【読売新聞】 生物兵器の製造に転用可能な精密機械を不正に輸出したとして逮捕・起訴され、後に起訴が取り消された精密機械製造会社「大川原化工機」(横浜市)の大川原正明社長(74)らが5億円超の国家賠償を求めた訴訟で、東京地裁は27日、東
【読売新聞】 生物兵器の製造に転用可能な精密機械を不正に輸出したとして逮捕・起訴され、後に起訴が取り消された精密機械製造会社「大川原化工機」(横浜市)の大川原正明社長(74)らが5億円超の国家賠償を求めた訴訟で、東京地裁は27日、東
埼玉県加須市立騎西小学校で2017年6月、当時5年生の男子児童が給食の運搬中にやけどを負ったのは学校の安全管理が不十分だったからとして、父親(52)などが加須市に治療費など約793万円の損害賠償を求めた訴訟で、さいたま地裁は25日、市に約298万円の支払いを命じる判決を言い渡した。市側は事故の未然防止措置が不十分だったと認める一方、児童にも一定の過失があると主張し、訴訟は過失の相殺が争点となったが、斎藤清文裁判長(沖中康人裁判長代読)は「原告に落ち度があるものではない」と判断した。 訴状などによると、児童は一緒に給食を運ぶはずだった別の児童が不在だったため、高温のみそ汁が入った約10キロの食缶を1人で配膳室から教室まで運搬。途中でバランスを崩してみそ汁がこぼれ、左足に重いやけどを負い、痕が残った。訴訟で市側は、児童が危険性を理解した上で1人で食缶を運んでおり、一定の過失があると主張していた
大手広告会社・電通(東京)による違法残業事件で、東京簡裁は12日、労働基準法違反で略式起訴された法人としての電通について、公判を開かずに罰金刑を科す略式命令は不相当と判断し、正式な裁判を開くことを決めた。 政府の働き方改革の議論にも大きな影響を与えた事件は、公開の法廷で審理されることになる。 電通を巡っては、新入社員だった高橋まつりさん(当時24歳)が2015年12月に過労自殺したことを受け、東京労働局が昨年11月、東京本社を捜索するなど強制捜査に着手。東京地検は今月5日、東京本社の部長3人が15年10~12月、労使協定で定められた上限(月50時間)を超え、高橋さんら社員4人に月最大19時間超の違法な残業をさせたとして、同法の両罰規定に基づき電通を略式起訴した。一方、部長3人は不起訴(起訴猶予)とした。 略式起訴された事件は通常、略式命令が出て終結するが、刑事訴訟法は、事案が複雑で慎重な審
強制わいせつ罪に問われた男性被告について、東京地検が、被告に被害者の実名など個人情報を知られたくないとの被害者側の意向を受け、起訴を取り消していたことがわかった。これを受け、東京地裁は17日、公訴を棄却した。 関係者によると、被告は東京都内で児童にわいせつな行為をしたとして起訴された。地検は、被害者側の意向で起訴状に児童の実名を記載せず、親の実名と続き柄を記載するにとどめていた。ただ、被害者側が、今後の公判で児童の個人情報が被告に伝わることなどを心配したため、地検は被告の刑事訴追を断念したという。同罪は、被害者の告訴がなければ起訴できない。
ヘイトスピーチ 民族差別の言動を戒めた判決(10月9日付・読売社説) 民族差別をあおる侮蔑的な街頭宣伝は不法行為にあたる――。常識的な司法判断と言えよう。 京都市の朝鮮学校周辺で街宣活動を繰り返した「在日特権を許さない市民の会」(在特会)と会員らに対し、京都地裁が計約1200万円の損害賠償などを命じた。 在特会側は、朝鮮学校が無許可で近隣の公園を使用したことを非難し、街宣は公正な論評や意見表明だと主張してきた。 判決によると、街宣では「ゴキブリ」「朝鮮人を日本からたたき出せ」などと叫んだ。地裁が意見表明とは見なさず、「差別的発言」と判断したのはもっともだ。 判決は、在特会側の言動を「人種差別撤廃条約が禁じる人種差別に該当する」とも断じた。高額賠償は、朝鮮学校が被った名誉毀損(きそん)、業務妨害に加え、民族差別の実態を深刻にとらえた結果である。 在特会は、東京や大阪で、在日韓国・朝鮮人の排除
