島市で開かれた平和記念式典で、菅首相が東京電力福島第一原子力発電所の事故に言及した。 広島大学など関係者による放射線の測定や被(ひ)曝(ばく)医療チームの福島への派遣といった支援を得て、事態は安定してきていると述べた。 原爆医療の経験と実績が、福島でも役立ったのは確かである。 これに続けて、首相は、「原発に依存しない社会」を目指す考えを改めて表明した。 だが、「脱原発依存」はそもそも個人的な見解だったはずだ。世界の注目する記念式典で持ち出したのは、原爆と原発事故を重ねることで自らの主張をより効果的にアピールしたかったのだろう。 鎮魂のセレモニーのいわば“政治利用”ではないか。 首相はその後の記者会見で、先月末、関係閣僚によるエネルギー・環境会議が原発への依存度を下げていくことを理念とした「中間整理」をまとめ