【ロンドン=佐藤昌宏】8日のサッチャー英元首相死去を受け、1979年から11年余に及んだ首相在任中の政策を巡る議論が英国で再熱している。 「救世主か、破壊者か、あるいは両方か」(ガーディアン紙)と、死してなお、元首相は国論を二分している。 サッチャー氏を「師」と仰いできたキャメロン首相は8日、首相官邸前で、「サッチャー氏が一方では愛され、もう一方では憎まれたことは否定は出来ない」と語った。 9日付保守系各紙は「世界の自由主義を擁護した」(デイリー・テレグラフ紙)、「一番の女性だった」(タイムズ紙)などと称賛を惜しまなかった。70年代の不況から脱し、90年代から15年以上続いた好景気の下地を作った功績への評価は、保革を問わず共通する。 ただ、サッチャー氏には、不況克服のため、徹底した民営化を断行、金融・サービス業を重視した結果、基幹産業だった製造業の衰退を招き、失業者の増加と貧富の差の拡大を