朝鮮学校の周辺で3回にわたって街頭宣伝活動をし、民族差別などのヘイトスピーチ(憎悪表現)を繰り返して授業を妨害したなどとして、学校を運営する京都朝鮮学園(京都市)が、市民団体「在日特権を許さない市民の会(在特会)」や同会メンバーら9人を相手取り、学校の半径200メートル以内での街宣の差し止めと計3000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が7日、京都地裁であった。 橋詰均裁判長は街宣の差し止めを認め、同会などに計約1200万円の支払いを命じた。 訴状によると、同会メンバーらは、京都市南区の京都朝鮮第一初級学校(現在は京都市伏見区の京都朝鮮初級学校)が近くにある市管理の公園を不法占有しているとして、2009年12月と10年1月、拡声機などで「ここは北朝鮮のスパイ養成機関」「朝鮮学校を日本からたたき出せ」などと連呼。同年3月24日に京都地裁から街宣禁止の仮処分決定を受けたが、同28日にも街宣をした
水俣病認定判決 争いの終結はなお見えない(4月17日付・読売社説) 国の基準では水俣病と認められなかった被害者について、最高裁は「水俣病患者」と認める判断を示した。 行政と司法で認定の尺度が異なる二重基準の状態が続くことになるだろう。被害者の高齢化が進む中、水俣病を巡る争いに収束の糸口が見えない深刻な事態である。 認定業務を行っている熊本県から水俣病と認められなかった女性2人の遺族が、それぞれ患者認定を求めていた。 うち1人について、最高裁は、水俣病だと認定した福岡高裁の判断を支持した。もう1人の原告については、水俣病と認めなかった大阪高裁判決を破棄し、審理を高裁に差し戻した。 注目すべきは、最高裁が水俣病の認定に関し、「多角的、総合的な見地からの検討が求められる」と指摘した点だ。厳格過ぎると言われる国の認定基準を念頭に置いてのことだろう。 1977年に設けられた国の基準は、水俣病と認定す
衆院選違憲判決 国会は司法の警告に即応せよ(3月27日付・読売社説) ◆「無効」判断は無責任ではないか◆ 立法府が、司法からこれほどまで怠慢を指摘されたのは、かつてなかったことだ。 昨年12月の衆院選を巡り、全国の高裁・支部で審理された16件の「1票の格差」訴訟のうち、15件で判決が言い渡された。 13件は「違憲」と断じた。残る2件も「違憲状態」と指摘し、合憲判断は一つもなかった。 約50人もの高裁判事が審理した結果である。国会は判決を重く受け止め、早期に具体的な是正措置を講じなければならない。 ◆進まない格差の是正◆ 最大2・43倍だった1票の格差が、法の下での平等を保障した憲法に違反するか。違反であれば、国会が格差を放置した期間は許容できる範囲内か。いずれの訴訟もこの2点が主な争点だ。 「違憲」判決は、格差が憲法違反である上、格差是正の合理的期間も過ぎたと判断した。「違憲状態」判決は、
臨時企業税違法 「公平な徴収」重視した最高裁(3月22日付・読売社説) 神奈川県が導入した臨時特例企業税は合法かどうか――。最高裁は「違法で無効」との判決を言い渡した。県の逆転敗訴が確定した。 徴収の公平性という課税の原則を重視した妥当な判断と言えるだろう。 神奈川県内に工場を持つ、いすゞ自動車が、徴収された約19億円の返還を県に求めていた。 地方税法は、企業が単年度決算で黒字になっても、過去の赤字分を繰り越して利益から控除することで、地方税の一つである法人事業税の減免を認めている。 これに対し、神奈川県の臨時特例企業税は、繰り越し控除を考慮せず、単年度の黒字額に課税するものだ。いすゞ側は、地方税法が規定したルールに反した課税だと主張していた。 最高裁は、地方税法の規定について、「事業年度ごとの所得金額の変動にかかわらず、法人の税負担をできるだけ均等化して、公平な課税を行うためにある」との
明石歩道橋事故 強制起訴の課題示す免訴判決(2月21日付・読売社説) 雑踏警備の監督責任者に刑罰を科すことを求めてきた遺族にとっては、厳しい結論だ。 2001年7月、花火大会の見物客11人が死亡した兵庫県明石市の歩道橋事故で、神戸地裁は、強制起訴された明石署元副署長に「免訴」を言い渡した。 裁判を打ち切り、元副署長を事実上、無罪とする判決である。 元副署長は、警備の現場責任者だった明石署の元地域官(実刑確定)と共犯関係にあったとして、検察審査会の議決により、業務上過失致死傷罪で強制起訴された。09年導入の強制起訴制度が適用となった初めてのケースだった。 判決は、強制起訴された10年4月の時点で、時効(5年)が成立していたと判断した。時効が成立していれば、免訴とするしか選択肢はなかったと言える。 検察官役の指定弁護士は、「共犯関係にある元地域官は当時、公判中だったため、刑事訴訟法の規定により
資金管理団体「陸山会」の土地取引を巡る政治資金規正法違反事件で、「国民の生活が第一」の小沢一郎代表(70)を1審に続き無罪とした東京高裁判決に対し、検察官役の指定弁護士は19日、上告しないことを決め、上訴権放棄を高裁に申し立てた。 代表の無罪が確定した。 検察審査会の起訴議決に基づき強制起訴された事件は6件あるが、判決が確定するのは今回が初めて。 今月12日の高裁判決後、指定弁護士3人は14日に集まって対応を協議。判決に憲法違反や判例違反がないかどうか各自で検討することにしたが、19日午前の再協議で、憲法違反などはないとの判断に至ったとみられる。 小沢代表は、石川知裕前衆院議員(39)(1審有罪、控訴)ら元秘書と共謀し、土地購入資金として陸山会に貸し付けた現金4億円を2004年分の政治資金収支報告書に記載しなかったなどとして昨年1月、強制起訴された。
米グーグルのインターネット検索サイトに名前を入力すると、「犯罪に加担した」などとする虚偽の情報が記されたウェブサイトが表示されるとして、同社に表示の差し止めなどを求めた訴訟が東京地裁で続けて起きている。 しかし、同社は争う姿勢を示し、差し止めを認めた仮処分決定にも従っておらず、救済の見通しは立っていない。 問題となっているのは、検索したい単語を入力し始めると、自動的に関連語句が複数表示される「サジェスト検索」と呼ばれる機能。原告の男性2人が自分の名前を入力すると、犯罪を連想させる単語が表示され、その単語をクリックすると「暴行事件を起こした団体に所属し、犯行に加担した」などと書き込まれたサイトが大量に並ぶという。 1人は書き込みを理由に就職の内定を取り消されるなどしたため、同社に表示の停止を求めたが、拒否された。停止を命じる今年3月の地裁の仮処分にも応じないため、地裁に提訴。もう1人は昨年9
発達障害判決 厳罰より支援の拡充が大切だ(8月9日付・読売社説) 発達障害の実情をどれだけ理解して厳罰を選択したのだろうか。 姉を刺殺した40歳代の男の裁判員裁判で、大阪地裁は、懲役16年の求刑を超える懲役20年の判決を言い渡した。被告を発達障害の一つのアスペルガー症候群と認定し、殺人罪の有期刑の上限を適用した。 「障害に対応できる受け皿が社会になく、再犯の恐れがある」というのが、判決の理由である。「許される限り長期間、刑務所に収容することが社会秩序の維持に資する」とも指摘した。 被告は小学5年の頃から自宅に引きこもり、それを姉のせいだと思い込んで恨みを募らせた。世話になった姉を刺殺するという犯行は、許されるものではない。 だが、障害を理由に重い刑を科し、刑務所に長く収監しておこうという考えは、短絡に過ぎよう。障害者への偏見を助長しかねない判決と言える。 被告の障害は事件後、検察側の精神鑑
東電OL殺害 検察を敗北に導いた新証拠(6月8日付・読売社説) 「第三者が女性を殺害した疑いがある」 裁判所がこう認定した以上、裁判をやり直すのは当然と言えよう。検察の完敗である。 東京電力女性社員殺害事件の再審請求審で、東京高裁はネパール国籍のゴビンダ・プラサド・マイナリ元被告に対し、再審開始と刑の執行停止を決定した。 決定は、無期懲役とした確定判決について「合理的な疑いが生じている」と断じた。「疑わしきは被告の利益に」という刑事裁判の鉄則に沿った判断である。 東京都渋谷区のアパートで1997年、東電の女性社員が殺害され、現金約4万円を奪われたのが、この事件だ。マイナリ元被告は一貫して犯行を否認し、1審は無罪、2審で逆転有罪となり、最高裁で2003年に確定した。 再審請求審で争点になったのは、新たに行われた鑑定の結果だ。女性の体内から採取された精液のDNA型がマイナリ元被告とは異なり、現
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